88話 醤油になりたい
アピスは、シーチの表情を横目にコーンバターのおかわりをしようと右手を伸ばそうとするのだが、動かないことを思い出してパンを膝の上にのせて左手でスプーンをもってコーンをとった。
「私に呪術がかけられているのはまず間違いないでしょう。助けて頂いて御礼もせず申し訳ないのですが。レオグさん達にお願いがあります。」
シーチは、そう言うと頭を下げた。
「サケを外の世界へと連れて行って頂けませんでしょうか?」
「ほぉ。。。」
「シーチさんよぉ。おめぇさんはどうするだ?」
「私は、国へ戻ります。」
そうはっきりとした、なにか決意のこもった返事にレオグは顎をさすって考え始めた。
「ハクリ殿、拙者にもその、、、『こーんヴぁたー』とやらを下さらぬか??」
「ほぉ!!もっちろんだよぉ!!。。。はいどーぞ!!」
「かたじけない、ふむ。。。これは。。。拙者には甘すぎるでござるな。そうだこれを使うか。」
ユキツグが、バックから取り出したのは黒い液体の入った小瓶だった。
「ほぉ。。。まっくろだのぉ!ユキツグーそれはなんなのだぁ??」
「これはだな『醤油』というもので【ワ国】では一般的な調味料でござる。こちらでは全く知られていないのだが。。。」
「ほぉ!!!しょーゆっ!!もちのにもかけて!」
「口にあうかわからぬぞ??」
ハクリの手にしているコーンバターパンの上に『醤油』が黒く染まる。見た目はなんだか毒毒しい。
「ほぉぉおお。ぱく。んっ!!!!。。。。んんんんん!!!!」
「もっちーどうしたんじゃ!!」
うずくまるようにしてプルプルと震えだしたハクリを見て、本当に毒なんじゃないかとユキツグへ眼差しを向けると、なぜか満足そうな顔をして何度も頷いている。
「ヤヴァ!!しょーゆ!!ユキツグー!!しょーゆ好きだぁ!!もちしょーゆになりたい!!」
「えっ!!おいしいの??っていうか。調味料になりたいのはおかしいじゃろう??」
「あっ!!でへへ~。いやその。。。そのくらい美味しいという意味だよっ!!はっはっは!!」
どす黒く染まるのを見てとても食べる気がしないのだが、ハクリは『醤油』を偉く気にいったようだ。
ハクリにつられてニコニコしているとレオグが話題をシーチへ戻した。
「シーチさんの希望はわかったがよ。もう少し訳を聞かせてくれないか?」
「そう。。。ですよね。。わかりました。」
シーチは、深呼吸をした後にその理由を話はじめた。




