89話 海の神
シーチの国では、神殿を守り戦う武族があり。サケもその一員だという。その神殿の中に『海の神』が祭られており、シーチは『海の神の巫女』であるらしい。
『巫女』は、『海の神』と同じように扱われ神殿と伴に護られるのだが、昨晩ありえないことが起こったのだという。突如海底にあるシーチの国に身長10メートルはありそうな『魔人』が現れたというのだ。
「魔人ってなんじゃ??魚人族の国なのじゃろ??」
「魔人が自ら名乗ったのです。『帝国の魔人』だと。」
「「帝国!?」」
「帝国をご存知なのですかっ!?」
「ま、まぁな…。シーチさんすまねぇ!!先を話てくれ。」
「はい…。その魔人に私達は攻撃を仕掛けました…。」
現れた魔人に、魚人族は混乱したが、神殿を護る武族が果敢にも攻撃を仕掛けたらしい。
しかし、魔人への攻撃で効果のありそうなものは無かった。
魔人は、国を半壊させ神殿に辿り着くとこう告げたのだと言う。
「『海の神』をよこせ。そして帝国へ忠誠を誓え。お前達の命は既に我が手の内…。と。」
「う…うぬ…。」
「ちょ…。ちょっと待て、サケさんとシーチさんはカケオチ中じゃなかったのか?」
「はい…。魚人族は『海の神』を渡そうとしたのですが、サケが…。サケだけが反対し、二人でここまでやってきたのです。」
「ってことは…。魔人ってやつは…。今もシーチさんの国に?さっさと『海の神』さんってやつを渡さないと国がやばいんじゃないのか?」
「いえ…。『海の神』を知っているようでしたから、それがすぐに渡せる物でないことも分かっているようでした。」
「渡す?『海の神』様ってなんだのぉ??モグモグ…。」
「はい…。『竜の魂』です。」
「『竜石』かの??」
「『竜の魂』は…。『竜玉』とも呼ばれています。『竜石』と同じかどうかは分かりませんが…。」
「レオグん分かるかのぉ…?」
レオグはハクリの問に、首を横に振った。