インデラトポポ様の瞼裏 1/ガラ
南の方にある、あまり有名ではない国に、今日も太陽が降り注ぐ。そこに住まう人は、強烈な太陽に肌が焼かれないように、全身に伝統的なローブを纏っている。日干しレンガの家が並ぶ。
人口は210万人ほど。1年を通して暑い。雨は少なかったが、珍しいベリーがよく育った。逆に、それ以外はあまりよく育たなかった。かといって、そのためにモノカルチャー経済という弱点を抱えているわけではない。主な貿易品は1つとしてなかった。唯一よく育つベリーは、輸出されることがなかったのだ。なぜか。
全て神に捧げられるからである。
ベリーを食べたことがある人間はいない。全てが神に捧げられるのだ。ここは南の小国。特色は2つ。一つ、珍しいベリーがよく育つこと。一つ、一切の例外なく、全ての国民が、同じ宗教を信じていること。
朝になると、多くの老人が畑へ向かう。中には中年も数人混ざっていた。この国では、50歳までしか労働が許されていない。50歳を超えると、全員が畑へ駆り出され、ベリーの栽培を行う。そのように法で定められている。無論、法律よりも強力な法、聖法典によって。
規定となっている教育を終えると共に14歳で成人となり、その後社会人となった若者たちは自由に職を選ぶことができる。ただ、政治家や医者、学者といった専門度の高い職に就くには追加で8年の高等教育が必要になる。そして50歳になるまで働くのだ。
彼の名は、ガラ。この小国に住む、13歳の青年であった。来年、成人を迎えることになっている。そして今、立ちながら机に肘をつけ、紙きれをぴらぴらとさせている。
「進路調査か……おれはやっぱり、宇宙のことをもっと知りたい。高等教育を受けて、学者になりたいよ」
ガラが、隣にいたもう一人の青年に話しかけた。
「でもガラの家は、神官の一家だろう?それに三男じゃないか。聖職の家に3番目に生まれた男は……」
友人と思わしき青年のその言葉を聞き、ガラは長くため息を吐いた。
「はあ……。分かってるよ。やはり、継がなければならない。聖法典もそう言っている」
そのとき、ちりり、ちりり、と特徴的な金属音が鳴った。この地域に伝わる、伝統的な鈴だ。主に扉の取っ手に吊し、音を鳴らすことで客の来訪を伝える。
ちりり、ちりり……
「おい、コロ、お客さん来てるぞ」
ガラに言われ、彼の友人はハッと顔を起こした。友人の名前はコロといった。ガラと同じ13歳で、学校では同じクラスにいる。コロはこの店の……お土産店の息子だ。
「えっ、珍しいな。…じゃなくて……いらっしゃいませ!」
コロは拙い英語で、2人組の客を出迎えた。恐らく、カップルだろう。
小国の主な収入源はこれだ。観光業。
国民の全員が信仰している宗教ということで、世界的に見学する価値が高い文化なのだ。だから多くの観光客がやって来る。特に、毎夜9時にあるテヌリアの儀式には、教徒だけではなく、沢山の観光客が見に集まる。
テヌリアの儀式。テヌリアは、この国の言葉で、「永劫に再現され続ける愛」を意味する。
国の中に6つ、大きな神殿がある。それらを結ぶと正六角形になる。各神殿の中心には、大きな大きな大きな鍋がある。その中に、この国で採れるあのベリーをありったけぶち込む。轟々と燃える炎で、鍋の中がどろどろになるまで煮る。そして夜の9時を迎える。多くの教徒が神殿に集まった頃、鍋に、麦から作った酒を大量に注ぐ。すると、熱されたベリーの液体に酒が触れた瞬間、酒は蒸発する。蒸気は、天井の無い神殿から上昇して夜空に舞い上がる。
……こうして、神に、ベリーと酒を捧げる。
神の名は「インデラトポポ」。意味は、「朝と夜と海を生んだ灰色の神」。
