女子会
話を3人に戻そう。
警戒心を、
「で…。」
全く緩めることもなく、
「その工房主さんが何の用かしら?」
鋭さを増した声で問うちーちゃん。
相槌は、
『ぎゅっ。』
軽く握った拳で、
「そうだ。そうだ。」
ファイティングポーズを取るりったん。
こちらは警戒心は無いと、
「失礼かと思いましたが…。」
作る笑顔が、
「お二人のお話を大変興味深く拝聴させて頂いておりました…。」
妖しさを引き立てる。
当然、[大変]にアクセントを付けていた。
二人に送る視線が、
「私我慢出来なくなりました。」
興味津々に変わる。
同時に、
『?』
頭からマークを、
「ハァ?」
「へっ?」
出す二人は意表を突かれた。
二人の浮かべた表情を、
「的確な分析に私…。」
楽しむように、
「心踊らせました。」
口元を緩める。
その答えに、
「なに…。」
含みを持たせ、
「女子会に入りたいとでも…。」
探りを入れるりったん。
一瞬、
「まあ…。」
見開いた目は、
「入れて頂けるのですか?」
嬉しいと言葉以上に雄弁であった。
閉じた目が、
「なぁんだ…。」
今までの警戒心を、
「そうだったの?」
解いたとりったん。
目だけを、
「りったん…。」
向け、
「無駄よ…。」
警戒は、
「探りは、バレてるから…。」
続けるちーちゃん。
口を尖らせるが、
「ちぇ。」
声は楽しそうな、
「残念。バレてたか。」
りったん。
先程よりも、
「面倒だから…。」
鋭さを増した声で、
「本題に入ってよ。」
問うちーちゃん。
声だけは、
「では、お言葉に甘えて…。」
畏まる工房主。
ゆっくりと、
「工房主として…。」
向けた瞳は、
「お二人をスカウトしたい…。」
真剣だと、
「と…。」
声に重みを持たせる。
答えを、
「素晴らしい、お二人の観察力…。」
待たずに、
「それに加え、分析能力…。」
早く口でまくし立てる。
それは…。
最早、
「それを思う存分に我が工房で使って欲しいのです…。」
陶酔であった。
妄想が、脳内物質を滴らせ酔わせているのである。
露骨に、
「えぇ~っ。」
「エェッ。」
嫌な顔で反応二人。
そんな事は、
「是非…。」
脳内物質が、
「是非とも!」
気付かせない。
落とす肩と共に、
「はーっ…。」
肺から空気を吐き出すちーちゃん。
その行為は、溜め息…。
それが答えるだと、
『?』
判るまでの僅かな時間で、
「…。」
戸惑う工房主。
が…。
素早く立て直し、
「あっ…。」
条件を、
「破格の待遇をお約束しますよ。」
提示した。
またもシンクロする二人の動き…。
首を左右にゆっくりと振り、両の手の平を肘の高さで上に向けるお馴染みの仕草…。
そして…。
吐き出される空気は、
「はーっ…。」
「ハーッ…。」
深い絶望の吐息に変わった。
今度は、
『?』
工房主の頭から、
「何かご不満でしょうか?」
疑問のマークが出た。