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6-4

『人は自分を普通と思い込む生き物だ

 今世界で右利きの人間が普通とされている


 つまり、右手の人間がペンをしまう場合、

 どこにしまうか考えたことがあるだろうか?

 胸ポケットなら左

 刀は左に挿すだろう


 そういえば俺はさっきガウンに

 向かって右側のポケットから

 赤鉛筆を取り出した


 左利きならポケットに入れるなら左側

 つまり向かって右側に入れるだろう


 だが、薬瓶のふたは向かって左

 つまり右側に入っていた

 左利きなら左手で開けるだろう

 ん?

 何かおかしい

 左手で開けた蓋を右のポケットに入れるだろうか?


 いや、左利きだけど矯正して

 右手で開けた可能性もある

 だけで書くのだけは左だとか

 俺はさっき正の字を書くとき

 どちらの手を使っただろうか?』



 破り取られ、折り畳まれた〝感想〟を読んだ。

 まず、俺が右利きか左利きかという話だが、先程から赤鉛筆を持ったのも、薬の蓋を締めたのも、右手だ。付け加えるなら、懐中電灯の蓋を開けたのも右だが……

 まあ、少なくとも、無意識にペンを持って書いた手が、俺の利き手だろう。

 しかし、問題はそこじゃない。このメモが、破られた上に、隠されていた事、そして、このメモの主が、俺がそうしたように、ガウンの左右のポケットから、まったく同じように入っていた、薬瓶の蓋と赤鉛筆を見つけていたという事実。そして〝感想〟の内容から導き出されるのは……


「自分自身、あるいは第三者が、このシチュエーションを用意している」


 ……言い知れぬ恐怖。俺自身がループしているのか、もしくは俺以外の誰かも、ここで同じ事をさせられたのか。

 これは本当に現実なのか、それとも。

 ……ゲームなのか?


「だとしたら、この中に、ゲームを進めるための何かが入っているのかもしれないな……」


 ダイヤル式の金庫。花を抱えた女性の絵の裏にあった。そして、ダイヤルには黄色い付箋が貼り付けられている。赤い文字で〝間違えるな〟とだけ書かれていた。


「これは……。とても悪い予感がする」


 この付箋は、警告だ。しかもガチな奴。根拠は無いが、俺の直感がそういっている。ダイヤルを回す数字を間違えると、良くない事が起きる。しかも、取り返しのつかないような何かが……慎重にいこう。そう、ちゃんと情報を整理して、確実に数字を選んでダイヤルを回すんだ。もしかしたら、あの感想と書かれたノートに、まだ何かヒントが書かれているかもしれない。


「そして、こっちも」


 抽象的な風景画の後ろにも、金庫。ただし、こちらは、なんとなくハイテクっぽい。ボタンと、液晶画面があり、画面には〝8〟が4つ並んでいる。そして、こちらにも付箋。〝4×4、YとMD〟と書かれていた。

 それぞれの絵にも、何か手掛かりがあるかもしれない。この絵を調べる必要もあるかもしれないな。


「そしてまだ2箇所、引き出しも開けていなかったな」


 上段の左と、中段の、何か引っかかっている引き出しを開けていない。


「何か引っかかっているから空けられない?」


 おいおい、ゲームだと決め付けて考える必要は無いだろう? ……極端な話、椅子振り回して、机をぶん殴れば、もしかしたら鍵の掛かった引き出しすら、無理やり開ける事も可能かもしれないのだ。扉や窓も、体当たりで開けられる可能性だってある。


「ただ、ルール無用かどうかさえ、今の俺には分からないんだけどな」


 結局、ヒントは〝感想〟と書かれたノートだけ。コイツに、さらなるヒントが書かれているだろう。次にどこを調べるか、次にどんな行動を起こすかは、ノートに書かれている。俺はこの〝感想〟を元に行動するしかないのだ。


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