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奴隷だった俺は、世界を壊す“伝説魔人”へ至る  作者: 解放さん
序章 生きる意味

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1/83

どちらの未来か

空を見上げる。


 


――空じゃない。


 


蛇竜だ。


 


無数の竜騎士が一直線に飛んでいる。

空を埋め尽くすほどの影。


 


その先――


 


巨大。


 


あまりにも巨大な“何か”が、空そのものを覆っていた。


 


ドラゴン。


その目はつまらなそうに目を細めていた。


それはそうだ。


あのドラゴンは――

一度も動いていない。


その場でただ羽ばたくだけで向かう竜騎士を落としていく。


あの巨体が――

ただ羽ばたくだけで、俺たちは終わる。

 


「……嘘だろ」


 


誰かが呟く。


 


「こんなの、勝てるわけねぇ……」


 


それが俺の声なのか、隣の兵士なのか分からない。


 


だが、この場にいる全員が同じことを思っていた。


 


――勝てない。


 


絶対に。


 


周りを見る。


 


兵士たちは走っている。

だがその顔は、全員が恐怖に歪んでいた。


 


――ゴオオオオオオオオ!!


 


地鳴りのような轟音。


 


死の炎が頭上を通り過ぎ、味方の魔法と激突する。


 


だが違う。


 


あれはドラゴンの吐息じゃない。


 


崖の上。


 


そこに立つのは――


 


たった一人の魔法使い。


 


一人で、戦場を焼き払っている。


 


 


その時だった。


 


「ああははははははは!!」


 


笑い声。


 


戦場に似つかわしくない、あまりにも楽しそうな声。


 


味方の陣営から、黒髪の剣士が飛び出した。


 


たった一人で。


 


敵陣へ。


 


――速い。


 


いや、


 


速すぎる。


 


次の瞬間。


 


数十人の兵士が宙を舞った。


 


人間が紙みたいに吹き飛んでいく。


 


敵陣から、白髪の女が飛び出す。


 


その進路を――真正面から止めた。


 


刹那。


 


二人の姿が消える。


 


 


――ドンッ!!


 


激突。


 


衝撃波が大地を砕いた。


 


 


なんなんだよ、これは。


 


あんな“化け物同士の戦い”を横目に、俺たちは走るしかない。


 


目の前の敵陣へ意識を向ける。


 


そこにいるのは――


 


人間。

獣人。

亜人。

エルフ。

そして魔物。


 


だが違う。


 


決定的に違う。


 


あいつらには――


 


恐怖が、ない。


 


 


上空から、竜騎士とワイバーンの死体が降ってくる。


 


味方の陣営からも、狂ったように笑う連中が飛び越えていく。


 


それに呼応するように、敵側からも“強者”が前へ出た。


 


戦場が――壊れていく。


 


 


「魔導砲よーい!!」


 


怒号。


 


次の瞬間。


 


いくつもの青白い閃光が、崖上の魔女へ放たれる。


 


俺は祈るようにそれを見る。


 


頼む。


 


当たってくれ。


 


頼む――


 


 


だが。


 


届かない。


 


巨大な結界が、それを弾いた。


 


崖の上に立つ影は四つ。


 


魔女。

魔法使い。

剣士の青年。

そして――少女。


 


 


その時だった。


 


剣士が消えた。


 


「は……?」


 


声が漏れる。


 


 


次の瞬間。


 


そいつは、目の前にいた。


 


 


兵士の首が宙を舞う。


 


 


「ひ、ひぃぃぃ……!」


 


恐怖で剣を落とす。


 


だが剣士は、俺たちを見ることすらない。


 


ただ――


 


“強者”のいる方向へ視線を向けて。


 


再び、消えた。


 


 


「なんなんだよこれぇぇ!!」


 


喉が裂けるほど叫ぶ。


 


「俺たちがいて、なんの意味があるって言うんだよ!!」


 


 


声は、戦場の轟音に呑まれた。


 


 


その時だった。


 


「おいで、オロチ」


 


鈴を転がすような声。


 


 


その声だけが、はっきりと聞こえた。


 


 


――終わりの合図だった。


 


 


崖の上に、黒い影が現れる。


 


巨大な蛇。


 


ありえない大きさ。


 


 


オロチはゆっくりと口を開く。


 


その口内に、水の球が生まれる。


 


 


次の瞬間。


 


――キュイイイイイイイイイン!!


 


 


光が横を通り過ぎた。


 


 


隣の兵士が、音もなく真っ二つに裂けた。


 


 


血が空に舞う。


 


 


 


その時だった。


 


「ねぇねぇ大将?」


「ん?どうした」


 


戦場の中心。


 


そこだけが、妙に静かだった。


 


 


異常だ。


 


あまりにも異常すぎる。


 


 


「これ、いつ終わるん?」


「そうだなぁ――王国が滅びるまでかな」


 


 


まるで散歩の途中みたいな会話だった。


 


黒髪の男はポケットに手を入れ、

栗色の少女はその手を握っている。


 


俺の足が、その男にぶつかった。


 


「ん? ああ悪い悪い。そんなとこで尻もちついてたら潰されるぞ?」


「なんで敵兵の心配してんの大将!」


 


 


周囲の兵士が一斉に斬りかかる。


 


 


――当たる。


 


 


パリィン!!


 


 


剣が砕けた。


 


 


男は少女を守るように歩き続ける。


 


 


「敵の大将って誰だっけ?」


「こいつら殺さないの?今ので殺したいんだけど?」


 


 


少女の殺気。


 


俺たちは息を呑む。


 


 


男が、軽く手を振った。


 


 


それだけで――


 


空気が止まる。


 


 


「剣がなければただの人、ってね」


「なにそれ?」


「無駄なことはしないってことだ。師匠直伝」


「りょーかーいボス。……次向かってきたら殺すよ?」


 


 


少女の瞳が細くなる。


 


誰も動けない。


 


 


「可愛い女の子がそんなこと言うなよ」


「それなら可愛い女の子戦場に連れてくるな!!」


 


 


「一人じゃ寂しいだろ?俺たちは二人で一人だからな」


「……それは、そうだね」


 


 


男は小さく笑い、ため息をついた。


 


 


「強い奴って後ろの奴らだけじゃねぇのこれ?」


「いいじゃん、すぐ終わるし!」


 


「任せときゃいいしな」


「そんなに戦いたいの?」


 


 


「いいや」


 


 


「終わらせたいだけだ」


 


 


「――何もかもを」


 


 


「ガルムの夢のためにもね?」


 


 


少女の笑顔は、あまりにも美しかった。


 


 


その直後。


 


光が男に直撃する。


 


 


――無傷。


 


 


「あの格好……転生者か」


 


 


前方で爆音。


 


再び視線を向ける。


 


 


その先にあったのは――


 


壊れた戦場。


 


 


男が呟く。


 


「さて」


その声は静かだった。


「殺すか」

「うん」


その瞬間。


上空に幾重もの魔法陣が浮かび上がる。


戦場の空気が変わった。


冷気が広がり、


巨大なドラゴンが咆哮を上げる。


俺は悟った。


もう遅い。


この戦争は終わる。


俺たちが戦っているのは――


軍でも、国でもない。


――災厄そのものだ。









プロローグを今の力量で付け加えました。

次の1話の文章が拙く感じますがご了承ください。


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