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35.なぜ覚えているのか

 ドジェイルを再度貫く、レイジの黄色い閃光。

 ブインッ!

 MP製光の鎗が後ろの壁ごとぶっ刺さっている。


「ば、馬鹿……な……ッ⁉」


 なぜ反応できる。あり得ない。

 串刺しのドジェイルが目を大きく見開く。

 痛すぎて目と鼻と耳からも出血している。


「あん? 誰だお前? いきなり背後から攻撃してきやがって」


 ググッ、レイジは短剣を握る力を強めた。

 彼の肉体には特に目立った外傷はない。

 何事もなくしっかりと地面に立っている。

 どこも焦げていない。

 ドジェイルもそうだが、いつの間にか全回復していた。


「反応……できる……はずが……」

「なに、コイツ・・・が教えてくれたんだよ。後ろに誰かいるってな」


 レイジが短剣を持つ手とは反対の腕を、チラリ。

 よく見ると何かを抱えていた。


 そこにいたのは、


「ビニャーッ!」

「なッ⁉」


 ドジェイルはまたも目を丸くした。

 そこにいたのは、一匹の猫。

 それはマダムの元に来たばかりの新しいペット。


 そう、カトリーヌちゃんだ。

 レイジの腕に中でくつろいでいるカトリーヌちゃんであった。

 彼女が背後からの危険を知らせてくれたのだ。


「そ、そんな……」


 ブシャッ!


 レイジが光の鎗を引っこ抜く。


 ブシュウウウウ!!!


 ドジェイルから赤黒い噴水が。


「カト……リーヌ……」


 今度は頑張って3歩ほどフラつき、


「……ちゃん」


 グシャアッ、地面に前から倒れた。


 シーン……。


 EXスキル:【限点回帰ダーク・リ・ターン


 また黒いモヤ。


「──刀波ブレイド!」


 ドジェイルが帰ってきた。

 これには暗殺者もビックリ、またも背後から襲い掛かる。


 だが、


「──閃波イレイム

「ッ⁉ うごっ⁉」


 それをレイジが、まるでよんでいたかの如く振り返り、素早く術で反応。

 今度は空いた口を貫き、頭から光が突き出す。

 

「あん? なんだお前? いきなり背後から攻撃しやがって」


 今度はカトリーヌちゃんがいない。

 今の一瞬でどこかに行ったみたいだ。

 レイジがフィジカルのみで対応してきた。


「あが……あがががが……あが……」


 上手く言語が話せないドジェイル。

 

 引っこ抜く。

 すると脳○○の破片らしきモノが、ビチャッ。

 ドジェイルは白目を向いた。


 ──EXスキル:【限点回帰ダーク・リ・ターン


 背後からの襲撃!


「──閃波イレイム


 レイジソード!


 グサッ


「ウゴッ⁉」


 ──【限点回帰ダーク・リ・ターン


「なぜですかッ⁉︎」

「──閃波イレイム


 ズブッ


 ──【限点回帰ダーク・リ・ターン


「そんなのあり得ないッ!」


 閃波イレイム


「こんなことッ!」


 閃波イレイム


「絶対にあってはッ!」


 閃波イレイム


「ならな──」


 ──ガリッ、突然真上から落ちてきた赤いレンガに、ドジェイルの頭蓋骨が削られた。


 EXスキル:【限点回帰ダーク・リ・ターン


「──閃波イレイム

「くッ⁉」


 ドジェイルが攻撃を中断し、相手の術を紙一重で躱した。

 

「おっ、ようやく学習──いや、なんだお前、いきなり背後から攻撃してきやがって」


 レイジは短剣に込めた光を引っ込め、例の定形セリフを吐く。


 2人は依然として無傷。

 常に戦闘前の状態である。

 ただ変わったことと言えば、背景がわずかに違うモノにすり替わっている。

 いつの間にか別の路地裏へと移動していた。


「ハア……ハア……ハア……」


 体力全快のドジェイルがなぜか息を切らしいる。

 どこか精神に変異をきたしてしまったのか。

 苦しそうに呼吸を整え、


「……覚えて、いるのですか?」

「あん? なんだ?」

「覚えているのかと聞いているのです!」


 声を荒げた。


「覚えている? 一体何のことだ、知らないな」


 全く身に覚えのない。

 レイジはさも分からないといったジェスチャーで返す。


「とぼけないでくださいッ!」

「なんだよ、ワーワーとうるさいな。ったくよ、変異者でもあるまいし」


 わざとらしく耳をかっぽじる。


「そもそも、お前とは初対面のはずだ」


 いま出会ったばかり。

 お互いどんな人間なのか、顔はおろか名前だって知らない。

 自己紹介だってまだである。


「なあそうだろ? ドジェイルさんよ」

 

 そのまま、ニヤッ、少し笑みがこぼれてしまった。


「~~~~ッ」


 相手の心底舐め腐った態度に、頭に血が昇る。

 ドジェイルは握った拳をプルプルと震わせ、

 

「ふ、ふ、ふざけるなあああああッ!!!」


 火山が大噴火! 激昂して襲い掛かる。


「おっと、ソイツはやめといたほうがいい」


 レイジは迎撃態勢を取ることはしない。

 余裕そうに、一度冷静に忠告し、


「──予知する。お前は押し潰れて悲惨な死を遂げる」


 唐突な、未来予知。


「ぬかせええええ!……ハッ⁉」


 不意に空気の重みを感じたドジェイル。

 彼はとっさに見上げた。


 すると、空を覆いつくすほどの巨大な影が。


「な、なん──」


 ドグシャッ!


 空からいきなり、操作ミスで墜落した気球が。


 ドジェイルは容赦なくプレスされ、辺りに血とか内臓とか目玉とか、その他モロモロが飛び散ってしまった……。


 …………


 EXスキル:【限点回帰ダーク・リ・ターン


 時は逆行する。


「──はっ!」


 レイジは未来から帰還した。


 ここはあのエロ防具が売っている武具屋。

 例の18禁コーナー。


「……またか、コイツで何回目だ?」


 急に場面が切り替わったというのに、レイジは辺りを見渡すことはしない。

 その必要がないからだ。


 すでに何度もここに戻されている。

 この18禁コーナーにだ。

 初めは訳が分からず困惑したが、もうこの現象にもすっかり慣れてしまった。


「チッ、どうすればいいんだよ」


 むしろ8回も繰り返していると、流石に飽きてくる。

 時間の並行感覚がおかしくなってくる。

 どうやらドジェイルを殺すたびに、ある決められた地点まで時間が逆行してしまうらしい。

 あのEXはそういう能力だ。


「……こいつは流石にアイナでも荷が重かったか」


 レイジは自分の左手を見る。


 EXスキル:【天性解除スキルダウト

 

 同ランク帯はパクれないが、干渉くらいはできるらしい。

 おかげで【限点回帰ダーク・リ・ターン】の影響下の中でも、レイジは時の流れを観測できた。

 そうでなければ、彼自身もアイナと同じ末路を辿っていたことだろう。


「殺しても時間が戻るんじゃキリがない……クソッ、どうやって倒せばいい」


 エマコと同じく実質不死身の能力。

 無敵すぎる、無敵スキル。

 そんなことがつい頭の中をよぎってしまう。


「…………」


 チラッ、ふとレイジはお気に入りのメイド服に目をやり、


「クソッ!」



 お店を出た。

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