表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

君が生きろと言ったから

作者: アナグラム

 8月。夏休み中の登校日。そんな日の昼下がりに僕は屋上で彼女に向かい合っていた。


(あかね)。話ってなに? 直接言いたいって言ってたけど」

「うん、来てくれてありがとう。(つかさ)


 彼女は僕の目を見ながらそう言う。僕がここにいるのは今目の前にいる千葉茜(ちばあかね)と言う僕の恋人に呼び出されたからだ。ここ最近、会えてなかったため久しぶりの対面。だと言うのに茜の表情は嬉しそうでも楽しそうでもなく、無表情だった。


「いやいや、茜に呼ばれたんだから来るよ。それで、どうしたの?」

「あのね、司。私あなたと別れたいの」

「......は?」

「私ね、好きな人が他に出来ちゃってさ。だから、司とはもう付き合えない」


 胸の奥が一瞬でぎゅっと締め付けられる。周りの音が聞こえなくなってじっとりとした嫌な汗がシャツに染みこんでいく。数瞬の間、俺は黙ったまま動けなかった。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ...。好きな人が出来た......?」

「うん、そうなんだ」

「そうなんだって...。じゃあ、俺の事はもう好きじゃないってことか?」

「うん。ごめんね。司は何も悪くないんだ。いい彼氏だった」


 どうしようもなかった。まだ、別れる理由がどこかが気に入らないとかこういう所が気に障るとかだったら直しようがあった。でも、俺は何も悪くなくて、茜に新しい好きな人ができただけ。彼女の言葉が嘘だったりしたらまだ良かったが、千葉茜と言う人物は嘘をつかない。だから俺はこれが茜の本音で真実なのだと分かってしまった。


「じゃあ、司。私はもう行くね。本当にごめんね」


 彼女はそう言って屋上から去って行く。俺はその場に崩れるように座り込み、しばらく泣いた。そんな俺を嘲笑うかのように空には蝉の鳴き声だけが響いていた。










 俺と茜が出会ったのは入学式の日だった。緊張と期待を胸に自分の教室へと向かい、自己紹介が始まった時、俺は一目惚れというものを初めて経験した。


「こんにちは。千葉茜です。えっと、趣味は音楽鑑賞とか映画鑑賞とかです。それで、自慢できることはこれまで一度も嘘をついたことが無い事です。はい、今それ嘘だろ、って思いましたよね? 残念ながら本当ですっ! 中学卒業と同時に引っ越してきたので友達はいません。でもたくさん出来たら良いなって思います! よろしくお願いします!」


 少しユーモアを加えた自己紹介。教室には少しに笑いが起きていたが俺は笑えなかった。ただただじっと彼女を見つめていた。周りの風景がぼやけて見え、彼女だけが鮮明に俺の目に映し出される。それほどまでに彼女は輝いていて綺麗だった。


 彼女のその明るい性格と人懐っこさはすぐに人気を集め、女子からは慕われ、男子からは恋愛感情を向けられるようになった。彼女の周りには俺の中学や他の中学でクラスの中心となっていただろう人達が集まり、いわゆる一軍グループを作り上げていた。


 必然的に学級委員にも選ばれ、秋にやった文化祭でのコスプレ喫茶は彼女を指名する客たちで溢れかえっていた。体育祭では抜群の運動神経を見せ、テストでも上位に名を連ねている。おまけに性格もすこぶる良い。そんな物語の主人公のような彼女に対して不満を抱くような者はひとりもいなかった。


 俺は彼女に一目惚れをしたわけだが当然俺なんかは対象にすら入らないと思っていた。ずっとこのまま蚊帳の外で彼女を見ているだけだと。その認識が変わったのは高校1年の三学期だった。







 その日は委員会を決める日だった。俺の学校は各学期ごとに委員会が変わる。俺はずっと整備安全委員会という自転車の整理や校内の清掃を行う委員会に所属していた。今学期もそのつもりで整備安全委員会に立候補した。俺の他には誰も立候補せずそのまま男子の枠は俺で決定。続いて女子の枠。だったのだがここで異変が起きた。先生が希望者を募ると彼女――千葉茜がピンと手を伸ばしたのだ。

