ガルム君の7日目(動乱)⑤
3人の輪に村長も加わる。
4人の会話を、ヘンリーと並んで眺めていた。
クララの肩に、エドワードさんとマーガレットさんが手を置く。
ラインはエリザベスさんと手を繋ぎ、
アンナさんもこちらに寄ってきて、ヘンリーと顔を見合わせた。
誰もが、不安げにその輪を見つめていた。
輪から抜け出したアストレアが僕の前に足早に近づく。
「おいガルム!お前は家に戻れ!」
「は?」
いきなりなんだ?
「ッチ!」
アストレアの視線が、僕の後ろを射抜く。
振り返ると――
馬に乗った兵士の集団が駆けてくる。
20――多いな。
先頭の男だけ、妙に整った服を着ている。
「うわ!」
視界が暗くなる。
何かが頭に乗る。
手をやると――帽子か。
アストレアの頭には、帽子が無い。
「あいつらにお前の目を見せるな、俯いて傍に居ろ」
アストレアが足早に村の入り口まで進み僕もそれに続き、
入り口で集団を待ち構える。
「うわ!」
「顔を下げろ」
頭を押さえつけられ、視界が地面に落ちた。
……ドド……ドドド……ドドドドド!!
音が膨れ上がり――不意に止まる。
視界の端に、馬の足が見える。
一つ、二つ――
次々と増えていく。
「おい魔滅!!貴様にも命令が出てるであろう!こんな所で何をしている!!」
「あたしにはそれより上の命令がある」
「ック……それでもいい!ただしこの村の連中を改めさせてもらう!!
暴動に参加した可能性があるからな」
「正体不明の暴動者なんだろ?どうやって判断を付けるんだ?」
「フッ!この一帯の者、全て捕らえれば済む話だ」
「ならここにはそんな者は来てないわ、さっさと帰れ」
「そういうわけにもいかん、ここにいる者たちは国に属さない者達だ、
不穏分子はしっかり確認をしなければならん」
粘りつく声に眉をひそめる。
「さすが変態貴族ね、その名声は広く轟いてるわよ?」
「な!」
「無礼であろう小娘が!!誰に口を聞いてるのか分かってるのか!!」
「馬鹿はこれだから嫌いなんだよ」
「貴様!!」
剣を抜き放つ音が耳に届く。
さすがに下を向いたままは怖いんですけど!?
横目でアストレアを見る。
……動かない。
そのまま、わずかに距離を詰めた。
「分かっていないのはお前らだ、ここら一帯はあたしの管轄なんだよ」
「ベルモンド様!ここは俺が対処しましょう!」
ドサ!
僕の視界に人の足が加わる。
「傍に居るソイツが暴動者かもな、帽子に花冠なんぞ付けおって気持ち悪い奴だな」
コイツ……。
伸びてくる手を見つめ心が冷えていく。
剣を掴み腕を睨みつけ――




