ガルム君の7日目(動乱)⑬
視界が歪み、振動で激痛が体を駆け巡る。
ズズ!!
腹の中で尻尾が動く。
「ぐぅ!!」
「……そのままで、いてくれ」
言葉が伝わるのか動きを止めてくれる。
……キツイ。
きつすぎる。
声が…さっきより近づいてる。
(アストレア~助けてくれ~)
はぁ…。
希望にすがるのはダメだ。
あいつは僕を尊重してくれた、
助けには来ない。
「ふぅー」
歯を食いしばり目を見開く。
行くか――
……まだ終わってない。
◇ ◇ ◇
「やったー!特別ボーナス発見♪」
オレンジ色の髪が風に靡く。
少年を追っている。
それに追随する青髪の長髪の美男子が口を開く。
「俺ならここからでも射貫けるぞ?殺るか?」
「ダメダメ!私が殺らないと独り占めできないでしょ!」
「金なら全部やるよ」
「お金以外信じないよーだ!」
「はいはい……しかし速いな」
「……だね」
「私には関係ないけどね~」
音もなく消えるイオリ見送りその場で弓をつがえる。
「魔族はキライでね」
◇ ◇ ◇
キン!
後方からの音に振り返る。
「おまえ」
腕に納まる獣の尻尾が後ろに伸びている。
矢。
……こいつが?
感謝は後だな。
……来るか?
後ろに、1人。
「ぐあ!!」
泥が口の中に入る。
蹴られた――?
……見えない。
誰も、いない――
「ばいば~い」
殺気――
背後からの声――
奪わせない!!
キイイン!!
「え?」
金属がぶつかる音が脳に響く。
「やっほ」
誰だ、こいつ。
手を振る目の前の黒髪の剣士を睨みつける。
「志乃ちゃん邪魔しないでよ~」
オレンジ色の髪の手首を僕が掴み―――
その手に短い刃物が首に向かう―――
その隙間に黒髪の剣が間に割り込んでいる―――
「へぇ、イオリの攻撃止められたんだ?」
「止められてないし!ここから殺せます~」
敵……だよな?
「イオリ、この子は私の獲物ね?今決めたから!宗平も!!」
「志乃ちゃんまた~?!その悪癖どうにかしてよ~」
「驚かせてごめんね?行って行って」
「うぅ~お金が逃げる~」
首の刃物を2人がどけて道を開ける。
こいつらに背中を見せる?
冗談だろ。
「フッ!ほらイオリ行くわよ、北にお金があるからさ」
「貴族の奴ら許可出さないじゃん!!{お前らの力などいらん!!}だってさ!じゃあ呼ぶんじゃねぇ!」
「はいはい」
2人の離れる背中を睨みつける。
「災難だな魔族、あいつの期待に応えた方がいいぞ?
期待を裏切れば足先から刻み付けられるからな」
男の手に握られた矢の先端で頭を軽く刺される。
警戒をしていたのに。
ック!
どれだけ弱いんだよ、僕は!!
拳を地面に叩きつける。
◇ ◇ ◇
「なんで本気で殺そうとしなかったの、イオリ?」
「え~?動物に優しい子って好きなんだよね~、それに」
イオリの視線が志乃に向く。
「あっ!ばれてた?」
「もうやだこの子~、宗平からもなんか言ってよ!」
「言っても聞かないだろ、もう手は尽くした」
「短時間で強くなってた……、アハハ楽しみだなぁ」
「「戦闘狂が」」
「褒めないでよ!もう!」
「「はぁ」」
◇ ◇ ◇