 これまで学級委員をしていた彼女がいきなり整備安全委員会に立候補したことで少しクラスがざわめき始める。


「茜さん。本当に整備安全委員に入るの?」


 先生も少し困惑した様子だ。


「はい。ほら、私ばっかり学級委員やってても他のみんなはつまらないじゃないですか。良く言うでしょう? 新しい風が必要だって。だから私は今学期はやりません!」

「...分かった。じゃあ、茜さんが整備安全委員で書いておこうか」


 彼女がそう言ったなら反論は誰も出来ない。元々強制でも何でもなく、あくまでも希望なのだから誰にも彼女を学級委員にさせることは出来ないのだ。


 こうして俺は彼女と一緒に委員会活動をするようになった。ちなみに学級委員は一軍グループの他の女子がやることになった。







「天野司くんだよね?」


 初めての委員会で各クラスの委員が集まった時、彼女はそう言って俺に聞いてきた。


「うん。天野司だよ」

「よかった! 名前間違えてたらどうしようかと思ったよ。ともかく、これからよろしくね!」

「よろしく、千葉さん」


 一目惚れの相手が目の前にいても俺は平静を装った。ちゃんとやれているか分からないが顔には出ていないだろう。内心は大荒れだが。


「よしよし、じゃあ、連絡先! 交換しよっか!」

「え、連絡先?」

「うん! 何かあった時に便利でしょ?」

「い、いいの?」

「もっちろん! ほら、出して出して」


 俺は彼女に言われるがままにスマホを取り出してメッセージアプリのQRコードを読み込んだ。連絡先の中に『千葉茜』という文字が入ったのを見て俺は喜びの声を上げそうになる。


「よし! これでいつでも連絡できるね!」

「うん、そうだね」


 いつでもと言う言葉に心がドキッと跳ねる。これはいつでも連絡して良いという事なのか、それともただの社交辞令なのか俺には分からなかった。






 委員会の仕事も終わり、家に帰ると早速彼女からメッセージが来ていた。


『お疲れ様! いや~思ったより大変だったよ~』

『お疲れ様。確かにしんどいよね。俺も疲れた』

『冬なのに少し汗かいたもんね~。とりあえず頑張ろうね!』

『うん、頑張っていこう』


 俺がそう返すと彼女はスタンプを送ってきた。俺はこれで終わりかと思ってスマホを閉じようとするが彼女のメッセージまだ続いていた。


『話は変わるけど、司君は本とか好き?』

『好きだけど...どうして?』

『いつも教室で読んでるからね~。私も実は本好きなんだよ~』


 俺はそのメッセージを見て驚く。彼女のあの明るさや活発さからは本が好きなんて予測できないからだ。驚いたのを悟られないように無難な答えを返す。


『そうなの? どんなの読むの?』

『恋愛ものとミステリーが多いかな!』

『へ~。僕と一緒だ』

『え! 本当!?』

『うん、ホントだよ』

『うわ~うれしい! じゃあ、じゃあ...』




 それから俺たちは好きな本や作家について話し合った。やれ誰々の本は感動しただの、あの本の結末には驚いただのとそんな会話。意外にも彼女と俺の好む作品は似ていて俺は彼女との共通点を見つけられて嬉しい気持ちになり、その日は寝る前までその話題で盛り上がった。




 次の日から俺の生活は変わっていった。茜は俺に良く話しかけるようになり、最初は不思議に思っていた周りのクラスメートも趣味が一緒という事を茜が説明するとすぐに納得した。

 委員会でも何度も一緒に掃除をしたり、自転車の整理をしたりした。その間も本の事に限らず、休日は何をしているのか、好きな食べ物は、好きな芸能人はと様々な話題で盛り上がった。

 ただ見ているだけの存在だったのに今はこんなにも近くにいる。そのことで俺の恋心はさらに大きくなっていった。でもだからと言って好きだと告げることはしなかった。その理由はやっぱり彼女と俺の間にある差が気になっていたから。彼女は人気者で俺は人気者でも中心人物でも何でもない。

 この世には釣り合いというものがあり、人には釣り合った仕事、人間関係、恋人、生活環境があると俺は思っている。今の俺には彼女との釣り合いがとれているとは思えなかった。きっと俺は彼女に取ってはただの友人で、趣味が合う、気が合うだけの友人だと思っていた。俺としてもそれだけで十分だと。






 


「司。お前千葉さんと付き合わないの?」


 ある日の昼休みに俺の幼馴染である近藤隆生が不意に聞いてきた。この手の質問は他の人物にも聞かれたが俺の返す答えは決まっていた。


「付き合えないと思うよ。だって釣り合いがとれていないんだから」


 俺がそう言うと他のクラスメートや知り合い達は「へぇ~。ま、確かに分からんでもないけど...」と少し気まずそうな顔をする。隆生も同じ顔をするだろうと目をやると隆生は気まずそうでも何でもなく、ただ不思議な者を見た顔をしていた。


