表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
108/113

第96話 ドクターイノーのコレクション

「ル…ナ…逃げ…ろ…」

「あ…アンディ…」

「早く!逃げろぉ!」

「ひっ?!」


男の怒声にビクッと体を震わせ階段を駆け降りるルナ。


「だめ…だ…頭が…」


男の中ではこの村の人々の記憶と意識が同調していた。

他人の意識が頭の中に入って来る度に自我は薄くなり男の中で蠢く何かに形を変えつつあった。

それは人間が持つ本能、まさに生存本能であった。

三大欲求が体を支配する…

食欲は死体を食べればいい、睡眠は眠ればいい…

だが性欲は…


男の頭の中に先程視界に入ったルナの姿が浮かぶ…

その本能に支配された男の体は変化を始めた。

より性欲を発散できるように異性を捕まえて離さない手足は触手へ。

それはおぞましい姿となり地下への階段を降りていく。

遠くに駆ける音が聞こえ狩りの本能に笑みが浮かぶ。

既に自我を無くし求めるのは野生の欲と達成感のみとなった男は地下通路を奥へと追い掛ける。


扉の閉まる音が聞こえた…

もうすぐだ…

もうすぐ…


男は触手の塊と化している手足を使い見えた扉を止まること無く破壊しその中へ飛び込む。


「いやぁぁぁぁぁ!!!」


通路が別れていたが獲物の声がした左へそのまま飛び込む。

そこにはルナを捕まえて今にも殺しそうな継ぎ接ぎだらけの人形の何かが居た。


「ソレハオレノエモノダ」


瞬時に触手でその何かを締め上げ宙に浮かせる。

何本か触手を噛み千切られたが切れた触手は別の触手が直ぐに取り込み元通り再生する。

そしてそのままその怪物を絞め殺し捕食する。

憎悪に恐怖に絶望に溢れ返った感情が男の中に更に流れ込み気が狂いそうになる。

自らの体を制御しきれなくなりつつある男は視界の隅にルナが奥の部屋へ駆け込むのを見かけた。


「タスケテ…ルナ…」


それは男の言葉なのかアンディーの言葉なのか…

自我が塗り替えられ続け発狂しそうになる瞬間に別の意識が常に流れ込み藁にもすがる導き出された答えが…


「カノジョヲクエバタスカル…」


であった。

そして、その怪物は奥の部屋へ飛び込んだ。

その部屋の中央で鬼と化して苦しむ父親に隠れるようにルナはすがり付く。

怪物と化した男はその部屋に入って自身の中の声に潰されそうになる。

その部屋には壁沿いに敷き詰めるように瓶が置かれていた。

ドクターイノーのコレクションルームだ。

そして、その中には人間の脳が丁寧に年齢の別に性別も分けて並んでいた。

男の中に居た人間の親族の脳が多数保存されていたそれを感じ取ったのか、まるで久し振りに会った親族に飛び付くように男の中に居た様々な人間が、男の体から勝手気ままに飛び出し男の体は、その場で飛散し飛び散るように部屋中に血を撒き散らしながら蠢く肉片を瓶に向けて飛んでいく。


その場に残った男の本体の骸骨がその場に倒れ、部屋の光景にルナは絶叫するのであった。

次回は来週中に更新すると思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