聖法典によると、テヌリアの儀式の見返りに、神は信仰者に様々な恩恵を与える。健康から、富まで、人間が幸福を感じるために必要なもの全てを神は与えてくれることになっている。
「(神官になるのは、光栄なことだ。唯一にして完璧な偉大な神、インデラトポポ様に仕えることができるのだから。でも、俺は……俺が本当にやりたいことは……)」
「……い……おーい!ガラ!」
「うえっ?ああ、コロ、もう接客は終わったのか」
「終わってるよ。さっきのお客さんたちはもう帰っていった。……おいガラ、お前なんか最近ボーっとしてること多いな。どうかしたのか?」
ガラは、不思議そうな顔をしたコロを見て、「いや、なんでもない……」と返事しそうになり、言葉を飲み込んだ。言葉の形を整えて、やっと吐き出す。
「俺はなんでもないよ。そうだ、コロ、お前は進路調査に何て書いたんだ?」
「僕ぅ~?まあ、普通にいけば父さんがやってるこの土産屋を継ぐところだった。でも、父さんは『お前は自身がなりたいものになれ』って言ってるし、エンジニアになってみたいよ。最近プログラミングにハマってるんだ。だから、僕はエンジニアを目指してる」
「すごいな、しっかり考えてたんだな」
そろそろ日没が近くなってきたので、家に帰ることにする。夜の儀式までに夕食を済ませなければならない。
「じゃ、また後でな」
「うん。また、テヌリアの儀式のとき会おう」
コロと別れる。
「(コロのやつも、将来のこと結構しっかり考えてるんだな……)」
物思いにふけりながら歩いていると、遠くから自分の名前を呼ぶ声がした。
「ガラ!」
「あ、じいちゃん」
祖父だ。ガラの祖父は61歳。もう神官を引退し、神に捧げるベリーの栽培で日々を過ごしている。毎日身体を動かしているから、まだまだ元気そうだ。
「友だちのところに行っておったのか」
「うん。じいちゃんは今、栽培が終わったとこ?」
「ああ。今日も良いベリーが採れたぞ」
プラスチック製の大きな緑の籠の中に、たくさんのまん丸のベリーがある。艶艶だ。赤の強い紫色で、それは夜に最も近い夕の色に似ていた。
祖父と一緒に家へ帰る。
今日は食卓に豚肉が出された。珍しい。ここでよく食べられるのは鶏肉だというのに。香辛料が効いていておいしかった。
夏の遅い太陽が沈んでから、かなり経った。
そろそろ神殿に向かわなければならない。国にある6つの神殿、その周辺に住む人々は、儀式の際に神殿へ足を運ぶことが義務付けられているのだ。悪天候の日は除く。
神殿の近くには、主に聖職者とその家族、そして観光業に携わる者たちが住む。
「そろそろ行きましょうか」
「そうだな」
母と祖父が神殿へ行く準備を始めた。現役で神官をしているガラの父は既に神殿で儀式の準備をしている。ここから少し歩き駅へ、そこから電車で2駅、降りてからも少し歩いて、神殿までは合計で40分ほどかかる。
水筒を水で満たし、ガラも準備は完了した。熱中症対策として、この時期は水を持参することが神殿から推奨されている。
「俺は友だちのとこに寄ってくから、先に行ってるね」
コロと待ち合わせをしている。それに、駅があるのもコロの店の方角だ。
コロの一家が営む土産店にやって来た。ちょっとぶりだ。扉の取っ手に括り付けられている鈴を揺らす。ちりり、ちりり。
ばたばたという音が建物の2階から漏れてきて、少しして、コロが飛び出してきた。ちりりりり、ばたん。扉が勢いよく開き、閉められる。
「はいはーい!ごめんガラ、さっきまでパソコン見てた」
「へえ。まあ、行くか」
「そうだね」
「それで、何見てたんだ?」
