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逆探

作者: ひいらぎ

僕の世界はいつも突然消える。プツッと。世界と一つになる快感を味わった瞬間に現実世界に引き戻されるのだ。僕は集中力が十分しかもたない。集中できる時間の限度が十分と言ったほうが正しいであろう。大好きな作家の作品を手に取ってもその作品と己を擦り合わせれる時間は十分。課題を大量に出されてもそれを行える時間は十分。大好きなスポーツをしていてもプレーできる最大時間は十分だ。小さい頃はよくサボりだな何だの言われていたがそういった類のものではない。十分経つと身体の力が手から順番に抜けていき最後は立てなくなる。頭の中にある数式や言葉は脳に溶けていく。そして次に意識が戻るのを待つしかない。

今では周りの理解もありそれなりの対応はしてもらえる。正直不便に思うことの方が多い。けれども僕は自分のこと体質が少し好きだったりもする。身体の力が抜けて立てなくなるのは困るけれども力まないという感覚を知っているのはスポーツをやっている身としては大きい。

そして僕は、意識を失う前の頭のごちゃごちゃがスゥーと消えて明瞭になる瞬間。しがらみから解放されるあの感覚。あの真っ白が好きで好きで堪らない。

この体質は短所かもしれない。けれど僕にとっては大きな大きな長所だ。僕は皆の知らない甘みを知っているのだ。

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