「...なんだよ」

「いや、釣り合いって本気で言ってんのかなって」

「本気だよ。彼女は人気者で俺はそうでも無い」

「それは違うと思うぞ」

「何がだ? 彼女は人気者だろ」


 何を言っているのか。それは純然たる事実だろう。

 俺の幼馴染はそう言った俺に違う違うと手を振りながら言う。


「釣り合いがとれてないって所だよ」

「何が違うんだ?」

「いいか。釣り合いなんてものはこの世にはないんだ。芸能人の嫁や夫は芸能人か? 美人の夫はイケメンか?」

「それは...違うけど」

「違うんなら釣り合いなんてないって分かるだろ?それに釣り合いだなんだと言って本当は振られるのが、今の関係を壊すのが恐いだけなんじゃないのか?」

「っ!!」


 図星だ。だから俺は何も返せなかった。一瞬で見抜き、そこをついてきた隆生。まるで心を読めるのではと疑うくらい的確だった。


「言っとくけどな、お前は結構良い感じだと思うぞ。俺がそう言うんだ、間違いない」


 確かに間違いはないかもしれない。隆生はイケメンで勉強は出来ないがスポーツは何でも出来る。そのため多くの女性の心を射止めてきた。まあ、浮気性という欠点は目立つが。それを知っていても女性が寄ってくるのだからすごい奴だ。そんな隆生が言うとそうかもしれないと思わせる力があった。


「そうかもしれない...けど」

「うだうだ悩んでないで言ってこいよ。好きですって。関係性が壊れるならそれまでってことだ。また別の人を探せば良い。止まったままの関係だといずれ消えていくぞ。お前は付き合いたいんじゃないのか?」



 別の人を探せば良いという所は賛同出来ないがそれ以外は隆生の言うとおりだ。そうだ。俺は例え釣り合いがとれていなくても千葉さんと付き合いたい。関係を先に進ませたい。だから俺は告白をしようと決めた。




 

 月日が巡り、3月。俺と茜はお互いに名前で呼び合い、周りから誤解を受けるほどには仲良くなっていた。

 今日は俺たち在学生が登校する最後の日。次に登校するのは春休みが明けた後になる。俺はそれを今日することにためらっていたが、親友と呼べる幼馴染の隆生に背中を押され、実行することにした。


 終業式が終わり、教室へと生徒達が帰って行く。ついてすぐにHRが終わり解散となった。俺は茜に声をかけた。


「茜。このあと時間ある?」

「うん? もちろん、あるけど...」

「じゃあ、これ」


 そう言って俺は一つの紙切れを渡す。彼女は不思議そうな顔をして紙を受け取ったが俺は説明することなく鞄を持って教室を出た。彼女に渡した紙には『10分後に屋上』とだけ書いてあるはずだ。




 屋上で待っているとちょうど10分後に彼女は現われた。扉が開いて、彼女が髪を風になびかせながら歩いてくる。

 これから彼女に告白をするのだと思うと緊張で心臓がバクバクと音を立てる。冬だと言うのに背中には汗をかいている。大丈夫だろうか。バレていないだろうか。そんな事を思っている間に目の前まで歩いてきた茜は不思議そうな顔を浮かべながら俺に言った。


「どうしたの? 司」

「今日は茜に伝えたいことがあるんだ」

「伝えたいこと?」

 

 喉の奥まで出かかった言葉はすんでのところで止まる。このまま言ってしまっていいのか?振られたらどうする。二度と元には戻れないぞ?

俺の中に不安な気持ちが芽生え始める。そんな俺に対して茜は「どうしたの?」と笑う。夕焼けに染まる彼女の微笑みはこれまでのどの景色よりも綺麗で、どんな夜景よりも美しかった。

それを見た俺の口からは自然と言葉が溢れ出す。


「…うん。やっぱり俺、茜の事が好きだ。初めて見たときからずっと好きだった。俺と付き合ってほしい」


 そう言った瞬間緊張が最高潮に達した。先ほどよりも激しく心臓がなる。俺は茜から目をそらさずにじっと見つめた。

 茜は夕焼けに染まる顔を徐々に紅潮させていき、真っ赤にすると顔を手で覆って座り込んでしまった。

 そして消え入りそうな声で言う。


「私も...好き...です」

「ほ、ほんとに?」

「うん...本当に」


俺は夢かと思った。春からずっと好きだった茜が今は俺の事を好きだという。好きな人と思いが結ばれること。これ以上に幸福なことはあるのだろうか、とその時思っていた。

 驚きに包まれながら俺は気恥ずかしさを隠す様に言葉を続けた。


「あ、えっと、じゃあこれからよろしくお願いします...」

「こ、こちらこそ、よろしくお願いします」



 こうして俺たち二人は晴れて恋人となった。その日は嬉しさと恥ずかしさ、期待であまり眠れなかったのは秘密だ。

 俺たちが付き合ったという話はすぐに広まり、男子からはおめでとうと言う言葉と同時にふざけんなとからかわれたりした。女子からはよくやったと謎に褒められた。



 それから彼女とは今まで以上に一緒にいた。春休みは彼女と花見に行ったり、椿祭りという地元の祭りにも行った。2年に上がってからはクラスが別れてしまったが委員会は相変わらず同じものを選んでいた。8月の夏休みにはプールに行ったり海に行ったり、夏祭りにも行った。12月のクリスマスには彼女の家でご家族と一緒にクリスマスパーティーをやり、大晦日には一緒に除夜の鐘を叩きに行った。初詣も一緒にもいって彼女の誕生日にはなけなしの小遣いをはたいて小さなイヤリングを送ったものだ。その時の彼女は満面の笑みで浮かべていた。バレンタインには彼女の手作りお菓子を食べて、ホワイトデーには遊園地デートをして。テスト前にはどちらかの家で勉強会を開くこともあった。