2000年、ゼロ年代の前半だ。パソコンはまだこの国で普及しておらず、ガラはあまりパソコンやインターネットがどういったものなのかを理解していなかった。しかしどうも、それを使うと最新のニュースがいつでも見れるらしいと、知っていた。よくコロが話したからだ。
「さっきまで見てたのは、彗星のニュースだよ」
「彗星!何か、新しい発見があったのか!?」
宇宙に興味を持っているガラのことだ、例の彗星の話題には当然食いついた。
数日前のことだ。地球に彗星が接近したのだ。それは空を駆けたときに複数の、ピンク色の美しい尾を引いた。そのため、世界各地で、イカやタコにちなんだ名が付けられた。例えば東の方にある日本という国では、深海の大きなイカ・ダイオウイカにちなんで、彗星は「恐怖の大王」と呼ばれた。
この国では、あの彗星は「ゲデルゲニス」と呼ばれた。神話に出てくるイカの怪物の名前だ。神話によれば、真っ赤で、恐ろしく大きく、かつて海を支配していたらしい。そいつのせいで海は血のような深紅だった。神・インデラトポポ様がそいつを倒したことで海は美しい青色を取り戻したのだ。国民なら全員が知っている、有名な話だ。
「彗星“ゲデルゲニス”!あの謎の天体は、どのような真実が秘められているのだろう!」
駅へと続く道。彗星の話で思わず興奮したガラは、つい大声を出してしまった。それにコロがすぐ反応する。
「おい!あまりその名を口に出すなよ。不吉だぞ」
周囲の人々の目線に気づく。これからテヌリアの儀式があるというのに、神に傷をつけた怪物の名前を出すものではない。縁起でもない。
「わ、悪い……。それで、コロの見た、彗星のニュースって、何が書かれていたんだ?」
「ああ…他の彗星との比較についてだよ。彗星は見かけの移動速度が遅く、ほぼ日周運動と同じなんだ。だから流星のように空を駆け抜けたりはせず、天空に留まっているように見える。……それで、普通、彗星が地球に接近したとき数日・数週間は観察できるらしい」
コロは空を見上げた。つられてガラも空を見る。夜空には星々がきらめいているが、それ以外変わったことはない。丁度駅に着き、屋根のあるところになったため、その星空も隠されてしまった。
「……それが、どうしたんだ?」
「それが、あのゲデ…ピンクの彗星は、1日で完全にどっか行ってしまった。ぐるんと地球が一周する間だけ接近していたということだ。他の彗星に比べて、地球での滞在時間が極端に短いんだよ。面白いだろ?」
「面白い!!」
たまらなくなり、ガラは身体が全部震えるような思いだった。
「(やはり宇宙は面白い!!彗星ひとつとっても、まだまだ人間が知らないことばかりじゃないか!)」
電車でしばらく揺られ、神殿のある街に着いた。人間がひしめき合う様は、石の裏で蠢く虫のようだった。これでも早くに着いた方、これでもまだ人は少ない方だ。あと数十分もすれば、蜂の巣に詰められた幼虫たちのように人でみちみちになる。
「かなり早く着いてしまったな。せっかくだから、今日は神殿の中まで行ってみるか?」
コロがそう言ったので、ガラとしても断る理由はなく、提案に乗る。
「まあ、いいな。中にまで入るのは久しぶりだ。俺の父さんの姿も見えるかもしれない」
神殿の近くに住む国民は、テヌリアの儀式の際に神殿に向かう必要がある……のだが、それは何も全員が神殿の中に入る必要はない。神殿の置かれたこの街そのものが、一つの大きな正六角形ということになっており、時間になったときこの街の中にさえ居れば義務は果たせるのだ。ただやはり、神殿の中の方が神から授けられる恩恵は大きいと言われている。
人をかき分け、ずんずんと街の中心へと向かう。見えてきた。国の東南東と南東の丁度、間に位置する神殿。
「(やはり大きい)」
