85話 何の為の呪術
「ほぉ…。なんで呪術なんてかけたんだろぉね!!ってゆーか誰がかけたのだろぅ。」
ハクリの言うとおりだ、自分達はただ【カイダル】へ行きたいだけなのに。
「なんか変じゃのぉ〜。通したくないのなら、ワシなら入口を塞いじゃうのぉ!!」
「もちも〜!!なんで出られないような呪術なんてかけるんだろぉね!」
「ふむ。入って来る者達へではなく。誰かを外へ出したくないんじゃござらぬか?」
「「あっ!!」」
「この二人を出さない為の呪術なら納得いくな。」
まだ意識の戻らない二人の魚人族はレオグに担がれたままだった。
このまま歩いても元の場所へと戻ってきてしまうのなら二人が目を覚ますのを待とうということになり、少し開けた場所で休憩をとることにした。
レオグが背負っているバックから色々な物が出てきて、ハクリと一緒になって覗き込んでいた。
「ほぉっ!!アピちゃん!また出てくるよっ!!」
「なぬっ!!なんじゃ!!次はなんじゃっ!!」
ほっぺを押し付け合いながらグイグイとやりあっている。
レオグが一通り出し終えた頃にはそこで3日は寝泊まりできそうな感じになっていた。地面にはマットが引かれ、鍋やらフライパンやらもあって食材も結構ある。
ハクリは、もうレオグがバックから物を出さないとわかると少し残念そうにしていたが、今度は食材を手にしてなにを作ろうか考えているようだった。
「この二人になにがあるじゃろうのぉ…。まだちゃんと手を繋いでおる…。」
寝かされた二人は気を失っていても手を繋いだままだ。
「アピちゃん!!みてみてっ!!バタァだよぉ!!」
「バタァ!!」
バターの話題をハクリから振られて一気にお腹が減ってきてしまった。バターを使った料理は味付けいらずで美味しいから好きだ。香りもいいし、味もいい。
「もうお腹減ってしまったのぉ…。」
「ハッハッハ!!もちがバタァでなにか作るのぉ!!」
「んったく、お前達はどこでもおもしれーなー!!ガハハ!!」
状況は変わらないし、抜け出せる見込みのない呪術の中なのだ。確かにそうかもな、とアピスも可笑しくなってきてしまった。




