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勇者は聖剣が持てない  作者: ピクトグラム
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プロローグ

 皆さんはじめまして、俺の名前は小柳(こやなぎ) 影男(ふぁんとむ)と言う。

 カゲオとは読まずにファントムと読む、その心は……なんだか涙が出る。

 何お思ってこんなキラキラネームにしたのか、一度親に問い詰めたら、一言「かっこいいじゃん」とのことだ。

 なにがカッコイイのだろう、理由にもなっていない理由で俺は唖然とした事を今でも覚えている。


 そのせいで俺は、小中高と周りからバカにされ終いには引き込みがちになり一度は自殺しようと考えたものだ。

 そんな俺も何とか大学を卒業して就職をしたんだが、3年程で退職し今ではで27歳までニート……

 もともと引きこもり体質だったせいか運動もせず2年間も食う寝るを繰り返していると太りもする訳で、今ではただのデブだ……プハァー今日もコーラがうまい!


 あと、顔は自分で言うのもなだが、小さい頃は近所のおばちゃんたちに「カワイイね」って可愛がられた事もある。――小さい頃は……ね。

 だんだん気持が暗くなってきたのでこの話はこのくらいにして……

 

 突然だが、世の中不思議な事があるもので、

 俺は今異世界に居る、と言うよりも半ば強制的に異世界に連れてこられたわけだが……


 なぜこんなことになっているかと言うと少し時間をさかのぼる……


 いつものように近所にあるコンビニにコーラを買いに行った時のこと、

 運が悪い事に、コンビニの中で強盗がせっせと仕事をしている最中だろうか、俺は異変にすら気がつかずにそのままコンビニに入ろうと自動ドアの前に立った。

 その時、強盗も慌てていたんだろうか、自動ドアが開いた瞬間、サクッとお腹に刃物を刺された。


 さすがに、急に刺されたもんだから状況もわからず、刺された部分を見ると大量の血液が流れ完全な致命傷を負った。

 こりゃ死ぬな…って死を悟り、刺された部分を抑えながら某ドラマ張りに


「なんじゃこりゃー!」って言ちまったけど。


 マジであの時は痛かった。

 まあ、痛いを通り超えて最終的にはそのまま意識が切れちゃったんだけど。

 

 しばらくしてから、ようやく気が付いたら真っ白な空間に立っていて、目の前に黒っぽい影が現れ、子供の様な声で語り始めた。


「こんにちわ、僕はミクト、この世界の神様だよ。突然だけど、君を生き返らしてあげるよ」


 と言う感じで現在に至る訳だが、

 (突然、何こいつ…神って、マジでいってるのか?って言いうか、今俺を生き返らせるって言ってるけど、絶対裏があるだろう……)

 そんな俺の心を読むかのように神は、俺の疑問に答え、


「うん、不審に思うかもしれないけど僕はこれでもれっきとした神様で、君を生き返らすことが出来るよ。あ、もちろん条件付きだけどね」

 ミクトは俺の疑問に答えながら条件を言い始めた。


「まず、君を生き返らせると言っても、君がいた世界じゃなくて僕の世界……いわゆる異世界になるかな。とりあえずこちらの世界で甦って勇者となって魔王と戦ってもらう予定だけど、君の場合は、通常は転生とか召喚って方法で君をこっちに連れてこれないんだよねー。だから、召喚転生って方法で生き返らせることにするけど問題ない?ああ、転生って言うのは、あちらで死んだ魂をこちらに持ってきて生まれ変わる事で、召喚って言うのはあちらの世界からこちらの世界に体ごと連れてくる方法だけど、君の場合死んじゃって魂だけだから出来ないんだよね。でも転生は出来るけど時間がかかるから君の魂だけこちらの人間に移し替えるのが召喚転生ってことね」

「いやいや、甦り方の問題じゃなくて、いつ俺がそっちの世界に甦りたいって言ったよ。そもそも魔王を倒すって何の話だよ!」


(いくらなんでも意味が分からないだろう。何で死んだら勇者になって魔王を倒すとか、展開がファンタジーすぎるだろ)


「え?生き返りたくないの?ああ、大丈夫だよ、ちゃんと魔王を倒せるようにある程度の能力はあげるからさ。それに、武器防具も付けてあげるから安心してね。それと、君がこれから召喚転生する先は、もう決めてるから問題ないね」


 まったくもって何が大丈夫なのか意味が分からない。

「人の話も聞かずに何勝手に転生だの召喚だのを決定してるんだよ!俺はそっちの世界に甦る気はないし、大体なんで俺が魔王とやらと戦わなきゃいけないんだよ!お前神様なんだろ。だったらお前自身で戦えばいいだけじゃないか!」

 少しイラっとしながら文句を言ったが、ミクトは悪びれもせず、


「そう言ってもねー。僕たち神様にも色々と規則があって直接世界に干渉出来ないんだよね。もし規則を破ったりすると最悪、神様の称号がはく奪されちゃって僕はこの世界から消されちゃうんだよ。だから僕の代りに魔王を倒してほしって訳、それに、甦りたくないって言っても、もう決まったことだし諦めて戦ってよ。ついでに言うと君には拒否権なんてないんだよ」


「――な!?」


 あまりにも簡単に言われ俺は絶句するしかない、しかし、その表情に気付いたのか嬉しそうな声で、

「クスクス、住めば都って言うし案外楽しいかもしれないよ。ネ!それに、もし君が魔王を倒してくれたら僕に出来る事なら一つだけ、どんな望みでもかなえてあげるよ」


「じゃあ、今すぐ死ねよ!(いらねぇよ!)」

(あ、間違えた。本音と建前が反対になっちまった)


 そんな俺の心を知ってか知らずかおどけたように、

「ひどいなー神様の僕に死ねって、なかなか面白い冗談だけど、ちょっと難しいかな。僕には人の生死は取り扱えないんだよね。でも、君をもとの世界で甦らせて億万長者にするとか、この世界の王様にするとかぐらいは出来るから頑張ってよ。僕も出来る限りのサポートはするつもりだよ。とは言っても仕事が忙しくてなかなか会えないかもしれないけどね」


 相変わらず楽しそうに喋ってきてイライラするが、これ以上言っても仕方ないと、俺は諦めて憑依先の事を聞くことにした。

「わかったよ。行けばいいんだろ!どうせ俺の言う事なんて聞く気がねぇだろうし、で、俺は誰の体に憑依するんだよ!」

「えっとね、君が召喚転生する先は、ちょっと前に魔族によって殺された人間がいるんだけど、間もなく彼の魂が完全に体から離れるから、その隙に入れ替わってもらうね」

 そう言うと、俺の周りがだんだん透明になっていく、

「お、おい、俺の体が……段々と消――て――」

 最後まで言葉を言えずに俺の体はこの空間から消えた。




 そして、現在に至る。


 しばらくして、顔に木の葉のしずくが俺の顔に目が覚めた。


「――う…ん……ここは……」


 俺は木の下で座っていたのか、立ち上がり、辺りを見回した。

 木々が空を覆ってるせいか日が当らない、そのため薄暗いはずが不思議と明るく感じる。

 よく見ると木々の葉っぱ一枚一枚がぼんやりと光っているからだろう。


(俺の世界ではこんな木見たことないな……本当に来たんだな、異世界……)


 異世界に来たのだと実感した瞬間、はぁ、と溜息がこぼれた。

 俺の日常はこうして幕を閉じ異世界の生活が始まったのである。


はじめましてピクトグラムと申します。

つたない文章ではございますが、

温かい目で見てやってください。

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