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20.レイジと眼帯の女、廃墟にて

 ここは人気のない建物。

 かなり老朽化が進んでいるのか、至るところから雨水が垂れてくる。

 おまけに長時間嗅ぐと気分が阻害されそうな、あの廃墟特有の匂いもある。

 夜には絶対アレが出てくる。


 そんな建物の一室に、一人の男がいた。

 何やら手錠をかけられ椅子に拘束されている。


「…………」


 レイジだ。

 上半身を脱がされ、目隠しまでされた無様なレイジだ。

 なぜか開幕囚われの身となっていた。


「うぅ……こ、ここは……?」


 やがて、半裸が目を覚ます。


「……っ」


 真っ暗で何も見えない。

 それもそうだ。

 レイジはいま目隠しされている。暗闇しかない。

 ここがどこなのか、なぜこうなってるのか、全く分からない状況だ。


「おい! 誰かいないのか! おい!」


 これはパニックになってしまう。

 レイジの慌てふためく声が、建物内を飽和する。

 

 だが悲しいことに、いくら叫んでも何も反応がない

 

「誰か返事しろよ! どうなってんだよ! おい! おい!」


 しばらく口が悪いのが騒いでいると、


 ギギィー……


 部屋のドアがゆっくりと開く。


「……っ!」


 中から誰か人が入ってくる。


 入ってきたのは、一人の女。


 コトッ


 女は椅子を置いて座る。


 腰の辺りまで伸びた綺麗な黒髪。

 それとは対照的な炎のように赤い瞳。

 右目の方は失明したのか、チャームポイントなのかは不明だが、黒い眼帯を装着している。

 同じく黒を基調とした服装。

 両肩意外の肌の露出はほとんど見られない。


 その真っ赤な瞳もそうだが、凛とした顔つき、どこぞのバーネットと雰囲気が被っている。

 しかし、彼女とは違って清楚感がある。

 不良ではなく優等生な感じ。

 なるほど、人によっては上位互換だろう。


「ようやくお目覚めね」


 冷ややかな声がレイジの耳に突き刺さる。


「誰だ? なんで俺は……」

「口を開かないで。レイジ=アルバード」

「っ!」

「あなたに話す権限はない」

 

 女がいきなりナイフを喉元に突き立ててきた。

 えらく殺気立っている。

 レイジはそれを鼻先で感じ取る。


「なんだよ……またヤンデレなのか? お前もそうなのかよ」

「勘違いしないで。あなたを助けたわけじゃないから。それにあなたのことなんて何とも思ってない」

「…………」

「殺す前にいくつか聞きたいことがあるだけ。いいこと? 私の質問にだけ答えなさい」

 

 早くも室内に緊張が走る。

 この女、あまり余裕がなさそうだ。

 レイジは自分の置かれた状況をすぐに理解し、無言で首を縦に振った。


 囚人の様子に女は納得。

 そのまま質問タイムが始まった。


「まずはそうね。あの変異者・・・、エマコ=エマージェンスについて知ってることを全て教えなさい」

「変異者? 変異者ってなんだ」


 スッ、女が喉元にナイフを近づけた。


「言ったわよね。質問にだけ答えなさいって」

「…………」


 ──レイジはエマコに関する情報を洗いざらい吐き散らした。

 パーティから追放されたこと、自分のやった行い、狂気と化したエマコ。

 ここ数日の出来ごとを全て見知らぬ女に伝えた。

 まるで自分が一番の被害者であるかのように。


「ふーん。つまりあなたたちは同じパーティだった。そういうわけね」


 女はメモ帳らしきモノに、被告の証言を詳細に記録する。


「でもまあ、話した通り解散しちまったけどな」

「で、彼女とのデート中、私に邪魔されたってことでいいのかしら」

「ああ。そういうことだ……って、ん?」


 レイジは女の『デート中』ではなく、『邪魔された』という言葉に引っ掛かる。

 と言うことは、目の前にいるであろう彼女が自分を助けてくれたのか。

 あのエマコを切り刻んでくれたのか。

 おそらくそう思って良いのだろう。


「なるほどな、誰だかは知らないがおかげで助かった。礼を言わせてくれ」


 脱がされて拘束されたあげく、目隠しプレイまで強いる女に、礼を言お──


「──フンッ!」


 ドグシャッ!


 女はナイフの向きをクルッと変え、レイジの左肩にぶっ刺した。


「ッ⁉ うぐわああああああ!!!」


 レイジの絶叫。

 肩から赤いモノが滲みだす。


「て、てめえ! いきなり何しやがん……ぐあああああああ!!!」


 何かお気に触ってしまったか。

 女がナイフでグリグリして、傷口を広げていく。


「嘘をおっしゃい、レイジ=アルバード。知ってることを全てと言ったはずよ」


 ブシュブシュ、ブシュブシュブシュ(自規音


「あなた、自分の置かれた状況を良く分かってないようね。私はいつでもあなたを殺せるの、こうやって簡単に!」

「あああああああ!!!」」

「そのゴミの詰まった頭で理解できたなら正直に言いなさい」

「わ、わかった! わかったからやめろおおお!」

「……そう」

 

 女はナイフを持つ手を放す。

 まだレイジの肩に突き刺さったままだ。


「ハア……ハア……クソッ、俺が何をしたって言うんだ……」


 なぜこんな目に遭わなければならない。

 確かに最近女がらみで色々トラブルはあった。

 だが、ここまでされる覚えはない。

 レイジは心の中で不満をぶちまけた。


 そんな哀れな男はさておき、眼帯の女は淡々と話を続ける。


「レイジ=アルバート、Bランク冒険者。所有スキルは……」


 【盗賊者】、【盗賊者】だ。


「──【天性解除スキルダウト】」


 あっさりと言い当てしまった。

 女は右目の眼帯を少しずらす。

 すると、そこから覗かせるのは黄金に輝く瞳。

 左目とはまた違う色で、光を放ちながら半裸を見ている。


「アイツと同じ……」


 そして、女は、


「……変異者」


 

 顔を歪めた。

第2章、始まりました!

一日一話ずつ投下していきますので、よろしくお願いします。

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