ここからでもベリーの酸っぱい、どこか爽やかな香りが漂う。
「さ、ガラ、中に入ろう」
「あ、ああ」
コロに手を引っ張られるまま、中へ入ってゆく。
大理石でできた床に腰を落とす。ひんやりとしている。目の高さには、別の人の後頭部が見えた。ここは神殿の中ではあるが、かなり後ろの方だ。前には、自分たちよりも信心深い教徒たちがひしめき合って座っている。それでも、神殿中央の大きな台に載せられた大きな鍋はよく見えた。そこから、鼻腔を刺す果物の酸味が発せられている。
隣に座ったコロが口を開く。
「明日、学校で進路調査を提出しなきゃならないだろ?だから、今日はインデラトポポ様の近くに来たかったんだ。神様、どうか僕の進路実現に力を貸してください!ってね」
「なるほどそれで、か。…きっと、インデラトポポ様もコロを応援してくれるさ」
「ありがとう」
時間が流れる。午後8時、58分……59分、1、2……。
「(そろそろか)」
9時。午後9時00分00秒を迎えた瞬間、ごおおん、と大きな音が響いた。鐘が鳴った。同時に、鍋に大量の麦酒が注がれる。酒は熱されたベリーに触れて蒸発し、赤みがかった蒸気がもわもわと夜空に昇っていく。それを見て、教徒たちは一斉に両の膝と手を地面につける。それから柔らかく頭を下げる。しばらくこのままにする。
鍋から立ち昇る気を見た人間から順に祈りを捧げ、首を垂れる。それを見てそれより後列の教徒が祈りを捧げる。中心から広がるように、同心円状に祈りの輪が広がる。まるで花が開くように、湖に広がる波紋のように。その僅かな時間差によって生まれるむしろ一体となった人間のうねりは、輪唱と同じ美しさを持っていた。
「……」
「……」
隣に、友の息が聞こえる。それを除けば、ここは完全な静寂だった。
「……」
ごおおおん
再び鳴った鐘の音を合図に、音の聞こえる範囲に居た教徒が一斉に顔を上げる。前にいる顔を上げた教徒を見て、その後ろにいる教徒が顔を上げる。規則正しい動作が波紋のように広がってゆく。
「ふう。さあ、人が波を引いたら、俺たちも帰ろう」
コロの方を向く。火照った体、汗が滴っている。
「そうだね。…うう、ちょっと思ったよりも暑い」
「バカ、水持ってきてないのかよ。…口付けんなよ」
腰に掛けていた水筒を手渡す。それをコロは受け取る。
「悪い」
コロは水筒を持ち、口の少し上、顔に触れないように止める。そうして水筒を勢いよく下に傾け、水を口の中に注ぐ。コロはがぶがぶ水を飲んだ。顔に精気が戻ってくる
「ぷはぁーっ!はあっ!気持ちいい!」
「今度から自分で持って来いよ。これからもっと暑くなるぞ」
コロから返された水筒を受け取り、ガラは「俺も飲むか」と小さく言った。かぽ。蓋を外し、口に近づける。……そのとき、ふとコロの顔が目に入った。
「(どうした、そんな顔して…)」
次の瞬間だった。コロは、サッと素早い素振りで口を塞いだ。顔に大きく、両手でバツマークが作られている。みるみる頬が膨らんでいくのが分かった。すぐ、ガラは水筒を傾けようとしていた手を止める。
「おい、大丈──」
「げ え えぇえええぇっ」
神殿のマーブル模様、美しい大理石の床に、コロが何かを口からこぼした。
すぐ周囲の人々がこちらを見る。だが誰よりも先に、ガラはコロの肩をつかみ、支えてこう言った。声を抑えたつもりだったが、それでも大きかった声に自分でも少したじろぐ。
「大丈夫か!?どこか悪いのか!?」
しかし、コロは予想していたよりずっと健康そうに、けろりと返事した。
「大丈夫だよ全然。あーびっくりした」
「……はあ?ゲロっちまってたじゃねえか。腹とか頭とか、どっか痛いや気持ち悪いがあったんじゃねえのか」
