16.盗賊者の依頼
お金でハイ終わりは面白くないと、闇組織の幹部であるママは言う。
ならばどうしろと言うのか。
「そうねえ……そう言えばあなた、冒険者をやってるそうじゃない。それもかなり腕が立つそうねえ」
レイジ=アルバード、Bランク冒険者。
噂は聞いている。
「……俺を知ってるのか?」
「ええ。だってあなたは裏の世界では有名だもの。受けが良さそうな男の子だって」
う、裏ってそういう……。
レイジは内心ブルッとした。
「……何が言いたい」
「あら、気を悪くしちゃったかしら。ごめんなさいねえ、あなたとのお話が楽しくて、つい話がズレちゃったわ」
「…………」
「で、話を戻すのだけど、最近この辺りで盗賊が出るようになったのよ」
近頃、街の治安が少々悪い。
そのせいか、外からやって来た賊共が盗みを働いてくる。
それ自体はよくある話だ。
「ワタシたちも被害を受けて困ってるわ」
うちの可愛い子たちも何人かが空き巣に入られた。
盗賊たちは一つの巨大な組織で動いており、ネズミを一匹捕まえたところでキリがない。
「ああいうのは巣のボス、つまり盗賊のリーダーを排除すれば、内側から一気に崩壊するわ」
だが、肝心のボスネズミが中々尻尾を出さないため苦戦している。
闇の組織、はたまた○○バー的には、街に盗賊がはびこるのは色々と厄介。
「なるほど、話が見えたな」
レイジはいかにも要領がいい感じでうなづいた。
話によれば盗賊たちの始末に難航している。
そこ冒険者である自分の力を借りたいというわけか
そういう依頼はこれまでも何度か受けてきた。
段々話が面倒になってきたが、もう文句は言っていられない。
冒険者らしく黙って引き受けるしかない。
「まあその話は別にいいんだけど。盗賊なんて放っておいてもそのうち捕まるでしょう」
「……へっ?」
「それより、あなた中々良い顔立ちをしてるわね。すごくワタシの好みだわ」
「…………」
急に流れが変わり、レイジは固まった。
「あなたもここに来る前に見てきたと思うけれど、うちはむさ苦しい男ばかりなのよね。だから新鮮な果実に飢えてるの」
と言って、レイジの引き締まった尻にいかがわしい視線を向けた。
「フッフッフッフッ、安心しなさい。ワンナイトカーニバル、一日で返してあげる」
つまりペンダントを返して欲しくば、今夜の相手をしろと。
そういうことだ。
レイジはそれを聞いて、背中にとんでもない悪寒が走る。
「ふざけるな、誰がお前なんかと。例え俺がそっち側でもごめんだ」
「あら、じゃあ仕方ないわね。コレはずっとワタシの物、あ〜〜ん……」
ヒョイッ、ママがペンダントを口に運ぼうとした。
「っ! よ、よせ!」
かなり慌てるレイジを見て、ニヤリとする。
「分かってるわよ。よほどコレが大事な物なんでしょう」
チラチラと見せつけるように揺らす。
「くっ……」
「なら取るべき態度ってモノがあるはずよ。ねえ、あなたもそう思うでしょう?」
そんなことを言われても、レイジは踏ん切りがつかない。
つくはずがない。
目で嫌だと言って拒否っている。
「諦めなさい。ここはそういう街、そういう組織なのよ」
「…………」
「さあ、こっちにいらっしゃい。快楽の虜してあげるわ」
どっぷりハマって抜け出せないように調教する。
ママはヌメヌメと手招きをして、相手をこちら側の世界にいざなおうとする。
レイジは悔しそうな顔で近づく。
そうするしか選択肢はなかった。
それは、いつぞやのバーネットと、似たような光景であった。
「そうそう、良い子だわ。レイジ君」
気に止むことはない。
何もこれは、最初から全部仕組まれていたこと。
ママが初めてペンダントを見た時、そのエメラルドの輝きからレイジの姿が反映された。
いま目の前にある、この光景が広がっていたのだ。
そう、全ては運命で定められていたことなのだ。
「フッフッフ、忘れられない夜にしてあげるわ」
やがて、待望のレイジが5メートル付近まできた。
そして、手を前に出し、相手に服従の印を──
が、しかし、
「──って誰がやるかよ! 一人でこすってろ!」
次の瞬間、レイジがいきなり炎を出す。
相手を脅迫するように前にかざした。
「焼死体がイヤなら俺にペンダントを渡せ!」
裏の人間相手に交渉なんて、やはりロクなことがない。
真面目に話しをするだけ無駄なのだ。
レイジは強硬手段に出た。
「どうした、もっと醜い顔面になりたいのか」
さらに炎の火力をあげた。ボワアアアア!!!
が、
「──そう来ると思っていたわよ」
ボワッ⁉︎
「あなたたち、やっと出番よ」
指パッチン
ガタッ、ガタガタガタッ、ガタッ
大量のガチムチたちが、部屋の四方八方から出現。
レイジは瞬く間に囲まれてしまう。
「くっ、コイツら……」
「やっぱり良いわぁレイジ君、そう来なくっちゃ」
なぜか全員が上半身裸で、下はフンドシ一丁。
ちゃっかりさっきここまで案内してくれた良い〇〇までいる始末。
先ほどの親切さとは違い、得意げな顔で腕を組んで突っ立っている。
やはり〇〇はダメだ、絶対に信用できない。
彼を含めた変態たちがジリジリと迫ってくる。
「素晴らしい余興をありがとう。さあ、あなたたち。彼の相手をしてあげなさい」
ママはそう言って、さらに奥の部屋へ。
「なっ⁉︎ 待ちやがれ!」
「フッフッフ。レイジ君、あなたの相手は最後にしてあげる。どういう形でワタシの元に来るか、今から楽しみだわ」
まずはこの手下たちの戦い、最後はママと。
どちらの意味で戦うことになるかは、レイジの健闘次第。
「せいぜい汚されないように頑張ってちょうだい。なるべく鮮度の良い状態で味わいたいから」
ギラついた目でヨダレを垂らしている。
「じゃあ、レイジ君。健闘を祈るわ」
そう言い残し、ママは部屋から退場した。
「うおおお! 久々の新しい肉◯だあああ!!!」
変態たちはレイジを見て歓喜している。
彼らの大合唱が室内に共和して轟いてくる。
こんなの恐怖しかない。
お尻をキュッと引き締めるしかない。
「チッ……【天性解除】!」
レイジは戦闘態勢に出る。
とっさにEXを発動。
周りのナイスガイたちから、何か使えそうなモノがないか探るも……、
【淫☆夢】【淫☆夢】【淫☆夢】【淫☆夢】
【淫☆夢】【淫☆夢】【淫☆夢】【淫☆夢】
広がる、絶望。
「あがっ……ああ……」
言葉を失った。
「よーし! おめえら! コイツをノープからホープに変えてやれッ!」
屈強な◯◯たちが、レイジに向かって、一斉に、
「クソッ、ハメやがったな⁉ うおおおおおお!!!」
襲い掛かる。




