ANOTHER 第76話 人体実験
朝だ…
ここは地下なので朝を知らせるのはこの牢屋の出入り口とは反対側の小窓から差し込む朝陽だ。
あれから何日経過したのだろうか…
「ゴゥ…」
あの化け物が食事を持ってきてくれた。
緑色と紫色のスープにウジの沸いた半分溶けたようなネズミだ。
いつものようにそれを口にする。
ネズミの中には様々な薬が詰められていたようで骨以外のボリボリとした食感が口の中に広がる…
苦いのが体を突き抜けたところでスープで流し込む。
これまた泥水に砂糖を入れたみたいな味だ。
何故男がこんな所でこんな食事をしているのか…
「食べ終わったかい?」
牢屋の出入り口からイノーが入ってきて男の様子を伺う。
そう、これはドクターイノーとの契約なのだ。
男が捕まりイノーに何故薬が効かないのか聞かれた時に男の特異体質と言う事にして話を返した。
そして、イノーとの契約を交わした。
男は死にたいと言う事を伝え、もし自分を殺すことが出来たら自分の体を好きに使って実験でも研究でも行えばいいと伝えた。
半信半疑だったイノーだが麻酔薬を心臓に投与しても血管内に空気を注射してもしなない男の体に歓喜してあれから毎日様々な実験を繰り返させられていた。
「さぁ、腕を出して」
イノーの言葉に従い左腕を出す男。
その腕にイノーは注射を行う。
「これは高濃度の農薬だよ。さっき食べて貰った食事も混ざれば致死性の猛毒になるから私は暫く失礼するよ」
そう言ってイノーは牢屋から出ていく。
直ぐに全身の中を農薬が荒らし回るのを感じた。
血管と言う血管が内出血を起こし全身が紫色になる。
更に胃の中で腹を焼く毒の感覚に男はのたうち回る。
だが暫く苦しんだ後、何事もなかったかのように床に寝転んだまま顔を横に倒し口から胃を溶かして内臓を溶かした時に出た液体をダラダラと垂れ流す。
股間からは全身を巡った農薬が尿と共に流れる。
寝転んだまま男は悲しむ…
「また、死ねなかった…」
昼になりイノーは男の垂れ流した液体を化け物に掃除させ男を診察台に固定する。
腹を切り開き今日も臓器を取り出して空になった腹の中に黒く光るゴキブリを流し込む。
雑食のゴキブリは腹の中に残った物を食い散らかし皮膚を突き破って次々に男の全身を喰らう。
だが、そのゴキブリも暫くしたら痙攣を始め男の身体中で生き絶える。
それは男の体に残ってた毒の影響かどうかは分からないがゴキブリ達は死んだのだ。
その間にドクターイノーは男から取り出した臓器をいつものようにホルマリン漬けにして保管する。
棚にはここ数日で男から取り出された様々な臓器が並んでいる。
最初、翌日には臓器が何事もなかったかのように元通り復元しているのを見て笑っていたイノーの顔が頭に浮かぶ…
男はルナがどうなったのかを少し気にしていたがイノーから「彼女は大事な娘だから心配は要らない」と聞かされていたので安心だろう。
果たしてイノーは自分を殺すことが出来るのだろうか…
そんな疑問が頭に浮かぶがイノーの嬉しそうに実験をするあの顔を見ればそのうち殺してくれるだろう、と男は痛みと苦しみの中で死に一歩ずつ近付いていると安心しプレス機で潰れていく自分の腹部を見詰めゆっくりと目を閉じるのだった…
C END - 人体実験
これにてANOTHERストーリーCは完結です。
次回は明日の午前7時頃更新で通常の74話の続きからとなります。




