第63話 医者の娘ルナ
少年の体をした男は木の根に体を預けて朝が来るのを待っていた。
寒さは辛かったが老婆の家から借りた羽織をかけていたので幾分かマシになってたので助かった。
だがこの羽織があるからあの出来事は夢とかではないという証拠になるのを男は理解していた。
日の出と共に木々の合間から青い光が幻想的に差し込む森の中、男はゆっくりと腰を上げ道なりに進み続ける。
老婆に聞いた町を目指して…
私の名はルナ。
両親は死に別れ今は私を引き取ってくれたお医者様のイノーさんの娘として暮らしている。
お医者様って職業はあまり知られてないが怪我や病気の人を治療と言う名の技術で助けるすごい職業だ。
実際私の母も私を産んだ後に死んでしまったと聞いているがイノーさんが居なかったら私も助からなかった。
お母さんの記憶は全くないが町の人が教えてくれた話によるとお母さんが生きて私を産んで死んでしまう数日間をお母さんは凄く幸せそうにしていたと言う話だ。
その数日もイノーさんが居なければ有り得なかったという事もあり私は彼に凄くなついていた。
記憶はないが私の体には生まれて母が亡くなるまでの数日間母の母乳を貰って育てられたと言うことで私の体には母の命が巡ってるとイノーさんは以前話してくれた。
イノーさんは本当に私のかけがえのない家族だ。
しかし、最近奇妙な事に気が付いたのだ。
イノーさんの姿がどう考えても子供の頃に見た姿そのままにしか見えない。
回りの人は毎日見ているから小さい変化には気付きにくくイノーさん自身がお医者様と言う技術で若々しく生きる方法を実践しているからに違いないと言うがそれにしても若すぎる。
後10日で20になる私が産まれた時に医者の技術を身に付けていたと言うならせめて40はいってる筈…
ルナの小さな疑問、それを忘れさせるように町が騒がしくなりそれは聞こえてきた。
「森の魔獣に襲われた生き残りの少年が辿り着いたらしいぞ!」
次回は明日の午前7時頃更新予定です。




