第2話 歩く男
人は死ぬとどうなるんでしょうね、産まれた時から人は死に向かって歩き続けています。
その終わりはいつ来るか分かりません、明日かもしれないし何十年後かも…
「次はお前だ!」
俺はそれを見て安堵した。
自らに復習をすることであの家族が満足するなら快くそれを受け入れようと考えたからだ。
人は死を恐れるがゆえに恐怖や絶望に対して無力となる。
だが、この男は自らが行った罪を認めそれを甘んじて受け入れるある意味悟りとも言える考えに至っていた。
そして、その日から男は窶れていった。
食事はしているのだが目に見えて痩せて体力も気力も無くなっていった。
男は夜な夜な自らを縛る金縛りと寝ている自分の周りを徘徊する影を感じこのままいつ取り殺されてもいいように仕事を辞め身辺の整理をした。
住んでいたアパートは自分が死ぬことで事故物件になり大家に迷惑をかける事を考え引き払い路上生活を開始した。
公園での寝泊まりには縄張り争いが幾度か起こったが彼の表情とその背後に取りつくこの世のものでないナニかの存在に恐怖して悪くない場所を確保できた。
そうして路上で生活をし始めて彼は一つの事実に気付いた。
そう、もう何日も水しか飲んでないのに空腹を感じなくなっていた。
数週間前まで彼は見た目通りの20代の男性だったが既にその面影は無く、骨と皮だけの老人のような外見に変貌していた。
だが、彼は死ねなかった…
何日か経過して彼が住んでいた公園に人が来なくなってきたのを感じた。
彼という存在に周囲の人間が恐怖して近付かなくなったのだ。
彼はその事に罪悪感を覚え公園を後にした。
彼は歩いた…
目的地などない…
ただ自分に取り付いているナニかに殺されるそれを唯一の安心と考えていた彼は死ななくなっててた。
あれから何日過ぎたか分からない。
もう食事どころか水すらも飲んでないのに彼は死ねなかった…
着ている服は既にドロドロで異臭を放っていた。
体の周りには虫が飛び回り身体中のあちこちにウジが徘徊していた。
だが彼は死ねなかった…
もうどれくらいの月日が流れたのかも分からない。
どれだけの距離を歩いたのかも分からない。
だが彼は歩き続けた。
そこはとある田舎町だった。
過疎化して大通りと呼ばれそうな商店街はシャッター街となっていた。
男はその街中をただまっすぐ進む。
既に男の頭の中には自分が何故歩いているのかも分からなくなっていた。
畑の横を通ったときに村人らしき人を見掛けた。
だが男はただ真っ直ぐに歩き続けていたので気付かなかった。
既に自分が周りの人間にその存在を気付かれていないことに…
読んでて独特な雰囲気を感じながら読んでいただけたら幸いです。




