02 これってモンスターってこと?
川に向かって草原の道なき道を歩いていたら、視界の先の草やらが不自然にガサゴソ音を立てる。
「ちょ、え、なに? だれかーいますかー!?」
いねーよっ!と自分にツッコミを入れたい所ではあったが(二回目)、何か危険な感じがしたので腰の短剣2本を引き抜き前に構えた。
「ザザッ!ザザッ!」
草を掻き分けて動いているのが判るので、位置はモロバレである。
注意して見ていたら突然ビョーン!と何かが跳ねて来たので咄嗟にソレに合わせて白の短剣を振り抜いた。
手ごたえがあったような無かったような感じではあったが、俺に向かって跳ねて来たソレは、首が胴体から離れ、血飛沫を上げて俺の後方に落ちた。
「は?」
視力が爆上がりしたとかもそうだけど、動体視力があり得ないくらいもっと爆上げした感じ?と言ったらいいのか分からないが
「超スローモーションだったんですけど!!?」
俺自身もスローモーションだったのでは?と思ったが俺は普通に動いてるのにコイツの動きは超遅かった!
「ん? 空中でスローモーションなのはおかしくね??」
ちょっと考えたら答えに行き着いたんだけど
「周りが遅くなったんじゃなくて、俺が超早く動いた?」
じゃないと辻褄が合わない。
「うん、よし、俺は超早く動けるようになった」
そう理解する事にした。
「だがっしかーし! 今のは何だ!? ウサギ!? いやいや、角生えてたし!」
クルっと振り返って、さっきのを草を掻き分け探し出すとやはり角の生えた兎でちょっと牙も生えている。
ボロボロの袋の中にはめちゃ硬くなったパンしか入ってないので
「しょ、食料に、なる? よね?」
と思うことにして「ウェッ!」となりながら、切り離された胴体の腹を白の短剣で切り裂いて内臓を取り除き逆さにして血抜きする。
頭の方は角だけなんか使えるかなと思い、これも白の短剣で根元から切り落とした。
「白の短剣、切れすぎじゃね?」
角は骨なのに豆腐でも切っているのかってぐらい手ごたえなく切れるし、良く見ると刃に血の跡すら残っていない。
「なんかヤバイな、これ」
切り落とした角も20cm位あるので、角に開いた胴体の方を刺し持ち歩く。
川に着くまで合計5匹も兎に出くわしたが、5匹とも同じ様に倒したので今は川で綺麗になるまで洗っている。
「てか、腹へったよなぁ、これどうにかして食えないかなぁ」
辺りを見回すと枯れ枝などが結構落ちているので
「これ、火起こせそうかも?」
と安易に考えて枝とかを拾っていたら、誰かが焚火をしたのか石組みと炭が残っているのを発見した。
枯れ木同士をこすり合わせ、枯れ草に着火させ、まさかの火起こしに成功した。
ウサギ?の皮を剥いで肉を火で焼く、めちゃくちゃワイルドであるがこれが結構楽しい事に気が付き、焼けるだけしっかりと焼いて、熱が取れたら保存食にと袋に突っ込んだ。
塩とか何にもないけど焼きあがった肉にかぶりつく。
「うっまーー!!」
腹減りには何でも旨く感じるのだ、強いていえば塩とか欲しい。
腹ごなしも済み、周囲に誰もいない事を確認し、素っ裸になり川に飛び込んで身体とか頭とかを洗う。
くっそ冷たいけど逆にそれが気持ちよかった。
石を集めて波立たないように池を作り、自分の姿を確認する。
髪は根元が5~6cm黒髪でそこからは銀髪、顔は幼さが残る感じだが整った顔立ち、肌はやはり少し褐色・・・。
「って! 誰これ!? 俺のシンボルの金髪はいったいどこへ!?」
マジマジと見ていたら銀髪も結構似合ってるし、じゃなくて、思考と記憶は俺だけど、見た目が違うという事は? 少し考えて行きついた答えは
「前世の記憶が突然よみがえった転生パターン、もしくは俺の意識と記憶だけこの体に転移したパターン! のどっちか!」
・・・結局よくわからなかった。
髪も乾いたので荷物をもってここを後にする。
「よし、村の方に行ってみようか! ・・・ってかホントにどこだよココ!?」
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