ガルム君の7日目(動乱)⑨
村に戻ると。
皆の視線がこちらに注がれる。
(状況を説明してないしな)
村長がこちらに寄るので僕は広場に足を向ける。
「ガルム、ここに居ろ」
「大事な話なんだろ?」
「だからだよ」
頷きで返し。
村長が目の前に来る。
「バーモント今すぐ逃げる準備をしなさい」
「それは出来ぬ、わしらに行く場所はない、知っておろう?」
「……忠告はした」
アストレアの背を見送る。
「村長、宴はどうするの?」
「するに決まってるじゃろ?この村にとって大事な行事じゃ」
誰も、笑っていない。
「ほれ皆の衆!宴の準備を進めるぞ!」
誰も、すぐには動けない。
「……聞こえんのか?」
「村長、大丈夫なんですか?」
「ああ……奴らの狙いは、この村ではない」
「……分かりました」
ウィリアムさんが頷き、皆がバラバラに動きだす。
「僕はどうしよ」
袋を持ち直し、森を見る。
……やめるか。
「村の手伝いしよ」
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気づけば、日が傾いていた。
朝の喧騒が噓のように今は静寂に包まれる。
笑い声が、ぽつり、ぽつりと戻る。
……笑えないな。
「どうしたんだい?難しい顔をしてるね?」
「トーマスさん」
近づくトーマスさんを見上げる。
「……」
僕は何も答えない、答えることが出来ない。
「こうして生きてるのは……誰のおかげか、分かっただろ?」
「ッ!」
言葉が詰まる。
「分かってるんだよ、大人たちは……」
「トーマスさん……」
「難しいね、生きるっていうのはさ」
笑顔が、刺さる。
目を逸らす。
「なぁガルム君」
生ぬるい風が吹きつける。
「子供達には罪はない」
ギリッ!
歯が軋む。
「もしもの時は頼めるかな?」
肩に手を置き――
離れていく――
答えも聞かないまま――
ずるいだろ!
その言葉を心に押し込めて。