 

 幸せだった。自分の好きな人が自分の隣で笑っている。これ以上ない幸福な時間だった。しかし3年になってからは彼女と遊ぶ機会が減っていった。遊ぼうと誘っても、一緒に勉強しようと誘っても決まって彼女は申し訳なさそうに「ごめんね」としか言わない。委員会も3年になってからは俺だけが整備安全委員で彼女は委員会ではなく係に所属していた。その時の俺は少し寂しかったが高校3年と言うこともあり受験勉強で忙しいのだろうと思っていた。

 会うことも減って、メッセージアプリでのやりとりだけになっていた8月の日。彼女は直接話したい事があると言って俺を屋上に呼び出した。






***





 俺が千葉茜に振られた、という話は付き合ったころと同じようにすぐに広まった。友人達には大丈夫かと聞かれ、理由はなんだとも聞かれたが俺は理由を誰にも話さなかった。話せばおそらく茜が悪者になってしまう。例え振られても一度は愛した相手だ。不幸になんてなってほしくなかった。茜には俺が恥ずかしいから話さないでほしいとメッセージを送っておいた。既読にはなったが返信は未だに返ってこない。でも理由が広まってないことを見るとおそらく了承したのだろう。

 


 隆生にも心配されたが俺は「また良い子でも探すさ。まだ高3だし大学にも可愛い子はいっぱいいるしな」と笑って言ってやった。無駄な心配を掛けない様にという俺なりの配慮だったのだがその言葉を聞いた隆生はどこかつらそうな顔をしていた。


 振られた日から俺と茜が話すことは完全になくなった。クラスも違うし、委員会も違う。見かけることも少なくなり、学年全体の集会の時に時々見かけるくらいしかない。

 彼女がいない日々は思ったより退屈でつまらないものだった。思えば俺はこの高校に入ってからずっと彼女がいる生活をしていた。1年の時は同じクラスで、2年では恋人になって。今まで当たり前に近くにいた存在が遠くなってしまった。心に空いた穴はなかなか塞がらず、彼女を見かけるたびに胸が苦しくなった。



 それは別れてから二ヶ月がたった今でもそれは変わらない。



「おい、お前。ホントに大丈夫か?」


 告白の前の日と同じように隆生が昼休みに弁当を食いながら聞いてくる。


「大丈夫って...?」

「お前の心だよ。別れてから明らかに元気ないじゃないか。それに体も細くなって、クマもできてる。ちゃんと食べて寝てるのか?」

「大丈夫だよ。もう平気だよ。痩せたのとクマは受験勉強のせい」

「そんな訳ないだろ。高校受験の時は普通だったろ?」

「本当に大丈夫だから、心配しなくていいよ」


 そう、本当に、本当に大丈夫だから。

 


 俺が隆生にそう言っていると教室の扉が開いた。


「おい、みんな! 今、校庭ですごいことが起きてるぞ! 千葉茜が後輩のイケメンに告白されてる!!」


 それを聞いた瞬間俺の心臓はドクンと跳ねた。指先が震えて変な汗をかく。


 告白? 誰が誰に? 後輩の生徒が茜に。茜はどうするんだ? もしかして好きな人って後輩の事か?


 頭がこんがらがってくる。でも茜はモテる。だから告白なんてのも今までたくさんあったはずだ。少し前までは俺のそばにいて笑っていた茜が今回の告白を受ければ他の男の隣で笑う。

 胃の中がぐるぐると鳴って吐きそうになった。


「うっ、おぇ」

「おい! 大丈夫か?」

「やばい...吐きそう...」

「え~っと、あったほら、袋! この中でしろ!」


 隆生は吐きそうになって口を押さえた俺に鞄の中から取りだしたコンビニのビニール袋を渡した。俺はその袋を受け取って顔をその中へ突っ込む。そして胃の中の物を全て吐いた。


「うええええええ」


 隆生は教室の窓を全開にして空気を入れ換える。その後は俺の背中をゆっくりとさすり横に座り直した。





 吐き終わった俺は顔を袋から出して、隆生に言う。


「すまん。隆生」

「いいから、ほら、これで口ゆすげ」

「あ、ああ。ありがとう」


 隆生は昼飯と一緒に飲んでいたペットボトルの水を俺に渡した。俺はそれを受け取って、そのまま席を立ち、歩いてトイレに向かって口をゆすいだ。吐いた後のためまだ少し喉が痛い。


