カンパンマン
ある晴れた日のことでした。
カンパンマン
「僕は正義の味方カンパンマン！ 困ってる人はいないかな？」
空を飛んでパトロールをしているカンパンマンの耳に、女の子の泣き声が聞こえてきました。
ウマ子ちゃん
「えーんえーん」
カンパンマン
「おや？ あそこに泣いてる子がいるぞ！ なんだろう」
ウマ子ちゃん
「えーんえーーん」
カンパンマン
「やあ、どうしたの？」
ウマ子ちゃん
「あ、カンパンマン。道に迷っちゃったの」
カンパンマン
「道に迷ったのかい？ なら、僕の背中に乗ってよ。今いる場所を空から見てみよう」
ウマ子ちゃん
「ありがとう、カンパンマン！」
ウマ子ちゃんはそう言ってカンパンマンの背中に飛び乗りました。
カンパンマン
「うお！」
意外と重いウマ子ちゃん。体重１００㎏の巨体です。
ウマ子ちゃん
「大丈夫？ カンパンマン」
カンパンマン
「……ふ、ふふ、な、なんのこれしき……ふんぬううううーーーー！！！！」
カンパンマンは気合を込めて飛び上がりました。
ウマ子ちゃん
「すごーい、お空を飛んだの初めてよ！ きゃっきゃっ！！」
カンパンマン
「……ふ、ふふふ、ウマ子ちゃん…ちょっとじっとしててくれないかな？ お、落ちるから。マジで…」
お空を飛んだウマ子ちゃんは、無事に目的地に着きました。
カンパンマン
「ぜえ、ぜえ、ぜえ……」
ウマ子ちゃん
「ありがとう、カンパンマン！！」
カンパンマン
「ぜえ、ぜえ……せ、正義の味方としてはこれくらい……屁でもないさ……オエ」
今にも死にそうなカンパンマンです。
ウマ子ちゃん
「じゃあね、カンパンマン！」
カンパンマン
「……ぐっじょぶ」
カンパンマンはフラフラになりながらもパトロールを続けます。
ウシ男くん
「もおーん、もおーん」
カンパンマン
「んん？ 誰かが泣いてるぞ……」
ウシ男くん
「もおーん、もおーん」
カンパンマン
「やあ、どうしたの？」
ウシ男くん
「あ、カンパンマン！ 実はお腹が空いて動けないんだ」
カンパンマン
「お腹が空いたのかい？ じゃあ、僕の顔を半分あげるよ」
ウシ男くん
「うわーい」
カンパンマン
「ふんぬううぅぅぅっ！！ ちぎれろ！ 飛び散れ！ 僕の顔おおおぉぉぉぉっ！！！！」
カンパンマンは絶叫しながら自分の顔を引きちぎっていきます。
ウシ男くん
「あ、いや、カンパンマン、む、無理ならいいんだけど…」
カンパンマン
「うがああああああぁぁっ！！」
ウシ男くん
「ひいいいぃぃぃっ！！！！」
カンパンマンは絶叫とともにカンパンをウシ男くんに差し出しました。
カンパンマン
「はぁ、はぁ、カンパンだよ」
ウシ男くん
「あ、ありがとうございます……」
ちょっと後ろめたさを感じながらカンパンを頬張るウシ男くん。
カンパンマン
「おいしいかい？」
ウシ男くん
「は、はい、塩味がきいてます……」
カンパンマン
「それはよかった。さっきまで僕の顔だったやつだからね。僕を食べてると思って存分に味わっておくれ」
ウシ男くん
「……んぐっ」
困ってる人には、自分の犠牲もいとわない正義の味方カンパンマン。
彼は今もどこかで困ってる人を助けてます。
頑張れ、カンパンマン！！
最後までありがとうございました。つづきます！！
