05 これって勝負ってこと?
土日祝は投稿をお休みにしているのですが
今日は投稿しちゃいます。
そういえば、精肉屋のオカミさんの名前を聞くのを忘れた。
しばらくは「オカミさん」でいいかな? 今度肉を売りに行った時に忘れずに聞こう。
バンさんが冒険者組合には「剣と盾」が描かれた看板が下がっている、っていってたからその建物のドアを開け中に入る。
中に入ると数人の大人がロビーで屯しており、受付カウンターらしき中にお姉さんが座っていた。
受付カウンターに行き要件を言う。
「すんません、モンスターの素材を買い取ってもらえるって、門番のバンさんに聞いたんですけど」
「あ、はい、いらっしゃいませ! ってちっちゃ!! あ、いえ、いらっしゃいませ!」
この村はアレか? とりあえず1回はツッコまないと会話を進めちゃイカンとかってルールでもあるのか? てか2回「いらっしゃいませ」言ったぞ、大丈夫かこの受付嬢。
「素材の買取ですね、では冒険者タグの提示をお願いします」
冒険者タグ? 首を傾げて「何を言っているのかわかりません」というジェスチャーをする。
「あ、新規登録がまだなのですね、ではこちらの記入をお願いします」
と紙とペンを渡されたが、カウンターの位置が微妙に高くて記入が出来ない。
いやまて、その前に俺、日本語とちょっとの英語しか書けないのだが!?
「ガタッ」
俺の後ろで木が当たる音がしたので振り向いたら、ローブを被った少女(推定11歳くらい?)が椅子を持ってきてくれて
「これを踏み台に使うといいんじゃない?」
と声を掛けてくれた。
「あ、ありがとうございます! お借りします」
と頭を下げお礼を言う。
「キミ、どっかの貴族みたいな言葉使いと挨拶をするんだね? 良いとこの子なの?」
と聞かれたが、コンビニやってる両親の息子です、と言っても伝わらないだろう。
「いえ、というか自分も自分が何者なのか分からないんですよ、黒耳族って事しか」
ロビー内に居る人、それと受付のお姉さんがザワっとなった。
「マジか、オレ黒耳族見るの初めてだわ」
「聞いてた通り肌が褐色なんだな」
「ちょっとキミ耳を見せてもらってもいいかな?」
俺は髪をちょっとかき上げて耳を出して見せた。
「おおーーっ! ほんとに耳の先が黒いな! ちょっと尖ってるぞ!」
「へぇぇー、こりゃ珍しいもん見た!」
「・・・うん、見せてくれてありがとう」
ローブの少女はニコっと笑みを零した。
「ちょちょ、ちょっとだけ触らせてもらってもいいでしょうか!?」
受付のお姉さんが鼻息を荒くしズイと身を乗り出す。
「あ、はい、ど、どうぞ!?」
なんかちょっと悪いことをしている感じがしてドギマギしたけど、お姉さんは尖がってるとこをサワサワなでて「はぁぁ~~っ」ってなんか吐息漏らしてんだけど、大丈夫かこの受付嬢!?(2回目)
気を取り直してペンを手に取り紙に視線を落とす。
日本語でも英語でもアラビア語でもハングル語でも象形文字でもない、知らん見た事のない文字。
これは完全にお手上げなやつ、思わずギギギっと隣のローブの少女の方に顔を向けると
「やっぱりまだ字は書けないわよね、私が書いてあげるね」
「ご、ご親切にして頂き、大変助かります、申し訳ありません」
と代筆してもらうことになったのはいいが、書ける内容が名前と年齢だけっていう。
「ふぅーん、アルフォンスくんって言うのね、年齢は7歳っと」
どうやら住所とかは描かなくてもセーフのようで、そのまま受付をしてもらえる事になり
「では登録料の3000ゼニをお願いします」
おおう、お金が掛かるのか、当たり前っちゃ当たり前か。
バッグから3000ゼニを取り出し支払う。
「ではこちらのプレートに血を一滴、そしてこちらの水晶に手を乗せて下さい、OKと言うまでそのままでお願いします」
ここら辺はラノベとかアニメでよく見たので知っている。
ここで水晶がパァーっと光って「おおお、あなたには凄い能力がががっ!」となるやつだろう。
