追放
よろしくお願いします。
剣聖ルイはその言葉を聞いて、愕然とした。
「お前…。自分が何を言っているかわかっているのか?」
「意味なんてわかってるに決まってるだろ?俺より強くて冷静な判断ができるだけのルイちゃんよお!」
賢者エリザは呆れた顔で言う。
「撤回するなら許してあげなくもないけど。」
「てめえの方が魔力も上で、使える魔法も段違いに強いからって調子に乗るなよ!そっちこそ、泣いて許してくださいって言ったらパーティにおいてやらなくもないぜ!勿論、お飾りのアイドル枠だけどな!」
聖女シャルはあたふたしながら言う。
「勇者さん、なんで急に変なことを言いだしたんですか?」
「シャル!この機会だから言っておく。お前はいつまで俺の光魔法の師匠面してやがんだ?俺はもうお前の足の裏くらいの実力はあるんだぜ?」
勇者以外の三人は顔を見合わせる。
「…なあ、おい。本当に俺たちをパーティから追放するのか?」
ルイは勇者を心配そうに見る。
「やっと、自分たちの立場が分かったようだな。お前らとの旅は最高に楽しかったし、一生の思い出にもなった。ありがとう。そして、さよならだ!」
「勇者さん…。」
シャルは泣きそうになっている。
「本気ってわけなのね。それならわかったわ。装備は持っていけとか言うんでしょ?」
エリザは言った。
「くくく、勿論だよ。俺にはユグドラシルの枝がたくさんあるからな。お前らの馬鹿強い武器も防具も必要ないんだよ!」
「勇者…。」
「やめなさい!」
ルイが、何か言おうとしたのをエリザが止める。
「だが…。」
「言っても無駄よ。コイツはこういう奴じゃない。」
エリザが、ルイを小突く。
「じゃあね。勇者。私もあなたとの旅悪くはなかったって思ってる。」
エリザはマントを翻し酒場の出口に向かった。
ルイもそれに続く。
「シャル。お前も来い。」
「勇者さん…。さようなら。」
シャルはあたふたとルイについて行った。
「待てよ!」
勇者がドスの効いた声を三人に投げかける。
「お前らに施しは受けねえ!そいつは、持ってきな!」
勇者がルイに向かって何かを投げる。
ルイは飛んできたものを片手でキャッチすると、それは、ずしりと金貨が入った袋だった。
「お前!」
ルイは怒りを隠そうともしない。
「じゃあな。」
勇者は勝ち誇ったようにひらひらと手を振った。
ルイはその様子を見て、殴りかかりそうになったが、それをエリザが止めた。
夜の酒場の一幕である。