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胡蝶之夢

明晰夢というものをしっているだろうか。明晰夢とは夢を見ている人が夢を見ていることを理解しながら見る夢のこと。


明晰夢を見ている間その人は一種の全能状態になる。


夢の内容は日中や寝る前に考えていたことが出てくる。夢とは自分の脳内世界だ。そこに没入した人間は自分の思った通りにその世界を好きなようにマインドコントロールできる。


普通の人が明晰夢を見ても「あれ、もしかしてこれ夢じゃね?」となるくらいだ。でも俺は確実に夢の中だと認識した上で明晰夢が見られる。


俺はいつからか明晰夢を自分の意思で見れるようになった。だがいつも夢を見始めた時は俺は何もない空間、地面も上空もまっさらな空間に出る。それを自分の作りたいものや世界のルールを作り自分色に染め上げていくのだ。


俺はイメージ力に長けていたらしい。このイメージしたものを何でも再現できる空間は俺と非常にマッチした。最高の場所だった。俺にとっては二つ目の世界だ。


俺はこの空間で様々なことをしてきた。


年頃の男の子らしくアニメの技を再現したりもした。リアル感はどんなVRゲームよりも上だと思う。ちなみにリアル過ぎて手から出した光線で手が焦げた。イメージが不完全だとこうなるし無駄にリアルなため俺は夢の中でも痛みを感じる。痛覚無効にこの世界をすることはできなかった。これもイメージ力の問題なのだろう。


その時は真っ黒焦げになり一部炭化した右手を見て熱さと痛みに絶叫しながら目が覚めた。深夜2時だった。現実世界でも叫んでいたらしく母さんと父さんが電気をつけて部屋に入ってきた。俺は「悪い夢を見ただけ」といい両親を追い出し、その後は明晰夢を見ず普通に寝て夜を明かした。


さて、俺が今回この世界を作ったのは頭を整理するためだ。


俺はまだ今日のことが整理できていない。俺は華岡の死体の足元で腕を組んで考え始める。


まず今日矢田が華岡にナイフで刺される事件が起きた。動機は華岡が謎のゲームの鬼に選ばれ誰かを殺さねばならなかったこと。


.....とは言ったものの本当にこれが動機なのか確信は出来ない。何しろ運営が嘘をついている可能性は否定できないからだ。とはいえ、信じないことには何も始まらない。一旦信用する他ない。


そして見舞いに行ったやつらによると矢田は緊急手術の末一命を取り留めた。つまり華岡の殺人は未遂に終わった。


た の む し ん で く れ


また俺の頭でこの言葉がよぎった。そもそもここは頭の中の世界なので俺以外の人の声を思い浮かべるとその声は天の声のようにどこからともなく聞こえる。ショッピングモールの館内放送のようにこの不吉の言葉が辺りを木魂する。


この言葉は華岡の魂からの言葉だったのだろう。いつもあれだけ仲良くしていた矢田を自分が生きるために殺そうとした。そして矢田は生き延び鬼としての役割を果たせなかった華岡は無惨な遺体となり死亡した。


俺は華岡の遺体に詰め寄る。俺が写真に写っていたあの遺体をコピーしたものだ。寸分の狂いもないだろう。といっても俺は人の中身なんて見たことがないため怪我のイメージなどは難しい。折れた腕や変に曲がった足がどうなってるのか、イメージ世界でいうのも変だが想像もできればしたくない。


