第46話 再歩
「オーイこっちにも死体が在ったぞー!」
男の背中に乗っていた瓦礫が実に2週間振りに避けられ男の背後から声がした。
だが男は動かない、もう動く気も無かったのだ。
助けられなかった…
男の腕の中に残る娘の遺骨。
男は娘を庇って落下後もその体を呈して娘の遺体を守り続けたが瓦礫は防げても炎は防げず、自らは再生した骨だけの体の腕の中で燃えて消えていく娘にずっと涙をながした。
そして、娘の頭蓋骨が熱せられヒビが入り欠けていくのと共に男の心も壊れていった。
「ダメだな、こっちには金目の物は無さそうだ」
瓦礫をどかせた男が男の周辺を片付けて色々探していたが何も見つからないのに諦めて何処かへ行ってしまった。
そして、男はそのまま身動きを取らず時の流れに風化していく建物と共にその場で眠り続けた。
沈む、意識も体もどんどん深い黒の中へ沈んでいく…
男はこのまま消えて死ねるならそれを受け入れようとその黒の中へ沈んでいく自分の魂を感じていた。
だが男の手の中に残った娘の欠片が男の手を引き上げた。
「まだ、死ぬことは許されないのか…」
男は黒の上に立っていた。
手の中にあった娘の欠片は男の手に同化し意識に「進もう」と声を掛ける。
男は死ねない、もう記憶も残ってないが死ぬことを許されてないと感じていた。
「歩こう、自分を殺してくれる存在を見つけるんだ」
男に新しい目標が生まれた。
男がそれを自覚したときに踏み出した足が空中をさ迷った。
地面がなかったのだ。
そのまま前方に落下していくのであった。
次回は10月25日の午前7時頃更新予定です




