絶望の???ゲーム
久しぶりの投稿です。
何故、???なのかは物語の終盤に解ります。
ある少年が何者かに監禁された。
部屋には鍵がかかった扉が1つあり、壁は分厚い鉄で覆われている。
また部屋の中心に大きい段ボールが1つポツンと置かれていた。
「ど、何処だ……ここは?」
状況がわからない少年は部屋の周りを見渡すと……。
「うわ!?」
突然壁に文字が浮かび上がり、少年は驚きの声をあげた。
壁にはこう表示されている。
これからお前にはゲームをやって貰う。
〜手順〜
1・この部屋にある扉を開けて次の部屋へ進んで下さい。
2・次の部屋に付いたらゲームを始めて下さい(ゲームのルールや詳しい説明は次の部屋の壁に表示されます)
ゲームにクリアすればあなたを自宅に転送してあげます。
…………………以上です。
少年が表示された文字を一通り読み終わると、壁の文字は跡形も無く消えてしまった。
「くそ、ふざけやがって!! 」
ドン!!
あまりの一方的な状況に少年は部屋に置いてあるダンボールを蹴り上げた。
「ハァハァ……ん? なんだこれは?」
ダンボールにはアジの干物が大量に入っており、蹴り上げた衝撃でアジの干物は部屋中に散らばってしまった。
「……チッ、何なんだよマジで訳わかんねぇよ」
理解不能な状況に少年は頭を抱えうなだれた。
「…………行くか。」
数分程うなだれた後、少年は立ち上がった。
「とにかくこのまま黙ってても仕方ねぇ、ゲームがどうとか言ってたがクリアすりゃ帰れるならクリアするまでだ!!」
少年はそう意気込むと、真っ先に扉へと向かった。
ガチャ
「ハァ……ハァ」
ドアノブを握り締めた少年に緊張が走る。
見ず知らずの少年を誘拐してまでやらせるゲームだ、おそらくクリアするには一筋縄ではいかないだろう。
しかし、少年にはクリアする自信があった。
少年は陸上部に所属しており、運動神経はかなり良く部員には一目置かれていた。
また、パズルゲームも得意で、誰もが頭を抱える難問も少年はスラスラと解いてみせた。
さっきは怒りのあまり取り乱してしまったが、冷静にさえなれば例えゲームの内容が、身体を動かすゲームまたはパズルゲームであってもクリア出来ない事はないはずだ。
「フー、フー、……よし!」
少年は緊張をほぐすために深呼吸を繰り返すと、覚悟を決めるとドアノブに力を加えた。
ガチッ…………ガチガチ……。
ドアノブが動かない。
どうやら扉には鍵が掛かっているようだ。
「ハァ? ちょ、待てよ!!」
ガチッガチッガチッガチッガチッガチッガチッ
少年は慌てた様子でドアノブに力を加え続けるが、ドアノブは回る気配がない。
「ちくしょう、次の部屋でゲームやるんじゃねぇのかよ!!」
ドンッドンッドンッドンッドンッドンッ
今度は扉を叩くが一向に扉は開きそうにない。
ドンッドンッ…………
「いや…………落ち着け」
扉を叩くのをやめた少年は膝に手をついた。
「さっきみたいに取り乱しても仕方がねぇ、とりあえず冷静にならねえと駄目だ」
少年は自分にそう言い聞かせると、辺りを見回した。
部屋にあるのはダンボールとその中に入っていた大量アジの干物、それ以外に何もない。
「ひょっとしてもうゲームは始まってんのか? だとしたらアジの干物に何かヒントが隠されてるのかも知れねぇ」
少年は膝に置いていた手を離すと、アジの干物が入ったダンボールに向かい歩き出した。
少年が誘拐されて3日たった。
少年は、すっかりやつれ、壁に背を置いて座りずっとアジの干物を噛み続けていた。
これまで大量にあるアジの干物を一つ一つ調べていき、さらにはダンボールもバラバラに破いて中に鍵が隠されてないか探したりと、とにかくやれる事は全てやった。
しかし、結局ヒントになるものは何も無かった。
この3日間、アジの干物で空腹を満たしてきたが干物も残りわずかだ。
カチン!!
乾いた音が部屋中に響いた。
突然、扉の鍵が開いたのだ。
しかし、少年は動く気配がない。
ただ遠くを見つめながら、呆然とアジの干物を噛んでいる。
(????)
鍵が開いた音がして数分後、かすかに別の物音がした。
その音は扉越しに聞こえたためか、常人には微かに聞こえるか聞こえないかの音だった。
すると
鍵が開く音にすら反応が無かった少年はその微かな物音を聞くと、カッと目を見開き凄い勢いでドアに向かった。
ガチャリ
バン!!!!
少年は扉を勢いよく開けると、そのまま一直線にその物音がした場所へと向かった。
少年は死んだ。
倒れた少年のすぐ近くにある壁には文字が表示されていた。
~がまんゲーム~
ルール
あなたには、この部屋にある水道の蛇口を回すのを我慢して貰います。
我慢する時間は30秒です。
我慢できたらゲームクリア、家に転送してあげます。
残り時間内に蛇口を回した場合はアウト、回した瞬間に即死します。
それではゲームスタート!!
……………以上です。
ジャ─────────
さっきまで ピチッ、ピチッ っと力無く聞こえていた微かな水滴音は急激に成長し大きな音となった。
そして
その音は大量に流れる水道水と共に、もう動かない少年に降り注いだ。
残り時間 28 秒
久しぶりの投稿でしたが、いかがでしたでしょうか?
複雑なゲームを期待していた人はすみません(汗)
次回も出来れば書きたいと思います。