顔を覗き込んだ。両頬ともに血が滲み何度も殴打された痕が見える。健全な男子高校生から見ればなかなかな刺激物だ。


素人目でもわかる、これはどう考えても他人の手で殺されている。しかも最後は撲殺で。腕や足がどうやって折られたかはわからない。


でも、この遺体には大きな傷の他にも体の至る所に裂傷があり更には地面には擦れたような血の跡が華岡の左脚から伸びている。


「車にでも轢かれたか?」


ぶっちゃけ俺の中では有力説だと思った。


だがそんなことを詳しく考えようとは思えない。もしもそんなことを考えればその瞬間目の前で車に轢かれる華岡が再現される。流石にそれを見ようとは思えない。


「…そんなことしても現状は変わらねえか…」


そう、華岡の観察よりも大切なことを考えなければならない。俺はどう行動すればいいのか。


できることなら誰も殺したくはない。だがそれでは俺も華岡と同じ運命を辿ることとなる。そしてまた俺や華岡のように新しい鬼が選ばれ同じ選択を迫られる。その無限ループになってしまう。


この場合俺の最適解は誰かを1人殺すことだ。そうすれば次の鬼も選ばれずゲームは俺のターンで終了し死亡する人間は最低限で済む。


そんなことはわかってる…それを決断できないからこのゲームなのだろう。ごく普通の男子高校生同士で殺させあう。そんな悪魔のようなゲーム…なのか?


そもそも情報が少なすぎる。そもそも誰のためのゲームなのか?どこかのお偉いさん方がこのゲームを見て嗜好しているとでもいうのだろうか?あまりに現実的ではない。メールで送られてきた内容にも書いていなかった…そういえばそもそもなんで運営は俺のメールを知っているんだ。


俺はこの夢の世界でとことん熟考し続けた。その時唐突にパッと思いついた。そういえばそうだった、なぜ思い出せなかたのだろう。


俺はスマホを空中から生み出し右手で掴む。そして例のメールを開ける。


そこにはこう書いてある『・その他質問があれば随時質問をすること』今聞きたいことはわんさかある。そして質問に関してはなにも咎められていない。ならいくらでも質問をしていけばいいだろう。


とりあえずこれは何のためのゲームかを聞きたい。そして『・鬼は子の殺害に使う道具をメールを通して発注することができる』についても詳しく聞きたい。


そして一つ考えていたことがある。俺はずっとこのゲームに参加する前提で考えてきたがそもそもこのメールのことを警察に届け出たら良いのではないか。別に何も聞かずに警察に届け出ることもできなくはないがそれに対して問答無用で殺される可能性は無いわけではない。相手も人間なのだ。


なにしろ運営が超常的な力を持った人外ではないことは明らかだ。超能力でも使えるなら華岡の遺体がこんな風になる訳は無い。遠くから念力でクチュッとしてこんな酷い遺体ではなく血の水溜りしか残らないだろう。


そういえばたとえ超能力が使えないとしてもなぜわざわざ撲殺という面倒臭い殺し方を選んだのだろうか。わざわざメールで聞いたりはしないが。今回聞こうと思う質問の答えによっては運営の低脳説も浮上するだろう。そう考えるとなんだかメールの説明も不十分な気もする。


とりあえず今後の行動は決まった。メールで質問をする。その受け答えによって次の行動を決めよう。


よし、もう寝るか


次の瞬間、俺のイマジナリーの道路、いや街並み、いやこの世界自体の電気がオフになったように段々辺りが暗くなる。


この世界、ゲームで言う常に暗視でいるような状態だが眠りに戻る時のみ暗くなる。


やがて夢の中の黄昏をふっとばして夜になる。俺は何も見えなくなる。暗黒の世界。やがて意識もスゥーっと遠のいてく目の間あたりから掠め取られたかのように意識が頭から抜けていく。


