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90話 地震

「渡すのに時間がかかるってどういうことなんじゃ〜??」


 「それは…。『海の神』に触れられるのが『巫女』だけでして。そのままどうぞと渡せる物ではないのです…。」


 「ん??なんでじゃ??」


 「それは…。」


 シーチが説明を続けようとした時に、洞窟が急にガクンと音を立てて沈み込んだと思った瞬間。ガタガタと縦に揺れはじめた。


 「ぬぅぁぁ!!」


 「地震!!ほぉぉ!!」


 「おいおい!!揺れがデカイ!!!!ここじゃ生き埋めになりかねね〜!!」


 アピスとハクリが慌てて踊るようにしていると、レオグが片付けを手早く済ませ、ユキツグはサケを担いだ。


 「シーチさん!!生き埋めになってたらもともこもねぇ!!あんたの国に案内してくれや!!」


 「えっ!!えっと〜…。」


 「死んじゃったらもうなにもできないんじゃ!!はよぉ!!」


 「そう…ですね!!わかりましたっ!!私が国へ向かえば呪術も解けるでしょう。」


 一行は足元がグラグラと揺れる中、洞窟の奥へと足を進める。


 「ほぉぉ〜ほぉ〜!!ゆれゆれる〜!!」


 地震の揺れはおさまることなく、洞窟の天井から石屑がポロポロと落ちてきて時々頭に当たって痛かった。


 頭をさすりながら歩いていると、急に洞窟の道が広くなり、大きな滝が目の前に現れた。


 「こちらです!!急ぎましょう!!」


 そう言うとシーチは滝の中へと飛び込んだ。レオグも一瞬ためらったように見えたが後に続く。


 「もち…。泳ぎに自身ないのぉ…。」


 「いやいや!!そんなこと言ってる場合じゃないじゃ!!」


 ハクリを掴み揺さぶるようにして説得しはじめると、ユキツグがサケを担ぎながらもさらにハクリを掴んで走った。


 「ハクリ殿!!行くでござる!!」


 「!?ほぉぉぉ!!!アピちゃぁぁん!!」


 「もっちー!!ワシもゆくでの〜!!」


 ユキツグに続いてアピスも滝の中へと飛び込んでいく。


 バシャンと水の中へ落ちたと思うと、急に水から出たような感覚になり地面に落ちた。


 「んぁ!!痛てて…。あえ??地面??」


 「ほぉ〜!!アピちゃ〜ん!!」


 気がつくと尻もちをついていることや、地震が止まっていること、ハクリが抱きついてきてきて苦しくなっていること、いっぺんによくわからないことが起こっている。


 「も、もっちーぐるじ〜…。」


 「あら!!ごめん!!」


 落ちて来たであろう場所が気になり上を見上げると、不思議なことに水面が見える。


 まるで世界がひっくり返ってしまったように水面が空のように広がっていて、そのまましばらく釘付けになってしまった。


 「シーチさんよ、もう国に入ってるんだな?」


 「はい。私はこのまま、『神殿』へと向かいます。レオグさん達を巻き込みたくないのでこのままここに隠れていて下さい。サケもまだ目覚めないようですし、私が『神殿』に戻ったと伝えれば彼なら状況を把握してくれると思います。」


 「シーチさん、『海の神』を渡すの??」


 「いいえ…。私は、『魔人』を倒します!!」


 「ほぉぉ!!」

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