表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/54

8.ダブルヒロイン登場

 翌日、お気楽なレイジといえば、


「よ~し。お前たち、今日は奮発だ。欲しいモノがあったら俺に何でも言うんだぞ」


 ただいま街に並ぶ出店でショッピング中。

 お連れも2人ほどいるようで、そのどちらも女の子だ。

 3人で楽しく何やらお買い物していた。


「で、ですがレイジ様……わ、私は……」


 うちの一人がモジモジしている。


「ん? どうした?」

「私は奴隷の身なんです、旦那様に何かをねだるだなんて、恐れ多くて……」


 身なりから察するに、彼女は奴隷の出みたいだ。

 そういう風に躾けられていたのか、新しい主を警戒しているのか、まだまだ遠慮がちであった。

 

「だから気にすんなって」

「ですが……」


 奴隷っ子はまだ納得してない様子。

 このような待遇は初めてなため、頭の中が混乱しているのだ。

 

 しかし、それではいけない。

 よって、この素晴らしいご主人様はこう答える。

 

「はあ……いいか奴隷っ子。よく聞け、確かにお前を奴隷として買いはしたが、俺は別にそういう感じで扱うつもりは全くない」


 初めにそう言ったではないか。


「今まで辛かっただろ?」

「っ!」

「これからは多少贅沢に、いや、もっと我がままに生きたっていいはずだ」

「ご……ご主人さまぁ……」


 奴隷っ子は身体をプルプルと震わせている。

 

「ああ、お前はもう奴隷なんかじゃない、自由だ。これから見たいもの、やりたいこと、お前の好きなことを探していけばいい」

「好きなこと、ですか?」

「ああ、俺も全力で協力する。だから安心しろ……なっ?」

「は、はい、うぅ……ありがとう、ございます……」


 感動のあまり大粒の涙を流している。


「まっ、俺はお前を逃がすつもりはないけどな」


 と、白目をむきたくなるようなセリフを言い、レイジは相手の頭を撫でてあげた


「まずは服だな。さっきから見てただろ? 好きなのを選んできていいぞ」

「っ! は、はい! では選んできます! ご主人様!」


 奴隷っ子は笑顔でお洋服コーナーへ向かう。


「フッ」

 

 彼女の後ろを姿を見て、レイジは小さく笑った。


 一方、


「はあ~~~~☆」


 ジュルリ……、


「おっ、なんだ、お前はそれがいいのか?」


 レイジはすぐ近くにいた、獣人族のケモ耳少女に話しかけた。

 食べ物コーナーで目をキラキラさせながら、ヨダレを垂らしている。


「はあ~……ニャニャッ⁉ 別に見てないニャ!」


 ケモ耳少女はハッと我に返り、すぐに目をそらす。


「遠慮はするなって言っただろ。おっ、これが欲しいのか?」


 と言って、レイジは獣人族専用食糧である、焼きトカゲの尻尾を見た。 

 人が食べたら猛毒で即死、しかも激マズ。


「レイジ! ミャーを子供扱いするニャって、何度もそう言ってるニャ!」

「おー、おー、悪かったよ」

「もう、本当に分かってるニャ!」


 ケモ耳はレイジの周りをピョンピョコ跳ねる。


 このケモ耳は、レイジが路地裏でたまたま遭遇したケモ耳である。

 とある闇の組織から命かながら逃げ出して、行き倒れていたところをレイジが発見した。

 試しに食べ物を与えると、えらく懐かれてしまい、このようについてきたのだ。

 

 初めから好感度マックス。

 ハーレム要員にケモ耳少女の存在は欠かせない。

 というわけで、このケモ耳も仲間に入れることにした。


「ミャーはこう見えてレイジより年上なニャ! 年上は敬うものニャ!」


 エッヘン!