 便器の中に口の中の水を吐き出したあと袋にトイレットペーパーを入れて固く結ぶ。俺はその袋を持ってトイレの手洗い場で手を洗った。ふと、顔を上げて鏡に写る自分の顔を見る。

 頬は痩せこけ、目の下には濃い隈。目に生気はなく、黒く濁っていた。

 なんて情けない。たった一人の女性に振られただけでこれだ。食欲は徐々に減り、食べる量もそれに比例して減っていく。夜なんてほとんど眠れない。今の俺を見て、茜はどう思うだろうか。こんな奴が元彼なんて口が裂けても言えないだろうな...。

 茜の事は何度も忘れようとした。でもそのたびに彼女の笑った顔が脳裏によぎる。まるで呪縛のように俺の頭から離れない。色んなサイトで恋人の忘れ方を見たがどれも『時間が解決してくれる』としか書いていない。時間が解決? そんな訳あるか。俺は二ヶ月たってもこの状態だぞ。


 俺はそうやって頭の中で茜の告白について考えないようにしながら教室へと戻っていった。

 


 教室に着いた後、先ほどクラスに告白の事を言いに来た男子が謝ってきたが気にしてない、こちらが悪いと言ってやるとどこかへ歩いていった。おそらく告白現場のところだろう。

 隆生は俺の事を心配して保健室に行くよう言い、早退を勧めてきたが俺は結局、早退することはなく、その日の授業を全て受けた。その頃には告白の結果も出回っていて、どうやら茜は好きな人がいるから、と断ったらしい。誰のものにもならず、断ってくれた事は嬉しかったが「好きな人」と言う言葉を聞いて少し悲しくなった。







 


 そんな出来事があっても関係なしに時は進んで行く。

 体育祭や文化祭も終わり、12月になった。少し前までオレンジ色の葉や黄色い葉をつけていた木はすっかりと様変わりした。枝に葉はなく、見ているだけでも寒そうだ。

 数日に一度雪が降るようになったある日。俺はたまたま買い物に出かけた先で茜と出会った。彼女は去年俺が上げたマフラーをつけて歩道を歩いている。少し積もった雪を見ているのか前から歩いていく俺には気付いた様子はなかった。

俺は彼女と久しぶりに会えたことに嬉しさを覚える。彼女は最近よく学校を休み、体育祭や文化祭には顔を出していなかった。ただでさえクラスが違い、授業で会うこともないのに、彼女が休むもんだからここ一ヶ月くらいは目にすることさえもなかったのだ。

 俺はまだ茜への思いを引きずっている。未練たらたらで自分でも気持ち悪いと思っている。それでも彼女と過ごした日々が綺麗で華やかで、俺はそれを忘れることなんてできない。今も彼女への思いは変わらない。だから俺は彼女に無意識のうちに話しかけていた。


「ひ、久しぶり。元気、だった?」


 話しかけた俺に気付いた彼女は目を丸くして豆鉄砲で撃たれた鳩みたいな顔をした。口を開きかけた彼女はすぐにそれを止めて口をつぐんだ。


「その、マフラーまだつけてるんだね...」


 何も言わない彼女に少し寂しさを覚える。おそらく俺にはいてほしくないのだろう。でも、ならなんで俺が上げたマフラーをつけてるんだ。

 好きな人がいるんだったらそういうことはしない方が良いんじゃないか? 彼女に悪印象を持たれたくない俺は別れた恋人の恋を応援するような事を言おうとしたがそれは口には出なかった。頭の中ではまだつけてくれている事への嬉しさが勝っていたからだ。なんならこれが彼女の好きな人にバレて嫌われてしまえばいい。そんな風にも考えていた。


 そんな俺のクズな考えが伝わってしまったのだろうか。彼女は悲しそうな顔をして何も言わずに横を通り過ぎていった。要するに無視されたのだ。

 そこまで嫌われてしまったのだろうか。俺は何もしていない。……いや、違うな。俺の様子はおそらく周りの女子達から少し聞いていたはずだ。いつまでも自分に想いを傾ける俺を気持ち悪いと感じたのだろう。



「ははっ」



 思わず乾いた笑みが漏れる。心のどこかではこんなにも一途に想い続けていればいずれまた、振り向いてくれる。そう考えていた。でもそんな考えもたった今、瓦解した。お前は終わったのだと。もう私にその気持ち悪い想いを抱くなと。そう、改めて突きつけられた感じがした。



