表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼と彼女と彼女  作者: 紫音
第2章
6/13

緑谷志葵の日常

「あっ。やばい、現代文の教科書忘れた」

それに気付いたのは1時間目の授業が始まる10分前。

今日の1時間目は現代文だ。

「うーん…蒼に借りるか」

そう呟き、蒼がいるクラスに向かう。


「蒼~」

教室の前で彼女の名前を呼ぶ。

振り返り、蒼は俺の方に歩み寄ってくる。

「どうしたの、志葵?」

「現代文の教科書忘れたから貸して!!」

「またぁ?どんだけ忘れれば気が済むのよ…」

「現代文嫌いだから仕方ない!!」

「…」

呆れた様な顔をし、自席に戻る彼女。

暫くすると、現代文の教科書を片手に戻ってきた。

「はい。4時間目までには返してね」

「ありがと~」

彼女にお礼を言い、教室を後にした。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


蒼に借りた教科書で現代文の授業を乗り切ったのも束の間。

「あっ。やばい、数学の教科書忘れた」

それに気付いたのは2時間目の授業が始まる10分前。

今日の2時間目は数学だ。

「うーん…紫音に借りるか」

そう呟き、紫音がいるクラスに向かう。


「紫音~」

教室の前で彼女の名前を呼ぶ。

振り返った紫音は、俺の姿を見るなり怪訝そうな顔をした。

そして数学の教科書を片手に俺の方に歩み寄ってくる。

「はい、志葵」

「何で分かった…」

「毎回この曜日のこの時間に数学の教科書を借りにくる奴が何を言う」

「さすが紫音様」

「全く…」

呆れた様な顔をし、俺に教科書を渡す彼女。

「はい。4時間目までには返してね」

「ありがと~」

彼女にお礼を言い、教室を後にした。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


昼休みになり、俺たち3人はいつも通り空き教室で一緒に弁当を食べる。

授業中にあった面白い事とか、昨日見たTV番組の内容とか、俺たちは他愛もない話をし続ける。

いつも通りの中身の無い会話。

いつも通りの紫音のセクハラ、助けを求める蒼。

小学生の時からずっと続いてきた光景だ。

嗚呼、楽しいなぁ。こんな日々がずっと続けばいいのに。

その時の俺は、この『日常』が崩壊するなんて思いもしなかった…。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