ANOTHER 第47話 領主
今日、俺の娘が嫁に行く。
この世界に来て怒濤の数日で娘の両親を亡くしあの厄災とも言える事件で俺は領主と入れ替わった。
あれから色々あったがルイの起こした狂気の事件としてそれを命懸けで解決したと上に認めさせ領主を続けられた。
体の異常は火傷とルイの施した魔術によってそうなったと伝えたのが信じて貰えたのが一番大きかった。
特にルイの作った作品が次々と持ち主を襲ったのも俺の発言に信憑性を持たせたのが幸いしたのには苦笑いしか出なかったが。
「お父さん、今日まで育ててくれてありがとう」
娘の晴れ姿に感慨深くなる、あの日から徐々に感情と記憶を取り戻し今では俺の補助をしてくれていた。
婿養子を取って領主を継いで貰うのも考えたが娘には想い人が居るとのことだったので好きにさせた。
この判断には様々な貴族達から文句を言われたがそれは全て娘ではなくこの領地の支配を目的としているのが丸分かりだったので突っぱねた。
俺はここではない何処からか来たのか記憶にはないがこの国にはない木材の加工技術等を知っていてそれを職人達に教えたためこの領地の職人は世界的に有名になるくらいの技術を会得していた。
その為こんな森の中にある領地なのにかなりの繁栄をしていた。
おっと、話が反れたな。
娘が惚れたのはあの日屋敷から飛び出した俺たちを助けた門番だ。
二人を祝福し娘が家を出たら俺もこの国を去るつもりだ。
あの日から約10年も経過しているのに俺は年を取っていないのだからこのままだと色々と疑われてしまう。
娘に迷惑を掛けないように移動中に山賊にでも襲われたと言うことにして姿を消すつもりだ。
娘を旦那が迎えに来た。
俺は笑顔でその姿を見送り最後に心からの言葉を送った。
「幸せになるんだぞ」
娘が居なくなった我が家を最後に見て回り俺は軽装で家を出た。
使用人たちには何かあったときのための退職金代わりの用意もしてあるので気兼ね無く出発出来た。
人並みの幸せを一度は得られたからもう満足だ…
そう考え男は歩き出した。
死に場所ではなく死ぬ方法を求めて…
始まりがあれば終わりは必ずある、だからそれを見付けるために男は歩き続ける…
それは死を求めるが死ぬことを許されない男の物語
A END - 領主
これにてANOTHERストーリーAは完結です。
次回は明日の午前7時頃更新で通常の46話の続きからとなります。