「僕にも分からない。…いや、違うんだ。僕が吐き出したもの……あれは胃にあった内容物ではなかった。急に、口の中で違和感が膨れ上がったんだ」
「くち?──」
ガラが、コロは何を吐いたのか確かめるため、床に落ちた吐瀉物を見ようと視線を落とそう、としたその時──
「おい!!お前、神聖な神殿の床に、なに吐いてるんだ!」
──どこからか怒号が飛んできた。見ると、そこには定年退職一歩手前くらいの中年おっさんがいた。どうやら神聖な神殿の床になにか吐いたことに、ご立腹らしい。あわあわと目に見えて動揺しているコロの前に出て、ガラは声を張る。
「うるさい!聖法典には、『健人が病人を助けるべし』と書いてある!インデラトポポ様こそ、建造物の床を心配するよりもここにいる病人の介抱をすることを望むだろう!」
怯むおっさんは、声を震わせて、か弱く吠えてくる。しかしガラは毅然と、目を鋭く尖らせ、吠え返す。
「なんだお前、ガキのくせに──」
「俺は、神官ガラクシャの3番目の息子、ガラだ!この場は俺に任せてもらおう!汚れた床が見たくない者は、さっさと立ち去れ!!」
ガラの一声に野次馬は去り、小さな空間が人衆の中に生まれた。何人かは「どうかしましたか」や「私も何か手伝いましょうか」と、コロを助けようと申し出てくれたが、ガラは丁寧に断った。コロの様子を見るに、体調不良ではなかったからだ。
数分すると、その場には誰もいなくなった。それを確認し、ガラは床を見る。コロの吐き出したもの。
「(これは……)」
それは恐らく儀式終わりに飲んだ水、唾液の混ざったことで白い気泡の目立つ、水だった。しかし、床・大理石のマーブル模様で見えづらくなっていたが、何か光るものもまたあった。複数ある。いや、その量は「大量にある」といってもいい。だって、これが……こんな希少なものが、こんなにあるのは、「大量」と言うほかない。
「宝石…!?」
床には────
「ありがとう、ガラ、さっき大声出しておじさん追い返したの、かっこよかったよ~」
「なに間抜けなこと言ってるんだ、コロ!お前がさっき吐いたものを見てみろ!」
「うええ…それはちょっと」
「いいから見ろ!」
床には────大量の、宝石が……トパーズが落ちていた。パッと見ただけで、5,6個以上はある。どれも小粒だが、綺麗にカットが施されていて、石の質そのものもかなり上質そうだった。
「お前、こんなもの口に含んでここまで来たのか?」
コロの方を見ると、血の引いた顔をしていた。
「そっそんなわけない!!こんな高級嗜好品を買うお金なんて、少なくとも僕はないよ!」
「……じゃ、なんなんだよっ?」
「だから、口の中に、急に違和感ができて、それを吐き出したんだって……ホントに、なんなんだようこれえ」
このとき2人は、知ることができなかった。それは「祈り」だった。数日前に地球にやってきた、ピンクの尾を引く彗星「ゲデルゲニス」別名「恐怖の大王」、それが人々に与えた力、「祈り」だ。特定の人間が特定の行動を特定の手順を踏んで行うことによって、何かしらの恩恵が実る……これより後の人類史で「祈り」と呼ばれるものだった。
人類で最初に「祈り」を実らせた人間・コロの「祈り」:
①午後7時51分以降に、空に浮かぶ星を肉眼で見る
↓
②両の膝を床につける
↓
③左の手を床につける
↓
④汗で上半身の下着を濡らす
↓
⑤羊の皮から作られた水筒で、水を飲む
↓
◎「祈り」が実り、口内で小粒のトパーズが9粒生成される
偶然にも、青年コロは、手順を正しく行い、「祈り」を実らせてしまったのだ。2003年、照ら照らと星の光が嫌気を指す、蒸し暑い夏の日のことだった。