ガルム君の7日目(動乱)④
「ふぅ~、大量大量!」
狩ってきた魔物を地面に置いて狩りの結果に満足する。
食べられそうな獣に空から襲ってきた鳥の魔物を袋に詰め村へと向かう。
まだ夜は明けきらず薄暗い空が続く。
雨のせいで地面はぬかるんで歩きにくい。
「夕方までには地面も乾いてくれるだろ」
まだする事があるので駆け足で森を進む。
村に戻り広場に獲物を並べる。
う~ん、アストレアに言って冷やしてもらった方がいいのかな?
冷暗所みたいな所作った方が毎日狩りに出かけなくてもよくなるんじゃ?
「お~いガルム~」
そんな事を考えてると後ろからヘンリーの声がして振り返る。
「何で今日来なかったの?家まで迎えに行ったのにさ、ってうわ!」
「おお!?もう獲ってきたのか、ずいぶんと早いな?」
ヘンリーが駆け寄り、ウィリアムさんがゆっくりと近づく。
「今日は1人で体を鍛えたくてね、ついでに今日の宴の食材も狩って、またこれから出発するところだよ」
「これだけあれば十分だぞ?」
「いいのいいの、豪華な宴ならありすぎて困るものでもないでしょ!?」
「無理すんなよ、ガルム。怪我でもしたら元も子もないからな」
ウィリアムさんの優しい言葉に頷く。
「他の皆は何の準備するの?」
「女性たちは会場の飾りつけと食事の準備、男は役割がそれぞれ分かれてる、俺は会場の設置、エドワードは催しの準備、トーマスは司会進行ってな感じだな」
「村長は何もしないの?」
「フレデリックさんは街に買い出しに行ったのが準備かな」
なるほど、村で準備できない物を買いに行ってたのか。
「俺も催しで芸を披露するんだぜ?楽しみにしててよ!」
「え?そうなの?皆芸を披露するの?」
「…村の皆全員するんだが、ガルムは準備期間がなかったからやらなくて大丈夫だぞ!?」
必死のフォローは伝わるが…。
皆やるのに僕だけやらないのもな~、
うーん、でも芸か…今の所思いつく事はないから保留かな。
「改めてガルムの歓迎会って事でいいじゃん?俺なんてこの芸を習得すんのに2か月はかかったし」
ヒュオッ――!
遠くで、空気を裂くような音が響いた。
なんだ?
「まさか…!」
急に駆け出すウィリアムさん。
ヘンリーと僕はその背中を追う。
家から出てきたアストレアに、ウィリアムさんが何かを早口で伝えていた。
トーマスさんも慌てて家から出てきてその輪に加わる。
隣にいるヘンリーに顔を向ける。
「何なんだ?」
「さぁ?」
ヘンリーは両手をゆるく持ち上げ、肩をすくめる。
ヒュオッ――!
思わず、その方向を見る。
「危険だろ!!」
ウィリアムさんの大声が村に響く。
森を振り返る。
風が吹いていないのに森の木々がざわめく。
静かな朝は、外へ出てくる大人たちによって
慌ただしい朝へと姿を変える。




