はじめに
自閉症、発達障がいー。小中学生の8.8%が発達障がいの可能性があると言われる現在においてもそれは僕自身にとって近くて遠い言葉でした。
実際に息子がその診断を受けるまでは。
2歳の誕生日を過ぎても発語がなく2歳半で「自閉傾向」の診断を受けた息子は、家庭療育や支援機関、病院、学校のサポートを受けて成長し現在は普通高校に通っています。診断を受けた時には「息子には青春がないのか」と悲しく思った我が子が、現在は夕食のテーブルを囲んで勉強のこと、部活動のこと、好きな女の子のことを話すことができる幸せを噛み締めています。さらに欲を言えば僕がが好きな野球やサッカーやプラモデルの話もしたいのですが、そこはやはりこだわりがあって息子はクラシック音楽と世界遺産が大好きなのです。その分野については、僕が教えられています。16年間僕がが療育、子育ての中心であったかと言えばそうでもなく仕事や忙しさに逃げることもしばしばありました。妻にはずいぶんと苦労をかけてしまったと思います。そして子育てはここで終わるわけでもなくこれからも続きます。知識ももちろん経験もない中からスタートした子育の記録を残したい、同じように悩むご家庭の道標になればと思い、これまでの子育てと息子の成長の記録を事実に基づく小説にすることにしました。これから子育てをする若い方にも読んで頂けたらうれしいです。
<生育歴>
この小説のあらすじとなる息子の生育歴については下記の通りです。
息子の療育、教育の中でよかったことは、2歳〜始めた家庭療育が挙げられます。
発語がない、多動、感覚過敏と当時問題が多かった息子との大切なコミュニケーションだったように思います。また、子供が成長する中で、親が出来ることは限られます。自我が芽生えると難しい。ADDSや東京小児療育病院、東京学芸大学附属特別支援学校、放課後等デイサービスと成長の中で適切な支援機関と出会うことが出来たのが幸いでした。
2008.8 誕生
1歳 発達が気になり始める
1歳半 市立の保育園に通い始める
2歳 言葉の遅れ、エアコンの室外機への強すぎるこだわり
2歳1ヶ月 つみきの会に入会 ABA応用行動分液による家庭療育を始める
2歳6ヶ月 東京小児療育病院受診「自閉傾向」の診断を受ける
3歳 二語分での会話もできるようになる
3歳2ヶ月〜 ADDSのABAによる療育を受ける IQ82→105
※知的な面が大きく発達する
4歳8ヶ月 T大附属特別支援学校幼稚部入学
放課後等デイサービス利用開始
※社会性が身に付く
6歳8ヶ月 T大附属特別支援学校小学部入学、公文式を始める
※自主的に勉強ができるようになる
12歳 市立T中学校 支援級入学
※環境に慣れることができた
14歳 市立T中学校 普通級へ
※普通級への転籍は少し大変だったが本人の頑張りと周囲の理解で実現
15歳 私立H高校入学
※進学校と呼ばれる高校へ入学
現在16歳