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Imaginary Solution  作者: 瀬名隼人
Introduction
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存在しないデータ

 これは『何回目』なのだろう。

 解の出ない問いを繰り返す。

 人は何かを得る為に、何か対価を支払わなければいけない。

 それなのに何故何かを失う時はこうも簡単に、あっさりとしているのだろう。

 何かを失う為にも対価を支払わされているのではないかとすら思える。

 それほどまでに失い過ぎた。

 文字通り全てを失った。

 全てを失って今、考える。

 失うだけ失い続けたあの日々に、果たしてどのような意味が在ったのか。

 どのような意味を得ることが出来たのか。

 やはりその解も出ない。

 解を得る為に失う物は、残っていない。

 自分は『何人目』なのだろう。

 解の出ない問いを繰り返す。

 世界は神の消耗品だ。

 何時だったか、そんなことを言われた。

 かつて世界は大きな一つの国だった。


 始まりの年。

 世界に突如、四つの巨大なクリスタルが現れた。それ以降、生まれてくる子供に摩訶不思議な力を持つ者が。


 極寒の地に消えない炎を生み出した者。

 枯渇した砂漠に水を湧かせた者。

 植物も育たない土地を緑で満たした者。

 巨大な山に囲まれ、昼の無い村に光をもたらした者。


 人々はそんな力を『魔法』、それを司る彼らを『魔人』と呼び、新たな時代の到来に喜び、涙した。

 しかしその平和も長くは続かなかった。


『第一次魔法大戦』。

 魔法歴一一四年。

 力を持つ『魔人』が権力を支配するようになると、じきに力を持たざる『人間』に対して差別を働くようになった。

 碌に物も買えず、学校にも通えなくなった人間達は結束し、武器を持ち出して魔人達へ奇襲を仕掛けた。そうして人類史上初めての戦争へと発展した。


 四年後。無事に終結した第一次大戦だったが、国はクリスタルを中心に四つに分裂し、すぐに新たな悲劇が幕を開いた。


『第二次魔法大戦』。

 魔法歴一三九年。

 四つに分裂した国はそれぞれ独自の魔法技術を磨き上げ、領土の拡大の為再びしのぎを削った。

 六年後に冷戦状態へと突入したもの、大戦は終わることなく今でも続いている。


 そして魔法歴一六五年。

 これは、この争いを止めようとする一人の英雄と一人の少女の物語。

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