98話 ミョルニョ…。
「んんんっ!!へっ??」
真珠の中に入ってしまったこと。そして、まるで水の中にいるような感じで上も下もない。
内側からハクリ達が見えるけれど音は一切聞こえてこなかった。
そんなことを感じているうちに、地面へとぶつかるが真珠はカランと軽い音をたてるかのように、はずみ着地した。衝撃は少しも感じることはなかった。
ハクリ達は、揃って真珠へと全身をぶつけ、そのはずみ地面へと転がっている。
「みんな!!大丈夫かえっ!?」
内側から外へ声が届くのか?と疑問もあったが、ドンドンと叩いて皆へ声を投げた。
ムクムクと起き上がり慌てふためくハクリをよそに、レオグとユキツグは魔人を振り返り討論しているように見える。
『オヌシラ、ミコノマモリ。と。ン?オヌシハ…。』
シーチの声に重なって別の声が話かけてきた。振り返ると、シーチが青白く光る玉のような物に手を伸ばしている。
サケは、ぐったりしてしまっている。サケを揺すりながら質問をしてみた。
「シーチ????それとも海の神なのかの??」
『ワタシハ、リヴァイアサン。オヌシハ、ミョルニルカ。ナゼココニイル。』
「ミョルニョ…。ん??いやいやいや、シーチは死んじゃうのかえ??死なせないで欲しいのぉ!!」
リヴァイアサンと名乗った声は、少し間をあけて、答えた。
『ミコノ、シ。ヲ、トメニキタノカ。ソレニ、ミョルニルハ、メザメテイナイノカ。』
リヴァイアサンと話をしているうちに、景色が流れるように進みはじめていることに気が付いた。
ふとハクリ達を見ると、どうやら真珠を転がしはじめたようだ。神殿を壊しながら進んでくる魔人を背に、3人はオリャオリャと真珠を押し転がしている。その後ろで魔人がゆっくりと歩いてくる。さらに後ろから魚人たちと亀がわちゃわちゃしている。
きっと魔人にろくに相手にされなかったのであろう。
そんな光景を驚きもありつつ、不安が混ざるような、しかし、ワクワクすら感じながら見入ってしまった。