↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

DEATHメモ帳

掲載日:2020/08/29


俺の名前は 太陽(たいよう) 光(ひかる) 高校生だ。

ある日、道を歩いていたら、きったないメモ帳が落ちているのを発見。



「これは、手に泥が付くタイプのやつだ」



俺は自分にそう、言い聞かせた。何故なら、他に話し相手が傍に居ないからだ。



「それに、このメモ帳に付着した泥。いやはや、粘着質だ。これは、もしかするともしかするぞ……」



僕は、呑むほどではなかった唾を少し無理やり喉に通した。

正体を確かめる方法は簡単である。近づいて匂いを嗅げばいいのだ。



「んん、こいつは思った通りだ」



警戒。視界をスケルトンの赤色が覆う。”DANGER! DANGER! 退避してください”とメッセージが流れた。

正体見たり。枯れ尾花。

こいつは、紛うことなく”犬の糞”だ。



「そいつは違うね」



突然、後方から聞こえた声に、俺は慌てて振り向いた。

そこには、みすぼらしい猫が一匹、背筋を伸ばして座っていた。



「お兄さん、そいつは私の糞だよ。さあさあ、そのメモ帳を拾いなさいな」



猫はそう言うと、前足を舐め始めた。



「やだよ、汚いじゃん」



俺が、率直な感想を猫に伝えたところ、猫は可笑しそうに笑いだした。



「くくく、そいつは勿体ないよ。そのメモ帳はただのメモ帳じゃない。そこに誰かの名前を書けば、そいつを呪い殺すことができるのさ」



俺は、猫の妄言だと思った。



「そんなわけあるかよ。ほんとにそうなら証明してみろ」



俺がそう言うと、猫はぐーんと背伸びをして、さも仕方ないなぁと言いたげな態度をとった。



「しかたないなぁ」



その上で、言葉までついてきた。

猫は、メモ帳の傍まで寄ると、それに鼻を近づける。

そして、少し身を離した。

また、鼻を近づける。

そして、また身を離す。



「どうしたの」



俺は、猫の様子がおかしいと思い、尋ねる。すると猫はこう答えた。



「いや、ちょっと汚いし、臭いし。さすがに触れないっすね」



俺は、なんだかドっと疲れてしまって、喋るのが億劫になった。

猫は何度も何度も、メモ帳に顔を近づけては、反射のように身を離す。

蝉の声が煩い。


もうすぐ、夏が、終わる。




おしまい



















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。