第5話 目覚めたら幸せな家庭
今自分がいるこの場所が本当に現実なのでしょうか…
「……パ………パパ……きて……パ…朝……起きて…」
頭の中に子供の声がする…
「パパ朝だよ起きて!」
男が目を覚ました。
ぼんやりと視界がクリアになってくる…
ふと横を見ると子供が自分の方に笑顔を向けていた。
「あっパパおはようーママがご飯出来たから起こしてきてってってさー」
ママ?ご飯?確か俺は黒い場所を歩き続けて黒い水を飲んで…
「どしたのパパ?怖い夢でも見た?」
この男の子は自分の事をパパと呼んでいる…
頭の中がぼんやりしつつ体を起こして一言…
「おはよう」
と声に出して自分の喉から自分の声が発せられたのを理解してようやく夢から帰ってきたのだと感じた。
「ママーパパ起きたよー!」
子供が部屋から出ていくのをフラフラとした足取りで付いていく。
部屋を出るときに横に置いてある写真立てに目が行った。
そこには見覚えのある女性と男が腕を組んで水族館で撮影したらしき写真だった。
もちろん男にそんな記憶はない。
そのままフラフラと部屋を出て階段を降りると男を待っている先ほどの写真の女性が居た。
「おはようアナタ、朝ご飯出来てるわよ」
この声…何処かで聞き覚えが…
そんな男の思考はモヤが掛かったように消え朝食を食べ始める…
「ねぇママ?どうしてママはパパと結婚したの?」
「ウフフ…それはね、パパが昔ママが悪者に襲われたところを助けてくれたの」
「パパ格好よかった?」
「えぇ、とっても格好良かったわよ」
勿論男にそんな記憶はない、だが目の前の自分の妻という女の顔と声には聞き覚えがある…
そのときの事を聞こうかと声を出そうとした男だったがその口から声は出なかった…
もしかしたらここは夢の中なのかもしれません…




