脱。暴走族宣言。
目の前に広がる田園風景、畦道を跨ぐ水道橋、車通りの少ない街道沿いにぽつんとそびえる病院、山裾を走る電車、色付いた山々、それらをオレンジ色に染める夕陽。
僕の心の中に、この場所で見る夕焼けに勝る景色はない。
この景色を望む場所に特別な思い入れもなく、見ている景色は育った地域の隣町の知らない人達が住む場所だけど、この夕焼けに染まる田舎風景が心から離れない。
僕の名前は源田昭二。
高校を中退し、地元の暴走族に所属している。
暴走族内のポジションは特攻隊の隊員らしい。
いっこ上の連中が鑑別所や少年院のブランクを補おうとして、なかなか引退しないので、繰り上がれない。
一体、奴らは何才までやるつもりだ?
僕らはもう中学からやってきて、すっかり飽きたんですけど。
今日もまたこの場所に立ち、僕は黄昏ている。
僕は何になりたいんだ?
将来への不安を抱え、このままじゃいけないとおもう。
17才の冬の夕暮れ。
何てセンチメンタルジャーニー。
「オーイ!俺の人生どうなるんだー?」
夕陽に問いかけてみる。痛々しく。
独りで叫んだところで周りに誰もいないが恥ずかしくなる。
超恥ずかしい。
「よし、暴走族辞めよう。」