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国外追放されたので『魔王』に成った  作者: くろふゆ
第三章 魔の森の激闘
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028話 ファーストコンタクト

 ヒツギがフィリシアの安全を確保している間に、クリスタルゴーレムが万力で《束縛する鎖レストレイントチェーン》を引き千切り、再び派手に暴れ始めた。


 ヒツギは千切られた闇色の鎖を引き寄せ手繰り、変形させて一本の槍と化す。


「いい加減、お前の相手は飽きたよ! 《突き刺す鎖チェーンスピアー》」


 ストーンゴーレムの頭部、岩と岩を繋ぐ首の関節部に、手にした鎖槍を全力で突き刺す。

 関節部に鎖槍がぶつかり、燃えるように赤い火花を散らした。

 轟音を立てて、クリスタルゴーレムは膝を着く。その瞬間――


「《ショートジャンプ》! 《肉体機能増幅フィジカルエンチャント》! 《加速ヘイスト》!」


 ストーンゴーレムの前面に一瞬で移動し、その腹部に奥義である《絶招》を打ち込む。


「決めるぞ! 絶招ぜっしょう・《浸透双掌波しんとうそうしょうは》!!」


 中国武術における発勁の一つ、《浸透勁》と《双掌打》の合わせ技。


 下半身の筋力と推進力を背中の筋肉で増幅させ、至近距離から両手のひらをクリスタルゴーレムに密着させた刹那――強く前に踏み込み、体を捻る勢いを加えた《勁》を与える。


 体の外部と内部を同時に破壊する、必殺の掌打。


「ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」


 痛覚のないはずのクリスタルゴーレムが、悲鳴にも似た唸り声を上げながら巨腕を振り下ろす。それを《ショートジャンプ》で躱したヒツギは、ひび割れて塗装の剥がれたクリスタルゴーレムの左脚部に、赤紫色に光るコアを発見した。


 そこに一筋の光、すなわち勝機を見出す。


「今度はそこにあったか――《硬気功》! 《斧刃脚ふじんきゃく》」


 肉体の一部を気血で硬化させ、人間相手なら脛を蹴り折る下段蹴りを放つ。

 クリスタルゴーレムの右脚部が、ヒツギの強烈な下段蹴りで粉砕され、体が傾く。

 そして、その右足から水色のコアが露出し、逃げるように上空へ飛んだ。


「これで終わりだ! 《螺旋貫手らせんぬきて》」


 地に足をつけ、大地の力を利用し、下半身の膂力を上半身へと流動させた。


 体全身に捻りと回転を加え、左腕を引き手にして物凄い勢いで捻った右腕で強力な貫手を放つ。その瞬間に《ショートジャンプ》で空中に転移し、大地の力を生かしたまま、ヒツギの右腕が竜巻のような螺旋を描いて、クリスタルゴーレムのコアを破壊した。


 粉々に砕けた水色のコアが、風に流れてガラスの破片のように宙を舞う。

 そのままクリスタルゴーレムはその巨体をバラバラに崩し、完全にその活動を止めた。


「……倒したか」


 ヒツギは華麗に地へと着地し、額の汗を拭いながら呟いた。


 意外にも汗で背中がぐっしょりと濡れ、軍服の下に着たシャツが張り付いて不快だ。


 息遣いもだいぶ荒くなっている。心臓の鼓動がやけにはっきりと聞こえた。


 まだまだ体も魔力も満ち満ちているはずなのだが、その運用が上手くいっていない。


 それはそうと、脅威であった魔物は倒したのだ。なら次は亜人との初接触と行こうか。

 ヒツギはいまだ《岩石の檻ロックケージ》に捕らわれたままのフィリシアに近づく。


「……まずは礼を言わせてもらう。ありがとう、おかげで助かった。だが、その上で問おう。ただの人間が――この魔の森になんの用だ?」


 それからおよそ二年後――――――



第三章完結。特に需要がなければここで打ち切りです。

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