ターザン
★この物語はフィクションです。実在の人物、団体名等には一切関係ありません。
一人の学者がジャングル奥深くに住むターザンに出会った。
ターザン
「あーああーーー」
学者
「おお! 君はもしやターザンか!!」
ターザン
「オレ、ターザン。おまえ、だれ」
学者
「私は生物学者のガクシャ・タローだ。ジャングルの生態を調べにきたのだ」
ターザン
「せいぶつ、がくしゃ? シートン、動物記?」
学者
「いや、シートン違う。そんな偉大な人じゃない。わたしはガクシャ・タローだ!」
ターザン
「ガクシャ、タロー? ジロー、ラモ?」
学者
「モデルでもねーよ! わざとか? わざと言ってんのか!?」
ターザン
「ジャングルに、なにしに、きた」
学者
「ジャングルの生態系を調べにきたのだ。まさか君のような人間に会えるとは」
ターザン
「にんげん?」
学者
「そうだ、君はわたしと同じ人間だ」
ターザン
「オレ、ターザン。にんげん、ちがう」
学者
「いや、よく見てみろ。わたしと君は、まったく同じじゃないか。君は人間なのだ」
ターザン
「ちがう、おまえ、ジジイ。オレ、イケメン」
学者
「失礼だな、君は!!」
ターザン
「ここ、オレのすみか。よそもの、帰れ」
学者
「いいや、君のような存在を発見したからには帰れないな。力づくでも連れて帰るぞ!」
ターザン
「やれるものなら、やってみろ、ジジイ」
学者
「ジジイ言うな」
ターザン
「オレ、ジャングルの王者。誰にも、負けない。オレのあだな、おやまの大将」
学者
「それ、ダメなほうだよ! なに自慢げに言ってんの!? っていうか、誰がつけたんだよ!」
ターザン
「趣味は、カラオケ」
学者
「聞いてないよ! ジャングルにカラオケないよ!」
ターザン
「最近の、悩み、花粉症」
学者
「ジャングル出ろよ! それこそ、ジャングル出ようよ! 治るかわからんけど」
ターザン
「あと、動物アレルギー」
学者
「すごいな、きみ! それでターザンやってたの!?」
ターザン
「牛乳、飲めない。ハラ、壊す。身体弱い、オレ。ちょっと、風邪ぎみ」
学者
「いろいろダメだな! ジャングル出ようよ、死んじゃうよ」
ターザン
「でも、行かない。ジャングル、オレのふるさと」
学者
「いや、きみは人間だ。人間らしく、生活するべきだ。わたしが教えてあげるぞ」
ターザン
「やだ。社会、出たくない。いっそ、このまま」
学者
「引きこもりか!!」
ターザンは、いまもどこかのジャングルにいるらしい。
最後までお付き合いありがとうございました。つづきます!!