4.侍女頭・ジュレイネ(リンネ)視点
とばしていただいても大丈夫です。
「なぁ、姉ちゃん…いいだろ?別に。」
絡んでくるオッサン。冒険者の奴らだ。なぜ、路地に連れてきたのか、と思っていると、薬を嗅がされる。私は薬が効きにくいものだ。変な匂いがするな、とは思ってよく匂いを嗅ぐと、睡眠薬だとは思わずに眠ってしまった。相手がいるのに。敵がいるのに。……そして、起きた時には知らない屋敷にいた。扉が開き、入ってくる奴がいた。綺麗なワンピースを着た女が。話しかけてきた。…なぜか心配していたようだ。初対面なのに、なんで?
「アンタ、誰だ?」
「…侍女頭?何を言ってるの?」
侍女頭だって?どういうことだ?……!?声が違う!!姿が……というか、恥ずかしい!!……メイド服?生まれて初めて見たよ、……メイド服を着てる自分なんて。口調は悪いが、一応、女だぞ。髪短くて男だと思われるのが多いが。
「侍女頭?大丈夫?…ケガしてない?…さっき爆発があったばかりだものね。」
「ばっ、爆発だと!?」
「ええ、そうよ。…それに、あの方は、まだ見つかってないのです。」
あの方って……。主でもいたのかよ。
「あの方って、誰だ?」
「ルヴィス様よ。」
ルヴィス?……えええっ、英雄竜の名じゃねえか!
「ふざけるな……」
「えっ?」
「英雄竜様をバカにするな!貴様なんかの、主?ふざけるんじゃねぇ!!」
勢いで、女を殴ってしまう。
「ジュレイネ……!?…イタッ…」
「お嬢様!?…侍女頭様、なんてことを!」
「お嬢様を殴るなんて!最低な方!」
「侍女頭は……、ジュレイネは悪くありません!」
なぜ庇う?お嬢様?……私は侍女頭じゃない。全くの他人だ。
「なぁ、お嬢様。私は侍女頭じゃない。ジュレイネでもない。私はリンネだ!ジュレイネじゃない!」
「リンネ?…素敵ね。…あなたは…」
「うるさいっ!!黙れ、お嬢!」
私は、誰にも従わない!…お嬢なんかに!ちやほやされてる、お嬢ごときに!!
侍女頭の名はジュレイネです。