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黒田蒼との出会い
彼女、黒田蒼とは小学5年生の時に出会った。
当時、本の虫だった私は、委員会中にも関わらず後ろの方の席で本を読んでいた。
その日も委員長の話を聞かず1人本を読んでいると…
「あの…赤川、さん…。えっと、今は委員会中だから、本読むのは、やめた方がいいと思う…」
名前も知らない彼女にそう言われた。
「…」
私は無言で本を閉じる。
しかし内心は、
「(なんだこのチビ)」
そう毒づいていた。
友達がいなかった私は、学校の人間全員が嫌いだった。
それから私は閉じていた本を再び開いた。
今度は何も言われなかった。
彼女に対する第一印象は『最悪』だった。
それから2日後。
私はまた彼女と出会った。
同じクラブになったのだ。
「(そういえば昨日のクラブ決めの時にいた気がする…)」
そこで初めて彼女の名前を知った。
『黒田蒼』と言うらしい。
私は友達がいなかった。そして、彼女もまたそうだった。
いわゆる同族。『仲間意識』が知らぬ間に働いていたのだろう。
私たちは徐々に仲良くなっていった。
私は彼女から様々なことを聞いた。
彼女の好きな物、好きな人、家庭環境。それから…過去のことも。
小学校を卒業する頃には唯一無二の親友になっていた私たちは、同じ中学に上がった。
これと言ったことは特に無く、平和な3年間が過ぎていった。
私たちは同じ高校を受験し、そして2人とも合格した。
…いつからだろう、私が彼女を愛するようになったのは。
彼女の小さい背が好きだった。
彼女の可愛らしい笑顔が好きだった。
彼女の黒くて長い髪が好きだった。
少しバカなところも、見た目によらず強気なところも、好きだった。
彼女の全てが大好きだった。
そして私は今日も、大好きな彼女にいつも通り話しかける。
「あお!!一緒に帰ろー!!」
