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わるふざけ

田中のランチ

とにかく書く力をつけたいけれど

ストーリーが思い浮かばないので、日常風景を書きました。

 今日のランチは何にしようか。田中は思い悩んでいた。田中の憂う表情に女性社員はくぎ付けだ。ネイルガンによってベニヤ板にくぎ付けにされている。血まみれである。しかし、そんなことは田中にとってどうでも良い。重要なのは今日のランチである。焼きサバ、唐揚げ、うどん、そば、ラーメン、どれにしようかと目移りする。究極の選択を迫られていると言っても過言ではない。何しろランチを食べないと、午後の仕事がはかどらないのである。なんと、この田中はランチを食べないと午後の仕事に差し障るタイプなのだ。かといって、ランチの量が多すぎる場合には午後に眠気を催してしまう。なんと、この田中はランチを食べすぎると眠たくなってしまうタイプなのだ。そのため、ランチのチョイスには細心の注意を払わなければならない。


 田中は意を決すると、社員食堂の列に軽やかなステップで割り込んでいく。まるで蝶が舞うかのようにひらりひらりとステップを刻みながら前へ前へと割り込んでいく。もちろん田中の後方からは怒号が飛んでいる。しかし田中は気にしない。田中は割り込まれる方が悪い、隙を見せた自分の間抜けさを呪うがいいなどと考えているのだ、そう、この田中は女性社員をくぎ付けにしても、列に割り込んでも平然としていられるのだ。そんな田中が選んだのは本日のAランチ、すなわち焼きサバ定食である。メイン料理はサバの死体を火あぶりにしたものである。それに、つけあわせとして葉っぱ、腐った豆を使ったスープにコメをふやかしたものなどが付いてくる。まさに狂気。狂気の塊たちを一つのお盆に相乗りさせた代物である。


 だが、この狂気の産物も田中は平然と食らいつく。田中は二本の棒切れを巧みにつかって食らいついてしまう。そして満面の笑みである。サバの死体に食らいつきながら、喜色満面である。この表情には、女性社員がくぎ付けにされる。またも血まみれである。田中は血まみれの女性をおかずにコメを食べる。この時も満面の笑みを忘れない。くぎ付けにされた女性社員へのせめてもの供養である。田中なりの供養なのである。そして時折、葉っぱを食べる。葉っぱを食べることで胃が刺激され、毛玉の排出が促されるのだ。田中は、葉っぱを食べた後、必ず嘔吐する。そんな几帳面な一面も持ち合わせている。ランチを体内に摂取しつつ、葉っぱを食べては嘔吐する。それを繰り返すのだ。その結果、お盆の上には、腐ったレモネードのような匂いをまとったAランチの成れの果てが完成する。なんと田中は狂気の塊を産業廃棄物に変えてしまったのだ。


 そして田中はお盆一杯の産業廃棄物をお盆返却口につき返すと、颯爽と自動販売機の前に向かう。購入したのは黒い汚水の様な何かだ。しかもホットである。ホット汚水である。それを田中はぐいと一気に飲み干す。そして身震いすると、目をらんらんと輝かせながら職場に戻っていく。

「今の俺はギャラクシー!」

 そう叫びながら帰っていく。意味不明である。そして自身のデスクに戻った田中はくぎ付けにされている女性社員を横目に目を閉じる。そうして少しリラックスしているうちに、田中は昼寝をしてしまう。休憩終了のアナウンスまでのつかの間の休息である。これがいつもの田中のランチ休憩である。

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