92話 走り出す
「シーチ…。俺は…シーチのところへ…いく…。」
例えシーチの元へたどり着けたとしても、とても魔人と戦えるような状態ではなかった。それでもシーチのところへと動ことしていた。
「サケ!!無理じゃ…。そんなからだ…。」
「うおおおおおおお!!!」
アピスがサケを止めようとした途端に、ユキツグが雄叫びをあげてサケをまた担いだ。
「その心!!拙者がしかと…。ぐすん。サケ殿!!行くぞ!!シーチ殿の元へ!!」
アピスとハクリ、レオグは急に雄叫びをあげたユキツグに驚き口を開けたまま固まっていた。
ユキツグは今まで見たことのないような速さで真っすぐシーチの向かった先へと走り出し見えなくなってしまった。
残された3人は、顔を見合わせて後を追いかけるのだった。
「いゃ…。いゃいゃいゃ。おぉぉい!!」
「ユキツグん足はっやいのぉ!!はっはっは!!」
ユキツグの向かった先を見ると、切り立った崖になっていて少し段差の高い階段のようになっていて辺りはゴツゴツした岩がアチコチに見え色鮮やかな珊瑚や海藻が生えている。空のように見える海面と太陽の光だろうか、水面に揺れるような木漏れ日の中切り立った崖を駆け上がると見晴らしがよかった。
「あっ!!あそこだよ!!アピちゃん!!」
ハクリが指を指した先に、ユキツグがサケを担いだまま走って行くのが見える。
「もうあんなとこに…。」
ユキツグの走っていく先には大きく真っ白い巻き貝のような物が見え、小さい色とりどりの貝が密集している。柱のように高い貝もあり、魔人がへし折ったり破壊したのだろうか、いくつかボロボロになって砕けているように見える。
「でっかぁ〜!!貝??貝??あれが神殿??シーチあそこにいったのかなぁ??」
「ぽいのぉ…。結構魔人に壊されてるぽいのぉ…。」
レオグが二人の間に立って、頭を撫でた。
「まぁ〜。いくか!!ユキツグもいっちまったしよっ!!」
ニカッと笑いながら、二人を見下ろしてそう言うと崖の階段を降りて行く。
「ほぉ〜!!いこぉ〜っアピちゃん!!」
ハクリはアピスの手をとり、崖の階段を降りていく。
今の自分になにができるのだろうと考えていると、階段から落ちそうになって冷や汗をかきながら降りた。三人は神殿を目指す。