 その日、俺は家に帰っても何も手につかず、ただベッドの上でうずくまっていた。










 そして次の日の放課後。俺は千葉茜が授業中に倒れたという噂を耳にした。











***






「こら! 走るんじゃない!」

「すみません!」


 非常識にも病院の廊下を駆け抜ける。看護師から注意を受けるが俺にはそんな事はどうでも良かった。

 自分でもよく分からない。なぜ振られた人のところへ走っているのか。なぜ嫌われて、無視をされたのに走っているのか。普通なら自分を嫌いになった人のところへなんて行きはしない。彼女に会えばなぜ来たのか、来なくて良かったのにとさらに嫌われてしまうかもしれない。でも、それでも構わなかった。彼女の無事を確認出来ればそれで構わないと思ってしまった。だから俺は今駆けているのだ。茜の病室へと。





「はあ、はあ、はあ、ここか...」


 俺は『千葉茜』と書かれたプレートが入っている病室の前にいた。学校が終わってから噂を聞いてすぐにとんで来たが病院が割と遠かったため外はもう暗い。病院についたときはもう6時だった。


 俺はその病室の扉を開いて中に入った。彼女の病室は一人部屋で他の患者は誰もいない。茜は腕に管をつないで、頭に包帯をして、ベッドに座っていた。そして手にしていた文庫本を布団の上に置いてゆっくりとこっちを見る。


「なんで来たの」


 そう言って彼女は目を向けた。

 顔は無表情でにこりともしていない。でもなぜか俺には彼女が悲しそうにしている様に見えた。


「心配だったんだ。茜が倒れたって聞いて。だから...」

「来てほしくなかった」


 俺の言葉を遮るようにそう言った。その言葉は俺の心に深く突き刺さる。


「...それは分かってた。それでも、俺は..俺は..」


 声が震える。拒絶されるのは分かっていた。しかし頭では分かっていても心はそうはいかない。


「俺は...茜のことが...まだ..好きだから。だから...心配で..」


 自分でも言っていることが分からない。今言うことではない俺の想いが口からこぼれ出る。


「倒れたって聞いて、ここまで走ってきたんだ…! 茜が俺の事を嫌ってるのは分かってた。だから拒絶されることも分かってた。行かない方が良いかもしれないとも思った。でも気付いたら走り出してたんだ…!」

「やめてよ」


 茜は震えた声でそう言った。


「何で来ちゃうの...? わたし司にあんなこと言って、避けたり、無視したりひどいことしたのになんで来ちゃうの? こんな、こんな事になるなら、私、何のために...」

「茜...?」


 茜らしくなく、いつもの明るさなど全くなく、彼女はただ涙をこぼす。彼女はただ泣き続け、どんな言葉をかけていいか分からない俺は彼女の背中をさすることしか出来なかった。


 やがて彼女は気が落ち着いたのか目を拭いて顔を上げた。そして呟くように俺に言った。


「私さ、もうすぐ死ぬかもしれないんだ」


 いきなりそんな事を言われても意味が分からなかった。

 死ぬ? だれが? 茜が? しかももうすぐ?


「小さな頃から病気持ちでね、今年の春休みに悪化したんだ」

「春...休み?」

「うん、そう。それで司に気付かれないように別れて、司が私がいなくなっても悲しまないようにしようと思ってあんな態度とってたんだ。でも...それも無駄になっちゃった...」


 にこりと笑う彼女。


「好きだって今でも言ってくれることは嬉しい。でもね、私はもういなくなるの。だから、ね? 私のことは忘れて、司は司の幸せを生きてほしい」

「なんだよ...それ..」


 忘れろ? そんなこと出来るわけがない。俺にとってこんなにも人を好きになったのは初めてで、嫌われてもいいと思えたのは初めてなんだ。こんなにも胸が締め付けられて、つらい思いもして、それでも好きだと思えたのは君だからなんだ。


「もう、手術とかも出来ないのか...?」

「そうだね。手術は断っちゃったんだ。手術しても成功率は50%。成功しても今まで通りにはいかないってさ」

「なんで...断ったんだ..?」

「だって成功しても今まで通りに生きられないなら誰かに迷惑がかかるでしょ? お父さんやお母さんにはこれ以上迷惑を掛けたくないんだ。生きたいと思ってもそんな迷惑をかけて生きていくなんてやり方はしたくない。だから私は手術を受けないの」


 そう言った彼女は少し震えていた。分かっている。彼女のこの言葉は嘘だ。彼女の心を読んだりはできないけど、頭の中ものぞけないけど、これだけは嘘だと分かった。そのことは彼女の顔や体が証明している。つらそうな、悲しそうな表情を隠す様に無理に笑い、でも体は小刻みに震えている。


らしくない。そう思った。いつもの彼女なら病気なんて吹っ飛ばして、手術だって受けて、成功させるだろう。例え普通に暮らせなくても笑うのだろう。でも今の彼女は弱気で、明るかった千葉茜の面影はどこにもない。辛そうに笑い、生きたいと思いながらも死ぬことを選ぶ。そんな千葉茜は違う。彼女は、千葉茜と言う人物は自分に嘘をつかない。

俺の方を見て笑う彼女に無性に腹が立つ。何が迷惑だ。何が手術を受けないだ。ふざけるな。なら、なんで震えてるんだ! なんで涙を浮かべて笑ってるんだ!

