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第3話 闇よりも暗い本当の黒

人は死んだとしても自分が死んでることに気付かない、だからさ迷い続けるらしいですね

男が歩き続けた後に足跡は残らない。

それに本人が気付いたのは森に足を踏み入れたときだった。

草を踏む音が聞こえなかったのだ。

だが男はその足を止めることも振り替えることもせずに真っ直ぐに森の中へ歩き続けた。


気が付いたら辺りは暗くなっていた。

どうやら今は夜のようだ。

それでも男は歩き続ける。

夜の森にしては音が凄く静かだった。


夜だ。

いや、それは闇だった。

木々の隙間から見えるはずの夜空は見えず一切の光の届かない場所を男は歩いていた。

真っ暗どころか黒というその色は光すら吸収しそれ自体が影として存在するかのような空間を男は歩いていた。

いつになれば死は訪れるのか、それしか頭になかった男は黒の中に自分という色しかない事実に遂に気付いた。

切っ掛けは些細なこと、水滴の落ちる音が聞こえたのだ。


そこは黒だった。

地面も空間も空も黒だった。

男はこのとき初めて立ち止まり周りを見回した。

遠くから水滴の落ちる音が聞こえる…


ぴちょん…ぴちょん…


そういえば喉が乾いたと男は感じ水滴の音のする方へ歩き始めた。

いつの間にか男の頭の中は死よりも水が意識を支配していた。

黒の中を男は歩き続ける…

水滴の音は反響しているのかそれが近くなのか遠くなのかも分からない。

ただ音はその一方向からしていたのでそれを目指して歩き続けた。


気が付いた時には足首まで水の中に沈んでいた。

ただ、その水すらも周りと同じ黒だったので漬かった自らの足が黒で見えなくなるまで気付かなかったのだ。

この作品は作者の都合により隔週の火曜から土曜の朝を更新予定にしたいと思います。

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