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09 これって受諾ってこと?

結局、タラの言う通り俺は冒険者組合から呼び出しを受けた。

「まあ当然の結果だと思う、かな」

タラは何か思う所があるらしいが、俺にはサッパリなので素直に出向く事にした。

宿屋というか1階の居酒屋でタラと一緒に朝飯を食べ、準備をして冒険者組合へ行き受付に声を掛ける。

「アルフォンス様、おはようございます。 上の来賓室で支部長がお待ちしておりますので、ご案内いたします」

こうしてみると出来る職員なのだが、たまに壊れるのはベルさんの仕様なのだろう。

コンコンッ!とドアをノックし

「アルフォンス様がお見えになりました」

「よし、通せ」

ドアを開けると筋骨隆々でヤクザ顔の支部長には似合わない豪華な部屋、いや、むしろ似合っているというのかこれは。

「朝からすまんな、まあ座ってくれ」

支部長が座り、俺が対面に座り、その隣にタラが座る。

支部長がタラをじっと見つめ、俺を見て、またタラをじっと見る。

「お前はなんでここ「私はアルのパーティーメンバーよ」に・・・」

え!? そうなの? 知らなかったよ俺!

という視線をタラに向けたらニコっと笑顔で返され「何も言うな」の圧を感じたので

「そ、そういう事になりました!」

とだけ支部長に伝えたら、後でちゃんとパーティー申請の手続きをやっておけと言われました、あるんだねそういう手続き。

「で、だ。 単刀直入に言うとだな、お前の冒険者ランクを特別にDに昇格する事になった」

「え! この前冒険者登録したばかりのFランクなんだけど俺!?」

「だがな、登録したてだろうが何だろうが、Dランクモンスターを難なく討伐しちまう奴をFのままにしておく事も出来ねぇ、なんなら他のFランク冒険者が依頼受けるときに不利益を被っちまうからな」

なるほど、そういう住み分け的なこともちゃんとしとかないと後々面倒毎に繋がるわけか。

「そういえばあの3人の冒険者はどうなりました?」

「ああ、あいつらはな、依頼もロクなものをこなさねぇで他の冒険者にイチャモンつけて金巻き上げたり、他の冒険者の弱み握ってなんなら自分らが引き受けた依頼を押し付けて結果だけ自分らのモノにしたり、だが中々尻尾がつかめなかった所謂厄介者の実力の伴わないDランク冒険者だったんだよ。 お前のおかげで冒険者資格のはく奪と奴隷落ちでやっとキレイサッパリてな感じだ」

「そ、そうなんですね、それはよかった、ハハハハッ!」

怖っわ!! 俺もそんな風にならないよう気を付けよう!

「まぁオレ的にはCランクでもいいんじゃねぇかと思ったんだがな、ガッハッハッハ!」

「私もアルはCランクに飛び級かと踏んでいたけど、結構慎重ね支部長、何か裏がある、とか?」

「まぁそうなるよな、誤魔化すつもりはねぇ」

え? そうなの? 分ってないの俺だけですか!?

「お前達の腕を見込んで指名依頼を出したい、どうだ? 受けてみる気はねぇか」

おお、ラノベやマンガでよくあるやつキターっ!

「えっと報酬は?」

俺の返事にビックリする支部長とタラ、あれ? 俺また変な事言ったかな?

「アル、せめて依頼内容は聞いておいたほうが」

「ガッハッハッハ! だよなぁ! そうこなくっちゃぁな!!」

あ、そう言われればそうだ、思わず強者の発言をしてしまった。

「依頼内容だが、村の近くの川を越えてもっとずっと西に行った所、都から見てかなり北の方だな。 隣国との境の森にゴブリンやオーガの集落が出来ていることが確認された。 近隣の村、勿論都からと隣国からも腕利きの冒険者が派遣される予定で、ウチからも出さないといけなくてな。」

「ゴブリン!(定番のモンスター!)ってかオーガ!?(でっかい奴じゃなかったか?)」

「ん、なんだ知ってんのか? ゴブリンとかオーガ」

「んあっ!? 見たこともないし知ってもいない、かな」

「そもそもアルは、自分がどこの誰なのかも知らない。 黒耳族って事しか」

「ホントに面白れぇやつだなお前! どっから来たんだマジで」

「えーーっと、気が付いたら草原の上でぶっ倒れてて、ボロッボロの服着て裸足で体中汚れてた、記憶はそこからしかない(この世界では!)・・・な。 んで遠目にこの村が見えたからモンスター倒しながら辿り着いたって感じ」

「「はぁっ!?」」

「なんだよそりゃ・・・ その歳で親に売られたか捨てられた? か?」

「ここら辺に黒耳族はいない、だから変。 アルは色々おかしい稀有な存在だよ」

「確かにな、そもそもその腰のモンはどうした? どうやってそんな上等なモン手に入れた」

ん? この短剣のことか? 元の世界から一緒にやってきたみたいです、とは言えないよなぁ、でもまあいいか。

「あ、これは(元々は工具の)「バール」だよ、白と黒の。 白は切れ味抜群でなんでも豆腐みたいに切れるし、黒は殆ど切れないけど状態異常っていうか毒っていうか刃が触れたものを腐食するみたい」

「トーフ? が何なのかは知らんが「バアル」だと!? 冗談キツイなおいっ!」

「アル、「バアル」って何なのか知ってて言ってる?」

「え? 「バール」は「バール」だろ? 使い方も良く知ってるけど・・・ なんかオカシかった?」

「おかしいどころじゃない。 いい?「バアル」って言えば72人の悪魔の一人で、世界の東方を支配し、66の軍団を率いる王。 そして、6人の上級精霊に使える18人の下位精霊の一人」

や、やけに詳しいけど、え!?「バール」ってそんなに危険なものだったっけ!?

「ええ~~っ!! 「バール」って悪魔とか精霊の扱いだったのぉ!!?」

「アルフォンス! お前草原で目覚める前、相当ヤバイ冒険者だったんじゃないのか!? ・・・っていうには若すぎるよな、もはや意味が分からん」

「やっぱりアルは色々おかしい、稀有な存在。 パーティー組んで正解だったよ」

知らない間にパーティー組んだ事になってたけどね!

てか皆「バール」の発音オカシくない?

「あ! って事はっ! 指名依頼でそこに派遣する為に飛び級でランクを上げたってこと!?」

「ガッハッハッハ!! ・・・ッチ、バレたか」

「今舌打ちしたよね!?」

「まぁ、腕の立つ冒険者ってことでオレが認めたのは本当のこった。 四の五の言わんで行ってこい!」

「報酬はキッチリ弾んでやるからよ!」

「できればキッチリバッチリ弾んで欲しい、期待してる」

ちょっと! タラさん!?

「・・・ま、生きて帰って来られたらな」

今なんか不吉な事言ったよね!?


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