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蒼の日常
「あお!!一緒に帰ろー!!」
聞き慣れた声が聞こえる。
振り返ると、そこには笑顔の彼女。紫音がいた。
「うん、いいよ」
そう答えると紫音はより一層笑顔になった。
「紫音はいつも笑顔だね」
「えぇ、そうかなー?あおに対してだからかなぁ」
「どういうこと?」
「愛してるってことだよ!!」
予想外の言葉にフリーズする私。
犬のようにコロコロと笑う紫音。
「ふふっ」
思わず笑みが零れた。
紫音の言う『愛』が本当の愛なのかは知らないけど、彼女が笑顔を見せるなら私も笑顔を見せる。
「紫音、私も愛してるよ」
紫音は嬉しそうに「うんうんっ」と言った。
桜が散ってゆく道を2人喋りながら歩く。
こんな時間がずっと続けばいいのに…。
そんな願いは届かず、成長していく私たち。
嗚呼、過ぎゆく季節が憎い。
彼女も同じことを思っているだろうか?
思いが伝わらないのがこんなにも辛いなんて…。




