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第100話 脳内麻薬

(許されてはいけなかったんだ。俺は苦しみ続けないといけない・・・)


男は後悔の念に押し潰された。

気付けば真っ暗闇の中。

何処までも体が沈んでいく・・・

あぁ、俺はこれで死ぬまで苦しめるのか・・・

男はそのまま目を閉じて全てを受けれた。





「排出止まりました。」

「よし、951番は暫く休ませろ。次!」


真っ白の完全に無菌となった部屋に男は居た。

目を開けることはもう無い、自ら志願してその身をここに提出したのだ。


ここは世界に革命を齎した後遺症の全くでない麻薬を販売する製薬会社『スケルトン』

ここでは人体に無害だが快楽を与える麻薬を作っている。

これは医療現場でも事故現場でも特に重宝される薬である。

例えば麻酔の効かない患者であってもこの麻薬により痛みを快楽に変えられる。

事故現場でも救出に時間の掛かる場合に置いて痛みでのショック死を回避する為に使われたりとまさに世界の医療に革命を齎した薬である。


その生産工場がここ『スライム』研究所である。

ここで扱われているのは人間の脳である。

人間の脳にバーチャル空間の体験を見せる事により興奮状態にしてその脳から分泌される20種類の脳内麻薬を抽出する。

それを他人にも副作用なしで使用できるようにした科学者が951番と呼ばれているさっきの男であった。


「本日のエンドルフィン、ドーパミンの抽出終わりました。」

「エンケファリンの抽出量は本日予定数を下回っております。」

「予定量が取れなくても無理はさせるな」


今日もこの研究所では5000人の脳から順に脳内麻薬が抽出されている。

その工場の作業を終えて喫煙所に行った二人の男の会話を聞いてみよう。


「なぁ、さっきの951番の脳がここを作った天才の脳なんだってよ」

「へっ?作った本人が身売りしたのか?」

「違うんだってさ、なんでもここの脳を集めるのに植物人間になった人間の脳を集めていたそうなんだが、娘さんの脳を両親の許可を貰って取り出しここで抽出しているのを実際に見せて両親さん自殺したらしいんだ」

「うわぁ~確かに自分の娘の脳が死ぬまで永遠にここで脳内麻薬を作り続けるだけの機械にされると考えるとね・・・」

「っで、あの人はその家族を殺したのは自分だと言い出しその脳を提供する事を決めたんだそうだ。」

「責任感が強かったんですね」

「いや、きっと逃げたんだろうよ・・・」


二人の男性の会話は男の脳の真実・・・

名前も忘れられた男は今日の仕事を終え脳を眠らせる。

そして、明日また別のバーチャルな世界の住人となりその脳内麻薬を抽出される。

それは人間の脳が記憶できる限界と言われる130歳になるまで続けられる・・・


罪の意識から本当に男は逃げたくてその脳を提供したのか。

それとも自分で作った物の中に自分を入れる事で完成すると考えていたのか・・・

それは誰にも分からない、ただ男は毎日バーチャルな世界を永遠に旅するだろう。

その世界は本人が望んだ異世界と言う事以外何も分からない。

だが、本人が脳内麻薬を出せると言う事はそれが本人の求めるものなのだろう。


男の脳は眠り次に起きたら記憶は初期化されまた新しい世界へ旅立つ。

次はどんな恐ろしい体験をするのか・・・

死にたいが死ねない、そんな思いを抱いているなんて誰も知らない。


ここは脳内麻薬を薬として販売する会社『スケルトン』

一人の悲しい男が作った世界最高峰の製薬会社である。



----- 完 -----



これにて『呪われた死にたがりの男』 は完結です。

何かホラーな作品を書いてみようと考えてバーチャルな世界を体験する死なない男の物語として考え始めたのがこの作品でした。

その後、マルチエンディングにするのもいいかもと考え連載を開始しました。

筆者の特殊な仕事形態で隔週火曜~土曜まで朝1時間の暇な時間があったのでその時間を使って書いてきましたがどうだったでしょうか?

エンディングもそうですが結構好き嫌いの分かれる特殊な作品になったと思います。

是非是非ここまで呼んで下さった方、感想や評価をして頂けると嬉しく思います。


次回作の話なのですが。

実はちょっとした企画を考えております。

準備が整いましたら発表したいと思いますのでそれまで同時連載している他の作品もどうぞ宜しくお願いします。


それではまた他の作品でお会いしましょう。

ここまでお読み頂き本当にありがとうございました。

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