そう思った俺は気がつくと自然と口を開いていた。




「君が生きたいと願って迷惑に思う人なんているもんか。君のご両親だって君に生きてほしいと思ってる。迷惑だなんて思ってない。それに俺は君に生きてほしい。生きて、また俺に笑いかけてほしい。君が生きてくれるなら俺は何でもする。君があそこへ行きたいといったら連れて行き、これが食べたいといったらそれを食べれる様にする。だから生きて欲しい」

「.....」


 彼女はまだ震えている。でも先程とは違い、目を見開いていて、無理に笑っていた顔は無くなっていた。


「それに君はさっき言ったね。俺は俺の幸せを生きろって。俺の幸せは君と共にあるんだ。君がいなければ俺に幸せなんてない。俺の将来には君が必要なんだ。だから、生きたいと、死にたくないと言ってほしい」


 俺は言いたいことを全て吐き出し、彼女の目を見つめる。彼女は泣いていた。先程よりも酷く、ボロボロと涙を布団の上に落として。今日はらしくなく彼女は終始泣いている。彼女の病気のせいなのか、俺のせいなのかは分からない。


「茜。本当はどうしたい? 君の自慢は嘘をつかないことだろ?」


 彼女は俺の問いに泣きながら答える。涙声で震えながら、しゃくり上げながら。


「い...生きたい....!」

「手術は?」

「受けたい...!」


 そう言いながら彼女は涙を拭う。まだ、しゃくり上げているが顔はいつもの茜だ。まっすぐで決意の籠もった顔。


「..私、手術を受けるよ、司」

「うん」

「その代わり、さっき言った通り、私の面倒はずっと見て貰うからね! 言うこと聞いて貰うからね!」


 元気に笑う彼女。病気ではないような顔だ。

 やっぱり彼女には笑顔が似合う。


「ああ、お安いご用だよ」

「うん! じゃあ今のうちにお願いしておく! 手術が成功したら私、司と二人で温泉旅行に行きたい!」

「分かったよ、茜。二人で温泉に行こう。茜を楽しませられるようにしっかりと準備しておくよ」

「うん! ありがとう!」


 彼女は嬉しそうに笑う。先ほどまで泣いていたのが嘘のように楽しそうに。

これから2人で計画を立てよう。別府がいいかな、それとも草津がいいかな。箱根なんてのもいいかもしれない。これから受験だからそれまでには帰ってきたいね。

俺は彼女の笑顔を見ながらこれからの日々を思い描いた。






それからというもの、俺は毎日のように彼女の病室に通いつめた。トートバッグの中に旅行雑誌を沢山入れて、そしてついでに彼女の好きだったお菓子とかも入れて。病室の彼女はあの日以来、また笑うようになって2人であそこに行きたいとかこれも食べたいとか色々と旅行の計画を立てていった。


彼女の手術はクリスマスの日に行われる予定で俺は成功祝いと、クリスマスプレゼントを兼ねて新しいマフラーでも送ろうと思って準備をしていた。彼女の喜ぶ顔を目に浮かべながらマフラーを買い、ラッピングする。


茜は喜んでくれるだろうな。そう思いながらクリスマスまでの日々を過ごした。手術を受ける茜は気負った様子はなく、前日のクリスマスイブには「温泉旅行楽しみだね!」と笑っていた。俺も不安感などはあまりなく、彼女の手術成功を信じていた。












 


 そして彼女は数日後のクリスマス。手術を受けて、亡くなった。


 俺はそれを聞いた時、耳を疑った。何度も彼女の両親に確認したが亡くなったとしか言わなかった。



 葬式はすぐに行われ、多くの参列者が来ていた。彼女と仲の良かった友達たちは焼香をあげる際に彼女の棺を見て大号泣。だが、俺は葬儀では泣けず、涙は一粒も出なかった。

 実感が湧かなかったからだ。つい先日。クリスマスの前の日まで二人で旅行計画を立て、笑い合っていたのに。あんなに楽しそうにしていたのに。

 実感が湧かないまま葬儀は進み、しばらくして彼女の遺体は火葬場へと運ばれていった。葬儀に参加した生徒達は葬儀場を出て各々が家に向かって歩き始める。生徒はここまでで、火葬場へは親族だけで向かうとの事だった。俺もふらふらと自分の家の方向へと歩き始めた。と、その時、彼女のご両親に呼び止められる。