・・・そう思っていたのだが、実際は
「はい、手を離して頂いて結構ですよ」
とあっけなく登録の儀式は終わってしまった。
冒険者にはラノベの定石通りランクがあり、始めはFランクから始まり、E、D、C、B、A、Sと上がって行くらしい。
ちなみにランクAともなれは国の重要戦力となり、それぞれの国で数十人しかいないらしい。
Sともなれば国を超えての英雄扱いだそうで、現在5人いるらしい。
ってか英語あるじゃん、ちょっとホッとした。
「ではこちらがアルフォンス様の冒険者タグになります、失くしてしまうと手数料が3万ゼニ必要になりますので、注意してくださいね。」
「わかりました! ありがとうございます。 ではすいません、買取の方をお願いしたいです」
「キミ本当に7歳!? 受け答えしっかりし過ぎてやしないかい!?」
ローブの少女が訝し気に俺をマジマジと見てくる。
「ま、まごう事無き、7歳ですよ! ほら!」
なにが「ほら!」だよ、まごう事無き「ホラ」じゃないか、ま、それはいいとしてまずは買取だ。
カウンターの上に、ホーンラビットの角5本、皮5枚をバッグから取り出し並べた。
「え!? これアルフォンス様が自力で討伐されたのですか? ホーンラビットはEランク上位の対象モンスターなのですが」
「そうなんですか!? そうとは知らず倒して肉焼いて食べちゃいました!」
「「はぁっ!?」」
受付のお姉さんとローブの少女の驚きが重なったと思ったら、ロビーで聞いてた大人らが
「・・・プッ、ブァ、ブアッハッハッハ!!!」
と笑い飛ばすので何事かと思ったら
「おい、黒耳の! お前のその小さいなりでホーンラビットを殺るとかどんな冗談だよ、ヒャッヒャッヒャッ!」
「あいつはめちゃくちゃすばしっこい上に跳ねるからなぁ、盾持ちで弾いてから切るか叩くか、それとも始めから弓で射貫くかしねぇと大人でも手こずるんだよ」
「嘘つくならもっとましな嘘つけよ、どうせどっかで拾ったか盗んできたんだろぉ?」
「えーっと、盗品は流石に買取できませんし、犯罪歴があるとなると冒険者登録ははく奪となります」
あー・・・ こういう感じか、今の俺は身体も小さいし、登録も7歳だしそう思われても仕方ないのか。
とは行かないよなぁ、こんな時、リンちゃんならどうするよ・・・ きっとこうするだろうな。
「わかりました、ではこうしましょうか? えっとまずお姉さん、この角と皮、それぞれいくらの買取価格ですか?」
「えっ! あ、あひゃぃ! えっと角は1本1万5千ゼニ、皮は1枚1万ゼニ、ですね」
「え!? あ、そんな高いのっ!? いえ、ありがとうございます。 ではそこの男性冒険者3名さん、もし俺が単独でホーンラビットを倒せなかったらこの素材は差し上げましょう、ですが、単独で討伐出来ることが証明できたら侮辱した慰謝料として、この買取価格と同じ金額を俺に支払うってことで勝負しませんか?」
「何言ってんだ黒耳の小僧、そんな勝負乗るわけねぇだろうが!」
「そうだ、そうだ、割が合わねぇ!」
「へぇー、こんな7歳の小僧が言う勝負にビビって乗れないと? それとも「腰抜け」の二つ名でも欲しいんでしょうか? さぁどうします? オ・ト・ナの冒険者の先輩方?」
「っちょ、建物内でのイザコザは困ります! 外でお願いします!」
受付のお姉さんに怒られてしまったが
「このクソ小僧が舐めたクチ叩きやがって!」
「よおーし分かった乗ってやろうじゃねぇか! 但し、てめぇがしくじったらその倍払えや!」
「そうですか、分かりましたいいですよ?(持ってないけど) ならあなた方も負けたら倍額払って頂きますが、いいでしょうか?」
「こっの!! ガキ、調子に乗りやがって!!」
おっと、煽りすぎたかな? でもこっちも舐められたままじゃいられないんだよ。
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