ANOTHER 第100話 全ては休暇だった
「死は誰にでもやってくるんだ。だから死ぬその日まで生きよう・・・」
そう考えて目を瞑った。
それが男が最後にこの世界で考えた内容であった。
「さて、休暇は終わりだぞ。起きて働いてもらおうか」
白衣を着た男性がこちらを見て声を掛けている・・・
そうか、俺は夢を見ていたのか・・・
だんだん思い出してきた。
俺達の生活していた地球は第8次世界大戦で滅びて生き残った人類は宇宙へ旅立ったのだったな・・・
「博士、彼がそうなのですか?」
「そうだ、彼が居ないとこの船は動かないのだ。」
そうだ、俺がこの船を操作しないと駄目なのだった・・・
寝る前に一番近い人類が生存できそうな星を調べてそっちへ向かってからまだ279年か・・・
到着まで何世代変わるんだろうな・・・
「しかし、これが人類が最後に選んだ生態脳コンピュータと言うのは今でも信じられません」
「そうだな、だが彼が居なければ我々は今日ここに立っていなかった。」
「そうですね・・・」
そうだ、俺は地球で科学者をやっていた。
そして、世界大戦で地球が死の星になり宇宙へ脱出する際に永久に稼動できるコンピュータを作ろうと考えたらそれは無理だった。
ただでさえAIの暴走事故は今までも多発していたのだ。
だから私は考えた。
AI何ていう不安定で危険で高価な物よりも、私の脳と言う安価で安定した天然物をしようすれば良い。
私は人類が最後にどうなるのかも知りたかった。
こうして私は肉体を捨てて生態脳コンピュータとしてこの船を永遠に動かせる存在となったのだ。
この生存した人類を乗せた最後の箱舟『ノア』を守れる存在として・・・
さぁ、人類は新しいあの星でどうやって生きていくのか・・・
位置情報から太陽系第3惑星とでも名付けようか。
だがそこに辿り着くまでまだ4231年掛かる計算か・・・
世代交代で元の星の事を知る者は私しか居ないだろうな。
私は人間だった頃に口元を歪ませていたように笑みを浮かべたつもりになった。
「それにしても博士、この生態脳コンピュータに使用していたこれは何なんですか?」
「これはこの脳を休ませる為に本人が人間だった頃に作り上げたバーチャル体験マシーンだ。」
「あぁ~歴史書で見た事在ります。確か現実と夢の区別が付かなくて発狂する人が多発したとか・・・」
「それは一部の人間だけだそうだ。むしろこういう刺激が無いとこの生態脳コンピュータはこの永遠と続く航海に飽きてしまうだろうからな」
「そうですね、永遠を生きる脳ですからね・・・」
私が作ったゲームは他にもある、次の休暇にはホラーではなくもっと楽しいコメディーな世界を堪能できる物にするか・・・
それとも人生を普通の人として退屈な毎日を送れるものにするか・・・
この何もない宇宙を延々と操縦するだけの私の唯一の楽しみでもある。
そう言えば、このホラーゲームの中で私は死にたいのに死ねないと言う設定で生きていたな。
無いもの強請りか・・・
よし、次は全身で戦いに明け暮れる無双物にしよう!
宇宙を進むその船の名はノア。
かつて人類が滅ぼした星の生き残りが乗った船・・・
それは数千年後に太陽系のとある星に到着しそこで人類は新たな生活を始めるだろう・・・
願わくば滅びる事無く私のほうが先に消えたいものだな・・・
おっとこれじゃあのゲームの主人公じゃないか。
・・・ルナ・・・か・・・
これは人類が地球に到達する数千年前の物語。
この脳がどうなったのかって?
きっと今も天の上から見守ってくれてますよ。
F END - 人類の道
次回もう一つの最終回。
お楽しみに