 ケモ耳はあまりない胸を張って、大人の威厳を見せつけようとする。


「はあー、そうは言われてもな、お姉さんには全く見えないが……」


 レイジは少しかがんでケモ耳の良く動くケモ耳をじ~っと見る。


「ニャ~~ッ! またそうやって子供扱いするニャ! 無礼なレイジはこうしてやるニャ!」


 ケモ耳は大層プンスカし、爪を立てて飛び掛かろうとしたが、


「ニャッ⁉」


 相手に頭を押さえられ止められてしまう。


「おー、やっぱりモフモフだな」

「ニャニャッ⁉ 何するニャ!」

「噂には聞いていたが、想像以上に良い触り心地だ」


 レイジはそのまま頭をナデナデする。


「こらレイジ! 手をどけるニャ!」


 その手をなんとかどかそうと、ケモ耳は必死に足掻いている。


 しかし、


「別に俺の前でくらい、子供でいたっていいんだぜ」

「ニャッ!」

「なんせ俺たちは異種族だ、歳の差なんざ関係ない。それに人間からしたらお前はまだまだ子供の年齢、そうだろ?」

「で、でも……」


 ケモ耳の抵抗力がだんだん落ちてきた。そして、


「これからは俺だけに甘えてくれ。俺だけにその笑顔を見せてくれ」


 胃にある食べ物が全て出てきそうな、なんとも歯の浮くセリフを言い放つ。


「ふにゃ〜……そう言われると弱いニャ~」


 なぜか途端にデレデレしだすケモ耳。

 なぜか目を閉じて、気持ちよさそうする。


「ああ、毎日その耳をモフモフさせてくれ」

「ニャ~……」


 2人はしばらくニャンニャンする。

 出店の前でイチャついているため、周りには本当に良い迷惑であった。


 ──見ての通り、奴隷っ子、ケモ耳、彼女たちが現在のハーレム要員だ。

 バーネットと別れてから、たった一日で2人も集まっていた。


 途中でガチムチのナイスガイにも誘われたのだが、残念、生憎レイジにそのような趣味はない。

 問答無用、シッシッ、業火で焼き払っておいた。


 色々あったが、なんだかんだで絶好調。

 なぜか可愛い女の子たちがレイジの元へ続々と集まってくる。

 やはりこれもEXスキルとやらのおかげなのか。


 とりあえずこの調子で行けば、夢のハーレム生活はまっしぐらだ。

 思い描いていたのとなんかちょっと違う気もしなくはないが、流れとしては全然悪くない。

 まさしく人生の絶頂、エクストラ。

 レイジは有頂天になり笑いが止まらない。


「さて、次はベッドだ。ベッドを探そう」

「ベッド、ですか? 今のでは何かご不満でも?」

 

 不思議そうに首を傾げる奴隷っ子を片目に、レイジはニヤッとして、


「ああ、3人で寝るにはちょいと狭いからな。デカい奴にくら替えするんだよ」

「そ、それって……」


 奴隷っ子は顔を赤らめ、両手で押さえている。


「レイジはスケベだニャ〜、女の子にいきなり手を出すのはどうかと思うニャ」


 ケモ耳は呆れたという感じで肩をくすめた。


「イヤか?」

「ニャッ⁉︎……い、イヤじゃにゃい……」


 またデレた。


「毎晩可愛がってやるよ、2人まとめてな☆」


 決まった、レイジはドヤァ!


「はう〜ん、ご主人様〜♡」

「キャー! レイジ〜、だいしゅきニャ~♡」

 

 2人とも目にハートを浮かべて抱きついてくる。

 常人には到底理解できない世界が広がっていく。


「よ〜し。今夜は寝かさないからな、覚悟しろよ」

「はい♡」


 これは気分が良くなってしまう。

 レイジは彼女たちを両腕に抱えて進み出す。


「じゃ、行くか……あっ?」


 すると、チラッ


 前方にある路地裏に入ろうとする、よく見知った人物が目の端に映る。


「バーネット……?」


 一瞬しか見えなかった。

 でも間違いない、あの後ろ姿は彼女のモノだ。


「…………」

 

 少し考える素振りをして、


「悪いお前ら、少しここで待っててくれ」

「どうしたニャ、レイジ?」

「ああ、ちょっとな。先に良いのを探しててくれ」

「了解にゃー!」


 

 路地裏へ向かう。 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