こうして俺は暗黒の世界に身を置いたまま眠りについた


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ピピピピピピピ……


俺は今目覚まし時計を無視している。なぜなら体が重くて持ち上がらないからだ。いや違うな、持ち上げるのが面倒になっている。


「ぐおお…」


目はかっ開いたつもりでも瞼は半分も上がらなかった。


俺は明晰夢を見ている間起きている時と同じようにずっと脳を動かし続けている。要は頭を休められていないのだ。


俺は意を決して起き上がりベッドから手の届く位置にある机の上にある目覚まし時計に手をかける。手を伸ばし2回ほど空振ったがなんとか指先が届いた。



俺は手を目覚まし時計に置いたままピタッと止まった。頭がクラクラする。まだ目覚めきってはいないのだ。


俺は何かしなきゃいけなかったはず…ええとあの夢で考えた…あれ…ゲームの。


あ、そうだゲームのことメールで聞くんだ。


眠気は無論取れていないが。自分のタスクを思い出したことで少しだけ体に活力が湧く。


俺はベッドから抜けコンセントに刺さった充電満タンのスマホを抜く。


そして例のメールを開き運営のメールアドレスを長押しでコピーした。そしてそれをメールの受手側に貼る。俺はメールを打ち始めた。


「よし」


俺は思い出す、夢の中の内容を。人は夢の内容など起きたその瞬間から片っ端から忘れていくものだ。


質問したいこと…このゲームの趣旨。殺人に使う道具の調達システムについて。そしてこの件を警察に流した場合の運営の行動だ。


俺はフリック入力でメールの打ち込みを始める。ぶっちゃけLINEでもさほど話す機会のない僕だ、メールを打ったのも1、2回だ。この文が正しいかなどこの状況でどうでもいいはずの不安な部分に気が行ってしまう。


「大丈夫…かな?」


フッとひと息をつき親指で送信ボタンを押した。画面に送信しましたというメッセージが浮かび上がる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


From:Kasumiya@1077-1221

To:aabbcc@1234-5678


件名:ゲームに関する質問


ゲームに関して何点か質問が浮かびましたのでこのメールを送らせていただきました。


①このゲームを行う意義は何なのでしょうか。このゲームをやるにあたっての行動意義を持つためにお聞きしたく思います。


②ルール説明の欄に記載されている。殺人に使う用具の発注についてですがこちら代金や受け取り場所など詳細の説明をいただきたいです。


③私がこのゲームについて警察など外部への情報の提示をした場合に対する運営の行動をお聞かせください。


御返答よろしくお願いいたします         Fin


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


まあなんとも変なメールだ。デスゲームでこんなことを聞くやつもなかなかいないだろう。


俺はあ…と呟いた。そういえば今俺デスゲームと言葉を使ったなと。どこかのお偉いさんの娯楽と考えていたあたりから俺はデスゲームに巻き込まれたという思考はあったのだろう。


俺はふとクラスラインを見た。昨日のような混乱状態は止みはじめたがまだまだ何か生産性のないことを議論しているやつもいる。


柳山からラインが来ていることに気がついた


柳「いやーほんまに今日休みになったな」


こいつはマジで何なんだ。


霞「能天気が…」


返信も既読もないため今はスマホを見ていないのだろう。


俺はベッドにスマホを投げて一階に朝食を食べに行こうとドアから足を半歩だしたその時だった。





ヴヴヴ…


俺はギロリとした目で真顔で振り返る。スマホに着信が来た。着信音でそれはメールだと分かった。


俺は足早に部屋の中に早足もどり。スマホを拾い上げメールを確認した


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


From:aabbcc@1234-5678

To:Kasumiya@1077-1221


件名:質問への御返答


ゲームへの前向きなご検討ありがとうございます。以下質問への回答でございます。


①詳細はお答えしかねますが実験的理由もございますので極力積極的に行動していただければ幸いです。


②発注したい道具さえメールで教えていただいたら次の日に鳶湯中高等学校で手渡しいたします。お題は要りません。


③外部に情報を漏らした場合殺させていただきます。


他にもご質問がございましたらお早めにお聞きください。          fin


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


①以外には案外ちゃんと答えてくれた。特に③。こんな明確に殺させていただきますと言われるとは流石に思っていなかった。


ただ返答以外に一つ分かったことがある。










この運営アホだ。

読者50人超えたあ。嬉しいです。毎日投稿なんて夢のまた夢ですがこれからも出来る限り投稿頻度は上げていきたいです。

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