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紫音の日常
「あお!!一緒に帰ろー!!」
私はいつもの笑顔、いつもの言葉で話しかける。
「うん、いいよ」
蒼はいつもの笑顔、いつもの言葉で返してくれる。
その返事がくる度、彼女の目には、はしゃぐ私の姿が映るのだろう。私の目に、微笑んでいる彼女の姿が映るように。
「紫音はいつも笑顔だね」
唐突にそう言われた。
「愛してるってことだよ!!」と返す私。
すると蒼は笑みを零し、
「紫音、私も愛してるよ」と言った。
私は、本当に本当に嬉しくて。
だけど、その優しい微笑みが本当の愛なのかは知らない。
それでも私ははしゃぎ続ける。彼女の微笑みがもしかしたら『本当の愛ではないかもしれない』という不安を隠すために。怖さから逃れるために。
いつもの笑顔で、いつもの道を、いつもの時間に、いつも通り2人喋りながら歩く。
こんな日常がずっと続けばいいのに…。
今年は桜が綺麗に咲いている。
これから起こる事など全く知らない私たちを嘲笑うかの様に…。