「司君」


 俺が振り向くとご両親は頭を下げる。


「ありがとう。君のおかげで茜は最後まで明るく生きられた。茜の人生を幸せな物にしてくれてありがとう」

「いえ...」

「良かったらこれを受け取ってくれないか。手術前に茜が君へ宛てた手紙だ」


 俺は茜の父親から手紙を渡される。裏を見ると千葉茜と彼女の文字で書かれていた。中を開いてその場で読み始める。


『天野司くんへ。

 

 やあやあ、茜だよ。君がこれを読んでいるって事は私の手術は失敗しちゃったんだね~。いや~参った参った。

 

 君と初めて会ったのは入学式や一緒のクラスになるよりも前。実は高校受験の日なんだ。知ってた? 

 私ね、その日、筆箱忘れてさ、焦ってたの。私もともと違うところに住んでたから友達もいなくてどうしよう! ってパニックになっちゃってたんだ。そしたら隣の席だった君が自分の消しゴムを半分に割って、シャーペンも貸してくれたの。いや~驚いたよ。今時こんな他人に優しい人いるんだぁ~って思ったもん。そのおかげで私は高校に入学できたの。その時は今と違って眼鏡して、おさげで目元も髪で隠れたから分からなかったかもしれないね。

 そんで君と同じクラスになって、目でおってたら気になり始めて好きになっちゃった。三学期に同じ委員会を選んだのだって君と一緒の時間を過ごしたかったからなんだよ? 

 君に告白されたときは本当に嬉しかった。それから過ごした日々もかけがえのないものだった。

 君と別れてから過ごした日々はつまらなかったよ。君にあんな事を言ったのも苦しかった。でも君はもう一度好きだと言ってくれたね。生きろと言ってくれたね。君のおかげで私のつまらなかった日々はまた楽しく、色づいていった。だから、本当にありがとう。君がいてくれたおかげで私は楽しい日々を送れた。


 君は私の分まで生きて、幸せになってそしていつか、私のお墓に来て、その幸せな出来事を話してね。ずっとずっと君が好きだよ。君を好きになって良かった。君と出会えてよかった。ありがとう。



 P.S 新しい恋人もちゃんとつくるんだぞ!』



 手紙に涙が落ちる。葬儀では一切出なかった涙がボロボロとあふれ出てくる。止めようと思っても止まらない。自分の意思とは関係無く流れ続けた。


「うぅ...。っく..。あの...すいません...」

「いや、いいんだ。私達の事は気にしないでくれ」

「うっ、うあああああああああああああああああああ」


 君と出会えて良かったのは俺の方だ。君がいたから、君と会えたから俺は楽しかった。嬉しかった。君がいたから俺の高校生活はこんなにも綺麗だった。


 ご両親は泣き続ける俺をただ見つめるだけで何も言わない。でも俺にとってはそれがありがたい。俺はその後、涙を枯らすくらい泣き続けた。ご両親はその間ずっと俺のそばにいてくれた。何を言うでもなくただそっと背中をさすりながら。



 やがて涙も出なくなり、目を擦ってご両親に言う。


「あの、茜さんと出会えて本当によかったです。お墓ができたら教えてください。会いに行きます」

「ああ、出来たら君に教えよう。本当にありがとう」

「いえ、こちらこそ、ありがとうございました」



 俺はそのまま振り返って家へと帰った。

 家について自分の部屋に入り、少しの間手紙を見つめる。その最後の部分を。そして決める。

 

 俺は君の言うことを何でも聞くと言った。だから君の言うとおり幸せになろう。君の分まで。君がいきられなかった分まで。そしていつか君の墓の前で語るんだ。俺はこんなに幸せだと。君の言うとおりにしたぞと。


 君はそれを聞いてどう思うかな。俺の幸せな姿に少し不満を覚えるだろうか。それともよくやったと褒めてくれるだろうか。いや、分かっている。俺の幸せな姿を見て彼女がとる行動なんて決まってる。君はきっと諸手をあげて喜ぶんだ。いつもの様に明るく、楽しげな満面の笑みを浮かべながら。


 その姿を想像しながら俺はそっと手紙を閉じて机にしまった。


 



















もしよろしければ、不躾ですが評価・感想の方をよろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 良い作品だとは思うがこれは人を選ぶ作品でもある。自分的にはこの様な結末の作品は好きでは無いが、司と茜の心理はよく書かれていて良かった。 [気になる点] >小さな頃から病気持ちでね、今年の春…
[一言] 「4月は君の嘘」を思い出した。
[気になる点] 恐らくは2度も傷付けることになるのに、なぜそれを選択するのだろう……。それが不思議でした。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